Apple Mac Studioレビュー:性能は間違いなし、ポートも充実。あとは、予算しだい

  • 2025年3月21日
  • Gizmodo Japan

Apple Mac Studioレビュー:性能は間違いなし、ポートも充実。あとは、予算しだい
Image: Sherri L Smith/DreamSmith LLC via Gizmodo US

シンプルだけど、寡黙で有能でパワフル。

AppleからフルスペックのMac Studioがリリースされました。以下、米ギズモードのSherri L Smith記者のレビューをご紹介します。

皆さんに、声を大にしてお伝えしたいことがあります。Mac Miniはたしかに優秀です。でも、作業によっては最上位機種でも対応しきれないケースもちらほら。そんな時こそ、Mac Studioの出番です。

ずんぐりしたデザインと、M4 MaxやM3 Ultraチップセットを搭載したスペックを持つMac Studioなら、クリエイティブのプロフェッショナルでも天才的なAIプログラマーでも満足できる仕様になっています。さらにApple Intelligenceまで装備しており、どんな作業も超高速でサクサクこなしてくれますよ。

Studioはお仕事向けの機種で、たいていのことなら負担を感じることはありません。パフォーマンスは超優秀ですが、その分お値段も高め。メモリやストレージを拡張しようと思うと、さらに予算はアップします。

ただ、もしお財布に余裕があるなら、クリエイティブのプロや、ヘビーな作業を日々こなすワーカーにとって、Apple Mac Studioは新たな王者といえるでしょう。

Apple Mac Studio

これは何:洗練されたボディに信じられないほどのパフォーマンスを秘めたデスクトップ向けMac

気に入った:素晴らしいパフォーマンス、洗練され象徴的なデザイン、ポートがたくさん

気になった:構成によってはめちゃ高価

Apple Mac Studioレビュー: 価格と構成

Mac Studioには2つの選択肢がありますが、どちらも安価ではありません。M4 Maxの基本モデルは1,999ドル(税込32万8800円)で、14コアのM4 Maxチップ、36GBのユニファイドメモリ、512GBのSSD、32コアのM4 Max GPUを搭載しています。

さらにスペックを追い求めると、価格は5,800ドル(税込91万3800円)までアップ。目玉が飛び出そうな価格ですが、16コアのM4 Max CPU、128GBのユニファイドメモリ、8TBのSSD、40コアのGPUを搭載しています。今回レビュー対象となったのはその中間の3,699ドル(58万3,800円)で、M4 Max(16コア)、128GBのユニファイドRAM、40コアGPUを搭載し、SSDは1TB。

さらなるパワーをご所望なら、M3 Ultra構成が3,999ドル(税込66万8,800円)〜。基本モデルには28コアのM3 Ultra CPU、96GBのユニファイドメモリ、1TBのSSD、60コアのM3 Ultra GPUが搭載されています。ちなみにM3 Ultra Macの最高構成は、32コアのCPUに512GBのユニファイドメモリ、16TBのSSD、80コアのGPUを装備。これだけのパワー、一体に何に使うのでしょう? 価格1万4099ドル( 税込135万8800円)とは、恐れ入りました。

Apple Mac Studioレビュー: デザインとビルド品質

昨年レビューしたMac Miniはなんとも可憐で愛らしい製品でした。その点、Mac Studioは手にした瞬間、80年代のノスタルジーがよみがえってきました。

Studioは実に重く、重さ6.1ポンド(約2.8キロ)、M3 Ultraモデルではさらに8ポンド(3.6kg)に跳ね上がります。1.5ポンド(約700g)のMac Miniがまるで、文鎮のように感じられるほど。サイズは3.7×7.7×7.7インチ(19.7cm✕19.7cm✕9.5cm)で、Miniの2×5×5インチ( 12.7cm✕12.7cm✕5cm )が愛らしくすら感じてしまいます。

Image: Sherri L Smith/DreamSmith LLC via Gizmodo US

だからといって、Studioの外観が不細工というわけではありません。正直、Apple製品でアゴが外れるほど見た目の悪いモノって、最近なかなかないですよね。

Studioはシルバーのアルマイト加工が施されたアルミニウム製で、エッジは緩やかな丸みを帯びています。デバイス上部中央には、言わずと知れたリンゴマークの刻印が。

前面にはThunderbolt 5のポートが2つ、SDXCカードリーダーが1つ。背面はにぎやかで、4つのThunderbolt 5ポート、2つのUSB-A 3.2ポート、HDMIポート、イーサネットジャック、ヘッドセットジャック、AC電源入力があります。これらはすべて冷却用の背面排気グリルの下にあります。電源ボタンはデバイス背面にあり、Miniの不満点は引き継いでいません。

