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Vol.118 「エアドルフィン」を見てさらに思ったこと 

  • 2013年3月21日

 みなさん、ゴスペラーズの北山陽一です。

 今回も、ゼファーの小型風力発電機「エアドルフィン」を見せてもらって感じたこと、考えたことを書いてみたいと思います。

「エアドルフィン」を見てあらためて思ったのですが、風力発電機というのは、例えば太陽光発電よりも発電ということをいっそうリアルに感じさせてくれます。だって、羽が回ってると発電してる、ということですから。しかも、「エアドルフィン」の形は風見鶏がモチーフになっているそうなんですが、風見鶏ですらエンターテイメント性があったわけですから、そこに発電という要素が加わるんだから“そりゃあ、面白いだろう”と、エンターテイメント業界に身を置く人間としてはつい考えてしまうんです。だから、機能性の高さはもちろん大前提ではありますが、そのルックスについてもちょっと考えてみてもいいんじゃないかなって。例えば太陽光パネルをデコレートしてもあまり楽しい感じはしないけれど、真っすぐに空に伸びたポールの上に取り付けられたエアドルフィンのプロペラがクルクル回るようすを見ていると、ちょっと手を加えるだけでずいぶんとチャーミングになるポテンシャルがあるように感じました。いじる余地のある空間が多いので、自由度が高くていろいろ遊べるなという感じなんです。

 それから、「エアドルフィン」に限らず、小型風力発電機に共通する課題としてある音の問題なんですが、これも“発電システムであるだけでなく、そもそも音を出す装置なんだ”というふうに、音が出ることを肯定的に捉えれば、いろいろ面白いことができるんじゃないかというふうに思いました。もちろん、日常生活のなかで接してみないとわからないところはあると思いますが、プロペラが回って生じる風切り音が気になるという人がいるのは一定の周波数帯で鳴り続けるからなんじゃないかと思ったんです。だから、羽に何か手を加えるなどして、少し音に揺らぎを与えてあげれば、逆に感情移入しやすくなるんじゃないかなあと思ったんです。発電してるから、というのではなく、ペットみたいな感覚で“このコ、かわいいなあ”と思えるような状況をもし演出できるなら、それも面白いんじゃないかなって。良い音を鳴らす機材を作る会社出身の人が作った会社で音を減らす努力が続けられているという事実にはある種の必然すら感じますが、前回も書いた通り、山水のオーディオのファンである僕としては、この小型風力発電機のフィールドでも山水オーディオの遺伝子が素敵な成果を生み出してくれることを期待したいと思います。

 ところで、電力供給ということについては最近、電力小売りの自由化や発送電の分離といったことが行政のレベルでも現実的な話として語られるようになってきました。もし、そうした状況が進めば、例えば自分の家で発電した電力を近所の人に売ったり、逆に近所の人から買ったりするというような状況になることもあり得るでしょう。となれば、自分が住む場所や環境、さらにはライフ・スタイルを考えるうえでどういう電力を選ぶかということもひとつのポイントになってくると思います。僕自身は、自前の発電設備を整えるとすれば、マイクロ水力発電が今はいちばん安定性があるんじゃないかと考えていますが、そこでもちろん小型風力発電を選ぶ人もいるでしょうし、あるいは太陽光や地熱発電を選ぶ人もいるでしょう。つまりは、好みの音楽を選ぶように、電力を選ぶようになれば、それはけっこう楽しいんじゃないかなと思うんです。僕自身、今回の見学も含め、いろんな現場を見せてもらっているなかで、新しい住まいのイメージがどんどん具体的になっていますが、もっともっといろんな現場に出かけて行きたいと思っています。どうぞ、お楽しみに。


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