Android XRで感じた、Googleのスマートグラスへの“コミット力”の強さ

  • 2025年5月25日
  • Gizmodo Japan

Android XRで感じた、Googleのスマートグラスへの“コミット力”の強さ
Image: Gizmodo US

Googleの開発者向けカンファレンス「Google I/O」で、機能や使用想定などのデモが行なわれたスマートグラスのプラットフォームAndroid XR。会場で、90秒のデモを体験した米Gizmodo編集部の感想は「90秒じゃ何もわからない」という、そりゃそうだよなというモノでした。

が、たった90秒でも、評価できるほどはわからなくても、スマートグラスには期待したくなります。それはポテンシャルがあるから。そして、そのポテンシャルを発揮するために超えなくてはならない壁を超えていけそうなコミットメントも感じるから。

以下、Google I/Oの基調講演を経て、スマートグラスに対する米Gizmodoのオピニオン記事です。

正直に言うと、個人的にはスマートグラスはすごいと思っています。これは動作がいいというわけではなく、だからといって基調講演デモで見た半分も実際にはできてないけど?と揶揄するつもりもありません。

もちろん、そう思っていないわけでもないし、手持ちのMetaとRay-Banコラボのグラスに、毎朝エルトン・ジョンの曲かけてって言ってるのに頑なにジョン・プラインしかけてくれないけれど、それでもどうしても嫌いになれないのがスマートグラスだと言いたいわけです。その理由は1つ、ポテンシャルがあるから。

Google I/O 2025でもわかるように、Googleにはそのポテンシャルが見えています。基調講演でもAndroid XRについてかなりの時間が割かれていましたし、Xrealとのコラボも発表されました。スマートグラスでできるかもしれないこと、そこには抗えない魅力があります。Android XRやXrealとのプロジェクトAuraで、そのポテンシャル、魅力はさらに高まるでしょう。特に目の前に直接ナビを表示できる光学シースルー式は強みになると思います。

Google I/Oの基調講演を見ると、待望の未来的ガジェットがついに誕生したように見えます。その感想は間違ってはいないのですが、多くの人がイメージするスマートグラスの楽しさ、便利さが実現するのはまだ先。テック企業が消費者に見せる夢の実現がいかに難しいかは、Google含めみんなわかっていると思います。スマートグラスもそれは同じで、まだまだ技術的障壁があります。

1つ目の障壁:技術を小型サイズに落とし込めるか

I was promised 5 minutes with the Google Android XR smart glasses, but they only gave me 3 minutes, and half of that was explaining what they were and how they worked, so I actually only had 90 seconds to use Gemini on a painting on a wall, two books on a bookshelf, and the… pic.twitter.com/Ly60boX91G

— Ray Wong (@raywongy) May 20, 2025

まず1つ目、みんなが欲しがる未来ガジェットとしてのスマートグラスには、周辺環境が理解できる光学パススルー式もしくは光学シースルー式がマストなこと。編集部のRay Wong記者が体験したたった90秒のAndroid XRデモでは、メガネに地図・ナビが表示されていましたが、大切なのはスクリーンではなく、コンテンツ。そこに何を映せるかが便利さの鍵となります。

これが光学パススルー式の場合、バッテリー持ちがどうなのかがまず気になります。またパススルー用のカメラやパーツをメガネに載せることで、ゴツくなったり重くなったりしないかも気になるところ。

さらにスマートグラスでできること、仕事することが増えれば、それに見合うスペックも必要になります。バッテリー、コンピュータプロセッサ、スピーカー用のドライバ、カメラ。機能が増えれば電力はさらに必要になるでしょう。

光学パススルー式にしつつ、音声ガイドがあって、AIアシスタントがずっとON状態で耳をすましているとなれば、どれだけ大きなバッテリーが必要になるのでしょう。デモ動画のように、装着して軽やかに散歩できるようなものなのでしょうか。

2つ目の障壁:コストの高さ

2つ目は価格。MetaとRay-Banコラボのスマートグラスは、モデルによって異なりますがざっくり300ドルちょい。スクリーン機能なしでこの価格です。Project AuraやAndroid XRスマートグラスコンセプトのようなビジュアルインフォメーションはありません。となれば、GoogleスマートグラスがMetaとRay-Banコラボよりも高くなるだろうことは必至。

一方で、情報が表示できるスクリーンを生産する向上やサプライチェーンはまだ未発達段階にあります。

でもやっぱりポテンシャルは高い

技術とコストをハードルとしてあげると、どうしても「ムリムリ」と否定している感じが強まりますが、そんなつもりはありません。いや、ちょっとあるけど、大部分は期待です。歴史的に見ても、技術を小型化するのは非常に難しい。でも、今のテック企業たちにそれができないとは思っていません。むしろ、きっとやってのけると信じて疑っていません。

スマートグラスのポテンシャル開花に最も必要なもの、それはコミット力。このポテンシャルを信じて実現まで盲目に走れるほどのコミットメントの高さです。今回のGoogle I/Oで、その強固なコミットメントが見えたと感じました。

Googleが今予算をかけて何より注力しているのはAI。スマートグラスは、そのAIがコンテンツとして活きる場所になります。だからGoogleのコミットも高いし、スマートグラスにもさらに期待したくなるのです。

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