Studioを裏返すと、穴の開いた突起が見えますが、この穴は、電源とコンポーネントの上に冷たい空気を流すAppleの新しい冷却システムの一部。Mac Studioでは一番足元に押し込まれています。

Apple Mac Studioレビュー: Apple Intelligence

人工知能の波に乗るガジェットが増えている昨今、大手企業の多くが独自のAI開発にいそしんでいます。Appleも例外ではなく、StudioにはApple Intelligenceが組み込まれています。

実際、私がレビューしている機種には16コアのNeural Engineが搭載されており、写真や動画の編集、生成AIの活用、あるいはAIを使ったビデオ会議用背景の使用など、AIを駆使したあらゆるタスクに対応します。

さらに、Apple Intelligenceには作業がスムーズになる仕掛けが用意されています。ライティングツールとして要約、校正、リライト機能があり、文書作成の強い味方に。この機能はAppleのアプリケーション以外でも活用できるのも、嬉しいポイントです。

Image: Sherri L Smith/DreamSmith LLC via Gizmodo US

また、メールやメッセージアプリ、通知でもApple Intelligenceが活躍。情報をしっかり解析してくれるので、サッと目を通すことができ、長いメールが来たときなどに便利。また、スマート返信機能を使えば、場面に合ったトーンの返信メールをサクッと書けちゃいます。

冒頭で触れた写真編集機能も優秀。GoogleのMagic Eraser同様、AppleのClean Up機能では、iPhoneやデジタル一眼レフで撮影した写真からオブジェクトや人物を削除することができます。

また、特定の画像を見つけたいときも、自然言語によるクエリに対応しているので、大量の写真や動画をスクロールすることなく合理的に検索できるようになりました。動画内の、特定の場所を探すこともできますよ。

Apple IntelligenceでSiriもパワーアップ。おしゃべりと会話が上手になり、文脈を拾ったり、さっき言ったことを振り返ったりすることもできるようになりました。改良版Siriで私が気に入っているのは、ちょっとこちらがどもってしまったり、頭が働かなくてフリーズしてしまったりしても、Siriがつまずかないところ。大きな声で質問したくない場合は、質問を入力することもできます。

Apple Mac Studioレビュー: ソフトウェア

Mac Studioは、最新バージョンのmacOS Sequoiaで動作します。このOSは生産性やビデオ会議、セキュリティ、さらにはゲームの最適化にも対応しており、もはや万能と言えるでしょう。

タブを溜め込んでしまう私にとって、アップデートされたウィンドウのタイル表示はお気に入り。複数のタブにアクセスしやすく、Googleドキュメント、Adobe Photoshop、ソーシャルメディア、Google Chromeをササっと行き来することができます。

AppleのWebブラウザであるSafariは(私のデフォルトではありませんが)ハイライト機能の進化が目玉。シンプルな概要、目的地への道順、曲、テレビ番組、映画に関する情報などなど、さまざまなお役立ち情報が見つかります。また、YouTubeに浸りたいときには、広告を非表示にしてくれる機能”Distraction Control”がアクセスを制限し、よりウェブ閲覧に集中できるように。

Image: Sherri L Smith/DreamSmith LLC via Gizmodo US

ジャーナリストとして、私は相当数のインタビューを行っていますが、音声の文字起こしというのは大変な作業です。Notesアプリは音声書き起こしに対応しているので、そうした手間を解消してくれます。ベンチマークの平均値を取る必要があるときなどは、計算機としても使えますよ。

iPhoneミラーリング機能を使うと、デスクトップ経由でiPhoneとやりとりできるように。以前はインスタグラムのリールやiPhoneのアプリを全部スクロールするのに5分弱かかりました。今はスマホを手に取ることなく、通知をチェックできるので、かなりの時短になります。

詐欺の手口が巧妙化し、AI詐欺ツールも進化している今、ログインごとにパスワードを変えるのが必須、だと言われています。とはいえ、現実的にはなかなかむずかしいですよね。セキュリティ的にちょっと弱いかな、という人も少なくないでしょう。Passwords機能は、そうした手間を一掃。エンドツーエンドの暗号化によってパスワードを保護、一箇所に保存します。

ゲーマーの方向けには、Appleの新しいGame Porting Toolkit 2。これは開発者がゲームをすべてのMacとiOSデバイスに移植するための便利な新ツールです。たとえば、『サイバーパンク2077』。これはグラフィック的に負荷がかかることで有名なソフトで、性能がそれほど高くないデバイスでは、カクカク問題がひどく、プレイできないこともありました。

