科学の進歩のためとはいえ、地球に落ちてくる隕石が増えるのはちょっと遠慮したい。
初めて知ったんですけど、地球の隕石コレクションはちょっと偏っているんですって。そして天文学者のチームが、どうしてそんなことになっているのかをピンポイントで突き止めたそうですよ。
炭素質の小惑星は、地球に近いところや小惑星帯など、太陽系の至るところに存在します。ところが炭素を豊富に含む岩石が地球で発見されることはめったにないらしく、地表で回収された隕石のわずか4%に過ぎないのだとか。
なんでこんなにも大きな差があるのかを解明しようと、天文学者のチームが調査に乗り出しました。
科学誌『Nature Astronomy』に掲載された研究結果によると、炭素含有量が多い小惑星は、地球にたどり着く前に、太陽と地球の大気によって粉々にされてしまうとのこと。はかない。
オーストラリアのカーティン電波天文学研究所に所属する研究者で、この論文の共同執筆者でもあるHadrien Devillepoix氏は、大学の声明で次のように述べています。
「私たちは長い間、炭素質の物質は脆くて大気圏突入に耐えられないと考えてきました。今回の研究は、流星物質の多くが太陽に接近するたびに加熱されて、バラバラになってしまうことを示唆しています」
チームは地球に炭素質の隕石が少ない理由を解明するため、19カ所の観測ネットワークによる約8,000件の流星体衝突と、540件の落下したと考えられている隕石の記録を分析しました。
地球で発見される炭素質隕石は、科学者に太陽系最古の物質を研究する貴重な機会を与えてくれるといいます。
例えば日本の「はやぶさ2 」やNASA(アメリカ航空宇宙局)の「OSIRIS-REx」のミッションでは、いずれもはるかかなたの小惑星から、岩石のサンプルを採取して地球に持ち帰っています。それらのサンプルは、遠隔観測ではできない詳細な分析が可能とのことです。
パリ天文台の研究者で、論文の共著者でもあるPatrick Shober氏は、同じ声明でこう述べています。
「炭素が豊富な隕石には、水や有機分子、それにアミノ酸まで含まれていて、私たちが研究できる最も原始的な化学組成を持つ物質の1つなんです。
しかし、そういった隕石が私たちのコレクションには非常に少ないため、宇宙に何が存在するのか、そして生命の構成要素がどのようにして地球にたどり着いたのか、その全体像を把握できていない恐れがあります」
研究チームは、潮汐破壊現象(小惑星が惑星に十分に接近し、その惑星の力で破壊される現象)によって生成された隕石は特に壊れやすく、他の種類の小惑星よりも大気圏突入に耐えられないことを突き止めました。
太陽の熱と大気圏突入時の激しい燃焼を乗り越えた、炭素を豊富に含む頑丈な小惑星だけが、かろうじて地球にたどり着けるのだそうです。天文学者がそういった岩石の多様性をより正確に評価したいのであれば、途中で燃え尽きてしまった小惑星も含めて、多角的に分析できる方法を探る必要があるでしょう。
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