見たことのない色、きっとたくさんあるんだろうな。
アメリカの研究チームが「人類未踏の色」を見たと発表しました。色の名前は「olo(オロ)」で、自然界では見ることができない色だといいます。
先日科学誌『Science Advances』に掲載された論文によると、アメリカの研究チームがレーザー技術で人の網膜を刺激した結果、自然界には存在しない色を認識させることに成功したといいます。
私たちの瞳にはS、L、Mという3種類の錐体細胞が存在し、それぞれが青、赤、緑の色を認識します。
自然界にある色は、これらが同時に刺激する波長で混ざり合っており、どれかひとつの錐体(すいたい)細胞を単独で刺激するということはありません。
今回、研究チームは目の網膜上にある特定の錐体(S、L、M)をレーザーパルスで刺激する「Oz」と呼ばれる技術を開発しました。
これを用いた実験で、M錐体のみを刺激する実験をおこなったところ、被験者全員が「青緑のような色が見えた」と答えました。これは、自然界ではあるはずのないまったく新しい色「olo」と名付けられました。
ロンドン大学シティ・セントジョージ校の視覚科学者であるジョン・バーバー教授(この研究には関与していません)は、この研究は特定の錐体細胞を刺激するという「技術的な偉業」ではあるものの、「新しい色の発見というには議論の余地がある」と述べています。
たしかに、ある意味「人工的に無理やり目に見せた色」という感じですもんね。
今回の研究が有意義なのは、錐体細胞に与える光の刺激をコントロールすることで、自然な人間の視覚の範囲を超えた新しい色を認識する方法を発見したこと。これを応用すれば、色覚異常といった眼疾患の研究や治療につながる可能性があります。
また、まれに「第4の錐体細胞」を有し、色への感度が高い「テトラクロマシー(四色型色覚)」の能力を持つ人がいると考えられていますが、研究チームは第4の錐体細胞を獲得する体験をOzで提供するための手法も検討しているとのことです。
Source: BBC
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