さすらいのボタニスト、ヤガメです。こんにちは。
花の香りが心や体へ与える、「いやし効果」が注目される昨今ですが、
いやはや、世界は広い。
この花の香りは、実に「目にしみる悪臭」です。
しかも、ビジュアル的なインパクトも強烈。
3m近くもある、巨大花です。
どうです? ちょっと体験してみたくなりませんか……??
小さな花が集まって塊に
「その花」の名は、ショクダイオオコンニャク。
私たちが、食べ物として食する、コンニャクの仲間です。
インドネシアの、スマトラ島に生育しています。
花一つの大きさは、数センチしかなく、小さいものですが、花の塊である花序の大きさは、世界最大。
花序の高さは、なんと3m近くになるのです。
僕ヤガメの身長と比べていただくと、その大きさが伝わるでしょうか。
ショクダイオオコンニャクは、すべてがとにかくデカイ。
イモの大きさは70kgに達し、巨大な葉は4mを超えます。
日本国内でも、いつくかの植物園で開花に成功しています。
おそらくこれから、どんどん開花成功の事例が報告されるでしょう。
高知県立牧野植物園でも、ショクダイオオコンニャクが栽培されています。
今年、7月中旬にも開花予定です。
植物園で少々珍品の花が咲いても、多くのお客さんは関心を持たないものですが、この植物は違うのです。
その強烈なインパクトは、「客寄せパンダ」として、十分な威力を発揮します。
植物園にとっては、ありがたい存在です。
実の事を言うと、ショクダイオオコニャクの魅力は、夜にあるのです。
その時間、植物園は閉園しているので、お客さんはなかなか体感できないのが残念なのですが……。
(開花期間は、夜間に開館する植物園もあります)
私が観察した個体の場合、夜10時頃になると、激烈な悪臭がピークとなりました。
★別名「死体花」
ショクダイオオコンニャクのニオイとは、はたして、どんなニオイなのか?
尋ねられると、これが困るのです。
言葉で形容しにくい激烈な悪臭、とでも言いましょうか。
長時間嗅いでいると頭が痛くなり、花に顔をつっこんで匂いを嗅ごうものなら、目がチカチカして涙が出るほど。
「目にしみる悪臭」というのは、なかなかないと思います。
ツナを腐らせ、そこに標本用に使うホルマリンのニオイをブレンドしたような(?)、実に嫌な臭いなのです。
その強烈なニオイから、「死体花 (corpse flower)」なんて呼ばれたりします。
まぁ納得できますね。
この花、さらにスゴイのが、熱を持つこと。
花の真ん中にそびえたつ「肉穂花序(にくすいかじょ)」の部分は、35℃を超え、悪臭がピークになる頃に湯気が立ち上ります。
あまりの迫力に閉口します。
写真だと、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
よく見ると、逆光の中、湯気が立ち上っているのが見えるかと思います。
★機会を逃さずに!
もし、近所の植物園で、この植物の花を見る機会がありましたら、是非ご覧ください。
昼間だとニオイはあまり感じることができないと思いますが、
花序の大きさだけでも、十分に見る価値があると思います。
ちなみに……、この巨大な花序は、せいぜい2日しかもちません。
花が咲いた、という情報が流れたら、すべての予定をキャンセルして、最優先にこの花をご覧になることをオススメします!