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Vol.180 いろんな関わり方があっていいのだけれど、でもこういう仲間が増えるといいなという話です。

  • 2015年10月1日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 前回前々回は音楽の定額配信サービスを例に、音楽業界と社会貢献事業の類似性というか、音楽業界の変化が示唆している社会貢献事業の未来、みたいなことについて書いてきましたが、今回は音楽業界からもう少し広げてクリエイティブ業界(そういうものがあるとして、という話ですが)のひとつの流れに注目して、そこから広げて考えてみようと思います。

エキスパート ふと周りを見渡すと、職業柄僕の周りにはカメラマン、ヘアメイク・アーティスト、スタイリスト、ディレクター、グラフィック・デザイナー等、フリーランスで活躍している友人や仲間が沢山います。会社に属せず、個人で活動しているそんな人たちが自由さ、身軽さをキープしながら、クリエイティブ集団として総合力でひとつのプロジェクト全体に携わったり、グループならではの層の厚さでクリエイティブの質を高めたりする。そういう現場をたまに見ます。そうした、個々に専門的な知識や技能を持ったエキスパートたちが緩やかな組織を形成していろいろな問題に対処する、チーム制のようなものが社会起業において増えていったら素敵だなあと思うのです。

 自然災害の復旧復興支援も各地に必要ですし、それでなくても例えば自殺やシングルマザーの貧困といった問題は被災地に限らず現代社会が恒常的に抱えている課題でもあります。もちろん、起業を具体的に考えるとなれば、どういう専門家の組み合わせがいちばん汎用性が高いのか、あるいは目的達成のために最適な組み合わせはなんなのか真剣に検討する必要があります。なかなか難しい問題です。そしてその答は現場で探すしかありません。現場の実情を把握し、また細かく聞いて回れる人がとても重要です。実行力、人脈、信用のある方はすでに何かに取り組んでらっしゃると思いますが、しかし取り巻く環境はなかなかに厳しい。

 8月初めに気仙沼で聞いたところでは、NPONGOの多くが引き上げてしまったと。必要がなくなって引き上げたというケースもあるようですが、やはり資金不足で泣く泣く撤退、というところが多いということでした。例えば気仙沼復興協会(KRA)は市が特別予算を計上して緊急対策として雇用を創出し、復興に向けた取り組みを進めていたんですが、5年目の今、特別予算を組むのはもう厳しくなっています。いろんな取り組みがどんどん規模を縮小し、また民間に吸収されていく。皆さん工夫しながら、厳しい条件の中で歯を食いしばって地域社会を守ろうと奮闘されています。それでもやはり、そこには限界がある。やりたい思いもあるし現地のこともわかってるんだけど、思い通りに動けなくて忸怩たる思いをされているそういう方たちをどう支援するか。お金があればいいのか、人が足りないのか、アイディアがあればなんとかなるのか。

 いつのどの震災に対しても、すぐ飛び込んでみんなの支えとなり力尽きるまで走り抜けて帰ってくる人もいれば、最初はおそるおそるだったのがだんだんつながりを深めていって長く関わり続けるという人もいるし、それだけでなくいろんな繋がり方があります。そして、そのいろんな関わりにもいつか必ずバトンタッチが必要になるはずで、入れ替わり立ち替わり、波のように行ったり来たりしながら、全体として支えていければいいなと僕は思ってるんです。長い目で見て、全体でどういうことが達成されるのがいいのか、そのための視点や問題意識を共有できる仲間が集まれたらいいなと思うし、実際のところ、当初から長期的に関わることを目指して準備してきた人達の取り組みが実を結び始めているところもあるんです。そんな人達がお互いをもっとよく知り、どんどんつながっていけたら…

 いろいろ妄想した後で、静かに、具体的な構想を練り始めている北山でした。

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