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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第51回 金融機能を通じた環境社会配慮の実現に向けて〜三菱東京UFJ銀行による赤道原則の経験から

  • 2008年4月10日

このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。

特集/進化する環境ガイドライン〜新たな展開を見せる国際金融の環境社会配慮(その2)金融機能を通じた環境社会配慮の実現に向けて〜三菱東京UFJ銀行による赤道原則の経験から (株)三菱東京UFJ銀行ストラクチャードファイナンス部プロジェクト環境室上席調査役 千吉良久暢

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相互対話を増やした赤道原則

 当行は2005年4月に環境マネジメントシステムの規格であるISO14001の認証を取得(丸の内本部・本館ビルと大手町ビル)し、それに沿って環境配慮に関する取り組みを推進している。プロジェクトファイナンスにおける環境社会配慮についても、行内手続きの高度化を目指して同年12月に赤道原則を採択、翌1月から適用を開始した。それ以前は国際協力銀行(JBIC)等の輸出信用機関や世銀グループのガイドラインの遵守を融資の条件としていた。赤道原則の採択時に独自の基準・手続きを作成したが、世銀グループのガイドラインに準拠しているので、評価の目線を大きく変えたということではない。

 赤道原則を採択した効果としては、開発者・ステークホルダー(NGO等)・各国の金融機関等が一定の基準や枠組みを共有することにより、相互の対話が増え、焦点のはっきりとした議論ができるようになったことである。その結果、開発をより効率的に進め、環境社会配慮をより効果的に実現することができるようになった。そのような意味で赤道原則は環境社会配慮を適切に進める上で有効な「ツール」としての一面がある。

 また、以前は各国の金融機関がノウハウや情報開示の面で互いに向上を図ろうとすることは少なかったが、定期的に開催される赤道原則の採択金融機関(EPFI:Equator Principles Financial Institutions)の会合やIFC(国際金融公社)によるセミナー等を通じて、効率的に情報交換するシステムができており、実務に役立っている。

環境社会配慮の体制

東京三菱UFJ銀行の環境社会配慮体制 作成:ポンプワークショップ  図の通り当行には・プロジェクトファイナンスの営業部署(フロント)・銀行全体のCSR推進を統括するCSR推進室・案件審査を行うCIB(Corporate&Investment Banking)審査部・案件の環境社会配慮面につき評価し、フロントの指導を担当するプロジェクト環境室——があり、相互に連携している。

 環境社会配慮に関わる専門部署であるプロジェクト環境室はフロントが入手した案件の情報に基づいてリスクを評価し、条件の付与や指示を行う。また、評価の結果をCIB審査部に提供する。行内基準・手続きは赤道原則がベースになっている。モニタリングはフロントが行うが、約定違反等が発生した場合はプロジェクト環境室と相談して対応する。

 ステークホルダーの対応や情報の発信(ウェブ、CSRレポート)はCSR推進室が窓口となってとりまとめている。

 開発における環境社会配慮は自然科学・工学から人文・社会科学まで多分野にわたる専門知識を必要とし、案件評価に当たっては当行が独自に評価することに加え、外部専門家にリスクの洗い出しを依頼し、それに基づいた判断を行っている。また、JBICと「環境審査に係る協定書」を締結し、協融案件の環境社会配慮に関わる情報を提供してもらい、行内の評価・判断の材料として活用している。


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