2023年2月21日の記事を編集して再掲載しています。
NASAの探査車キュリオシティが火星で発見した岩石。
水の波によって模様が形成されており、遠い昔は火星に水が存在したことの、これまでで最も明白なエビデンスになります。
石の波模様が形成されたのは数十億年前で、その頃の火星の地表は液体の水に覆われていました。
キュリオシティやパーサヴィアランスなどの探査車たちは、かつて水底だった各地域を探索し、火星の地質史や宇宙生物学の可能性についての情報を得ようとしています。
果たして微生物の化石は存在するのでしょうか?
キュリオシティは2012年にゲール・クレーターの底からミッションを始めましたが、現在はかつて湖や小川があったとされる標高3マイル(約5km)のシャープ山(アイオリス山)にいます。
もし火星に生命が存在していたならば、探索するのにふさわしい場所はこういった太古の水の流路です。
NASAのリリースには、同探査車が細かな波状の模様の岩石を発見したのは、シャープ山のマーカーバンド岩層だと書かれていました。
「これはミッション全体で見た中でも、水があったことの最も信頼できる痕跡」だと、南カリフォルニアのNASAジェット推進研究所でキュリオシティのプロジェクト科学者を務めるAshwin Vasavada氏はコメント。
「湖沼堆積物を何千フィートと登りましたが、こんな痕跡は見たことがなかった。それが今、長い間乾燥地帯だと予想していた場所で発見されたのです」
マーカーバンド岩層は、キュリオシティがこれまで探査してきた地域よりも乾燥した気候の中で形成されています。そんな場所で、浅い湖の波によって形成された岩石を見つけたのです。
火星の南極には氷床と極冠がありますし、隕石の衝突で地下にあった氷が掘り起こされたこともありましたが、少なくとも私たちの知る限り液体の水は数十億年間存在していません。
火星は極寒で大気が希薄なため、水は表面で凍り、古代の水のほとんど(NASAによると、少なくとも87%)が宇宙空間に失われたと考えられています。
サンプルの採石は難航マーカーバンド岩層はあまりに硬いため、キュリオシティは何度か掘削を試みるも、サンプルを採取できませんでした。もっと柔らかそうな場所で再チャレンジするつもりですが、同探査車が探索したいところは他にもあります。
他にも、ゲディズ峡谷の底には、大昔の地滑りで押し流されてきたと思われるデブリ(岩屑)が溜まっています。キュリオシティが到達できない、シャープ山の頂上付近から落ちてきた岩石が埋まっている場所でもあるため、貴重なサンプルの宝庫なんです。
発見された波模様の石はかつて火星にあった水の最も明白な痕跡ではありますが、これまでにも水が流れていたことのエビデンスは見つかっています。
以下に、水の流れによって作られたとされる火星の地形画像を集めました。
マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)が火星の軌道上から捉えた、独特な「ドラゴンのウロコ」模様の画像です。
岩盤が水との相互作用によって粘土を含む石へと変化したようなので、数十億年前に形成された可能性が高いです。
イウス谷は火星最大の峡谷であるマリネリス峡谷の領域の1つ。
崖の地層からにじみ出た水が、峡谷の底に届く前に蒸発するというプロセスで形成されたと考えられています。何とも凝った模様の砂紋ですね。
MROが捉えた火星の「佐伯」と名付けられたクレーターには、沖積扇状地が存在します。
沖積扇状地とは水の流れによって作られた緩やかな傾斜地。扇状地は地球でも自然に生じますが、火星の地表に水が豊富にあったのは大昔だという点を考えると、この地形はかなり古そうです。
欧州宇宙機関(ESA)とNASAの科学者たちは探査機マーズ・エクスプレスとMROからのデータをまとめて、火星上の含水鉱物がある地点を記した地図を共同作成しました。
このマップは、かつて水が流れていたとみられる場所のガイドとなっています。例えば右上の火星地図を見ると、ジェゼロクレーターには含水の粘土鉱物があるとの表示。
探査車パーサヴィアランスが同クレーターの河川デルタを熱心に探索しているのは、こういうわけなんですね。
MROに搭載されたHiRISEカメラからの処理画像に写る斜面の筋状の模様は、この巨大な尾根から水が流れていた地点を示している可能性があります。各線はフットボール場ほどの長さなんだそう。
偽物の色を付けた画像では、ヘールクレーターの斜面の筋模様(荒々しい地形が緩やかな傾斜に接する地点)を黄褐色に着色しています。
MROが、ガルニ・クレーターの縁にある筋状模様を収めた画像。
長さ数百メートルほどの筋は、この急斜面にかつて水が流れていたことを示唆しています。現在、パーサヴィアランスが調べているジェゼロクレーターの西端にあるデルタも、古代の水の形跡を示しているのです。
南極にある氷冠は、今も水が(異なる状態であるものの)火星に存在すると示しています。2021年、ある研究チームが火星の地下の湖には液体の水が存在するかもしれないと示唆する論文を発表しました。
ジェット推進研究所のリサーチ科学者Jeffrey Plaut氏は、「火星の南極の表面下には液体の水があるか、他の物質の存在を信号が示しているかのどちらかだ」と語っていました。しかし最近の論文は、その仮説に疑問を投げかけています。
丘のように見えるのは「ジェゼロ」と名付けられたクレーターの西端にある、河川デルタの残った部分で、探査車パーサヴィアランスが撮影しました。
今では干上がったクレーターですが、満ちていた水(と巨礫や堆積物)はここから湖へと流れ込んでいたと考えられています。
この地図は、NASAのパーサヴィアランスチームが探査車のために計画した着陸地点(右側の白い点)からの2通りのコースを示したもの。
探査車は結局、青色のルートを進み、現在は画像中央にあるデルタ地帯を進んでいる模様。西部から流れてきた水は、このデルタから右側にあるジェゼロクレーターを覆っていた湖へと運ばれていたと考えられています。
前述の火星の含水鉱物マップは、探査車パーサヴィアランスの研究領域であるジェゼロクレーターにも注目していました。
クレーターの西端は、炭酸塩や含水鉱物が豊富で、古代の火星に大量の水が存在した痕跡を示す地域の1つ。
NASAは、かつてのジェゼロ・クレーターは水で満たされていたとほぼ確信しています。そのため、水が流入していた河川デルタは古代の微生物の痕跡を探すのに適した場所なのです。
古代の火星に存在したかも知れない微生物は、大昔に地球で生まれた(そして今でも世界各地に生息している)ストロマトライトのような見た目をしていたかもしれません。
Source: NASA JPL(1, 2, 3 ), NASA Astrobiology, NASA(1, 2, 3, 4, 5, 6), ESA, NASA Mars,
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