他に、『アサシン クリード シャドウズ』もMacに登場します。長年、一般的なゲーム機のゲームやPCゲームのサポートが不足しており、Macはゲーム機として認められていませんでしたから、これはAppleにとって大きな一歩です。

Apple Mac Studioレビュー: パフォーマンス

仕事には際限がありません。火星にコロニーを作ったり、世界で一番感動できる画像を編集したり、次世代テクノロジーブームをコーティングしたり…。AppleがM3 UltraとM4 Maxのチップセットで想定しているのは、つまりそういうこと。AppleはM4 Maxを「世界最速のCPUコア」と呼び、M3 UltraはCPUとGPUの両者で「究極のパフォーマンスを提供する」としています。

どちらの3ナノメートルのチップも、コア数の増加と統合メモリによって効率性を犠牲にすることなく、最適なパフォーマンスを発揮するように設計されています。そして、Dynamic Caching(ダイナミック・キャッシング)、ハードウェアアクセラレーション、レイトレーシングという3大要素がStudioに初めて搭載されることとなったのです。

どちらのStudioも試してみたかったのですが、プロのクリエイターの皆さんには、正直、M4 Maxで十分でしょう。Appleによると、12個のパフォーマンスコアと4個の効率性コアを搭載したCPUは、M1 Maxの2倍、最速の27インチIntelベースiMacの3倍以上のマルチスレッドCPUパフォーマンスを提供します。

Image: Sherri L Smith/DreamSmith LLC via Gizmodo US

他のスペックについては以下のとおり:

・Adobe Photoshopでの画像処理は、M1 Maxを搭載したMac Studioと比べて最大1.6倍高速。Core i9を搭載した27インチiMacと比べて最大2.9倍高速。

・Xcodeでコードをコンパイルする際のビルドパフォーマンスは、M1 Maxを搭載したMac Studioと比較して最大2.1倍高速。Core i9搭載の27インチiMacと比較して最大3.1倍高速。

・CompressorでのProResトランスコードのパフォーマンスは、M1 Max搭載Mac Studioと比べて最大1.2倍、Core i9搭載27インチiMacと比べて最大2.8倍高速。

・Topaz Video AIのビデオ処理性能は、M1 Max搭載Mac Studioと比べて最大1.6倍、Core i9搭載27インチiMacと比べて最大5倍高速。

今回、私が持てるすべてをこの小さな機械に投入したのですが、サラッと流されてしまいました。仕事用アプリ、動画、ニュース、エンターテイメント、ショッピングサイトなどなど、タブだらけでメモリ80%消費しているGoogle Chromeも楽勝。

Photoshopで画像300枚のRAWキャッシュを1080pにリサイズ→1分12秒で完了。

DaVinci Resolveで10分の4Kビデオを5本レンダリング→平均2分53秒で終了。

腹が立つほど優秀なので、いつかこのマシンをギャフンと言わせる大仕事をやらせてみようと心に誓った私。フライトシミュレーターとか、RAW動画ファイルとか…。でも、今のところ、私の通常の作業程度は彼にとって朝飯前といった感じ。ファンの音すらしません。

Image: Sherri L Smith/DreamSmith LLC via Gizmodo US

Studioは合成ベンチマークでも余裕の高笑い。たとえば、Geekbench 6のシングルコアテストでは3,926を記録。ちなみに、AMD Ryzen 7 9800X3Dを搭載したCyberPowerPC Gamer SupremeデスクトップとFalcon Northwest Tiki(Intel Core Ultra 9 285 CPU)で同じテストを行ったところ、それぞれ3,142と3,045というスコアに。

Studioはマルチコアスコアでも25,885を記録。Tikiは21,753で2位、Gamer Supremeは17,148で3位でした。

Cinebench 2024でも同様の結果が得られ、Studioはマルチスレッドテストで2,071、シングルスレッドテストで186を記録し、他の2台のPCを圧倒しました。Handbrakeベンチマークでは、4K動画を1080pにトランスコードするのに要した時間は1分58秒。Tikiの2分31秒とGamer Supremeの3分7秒に圧勝しました。

Apple Mac Studioのレビュー: まとめ

Mac Studioは、他と一線を画す製品です。この小さな箱は、世界中のAIコーダーやディズニーのイマジニア向けに設計されており、どんなに大きなタスクにも負けないパワーを備えています。

M4 Maxは、適切な量のユニファイド・メモリ(48GB以上を推奨します)があれば、一般ユーザーでは止めることができない、超パワフルなチップです。これをスローダウンさせるのは、至難の業。なんて素晴らしい!

Mac Miniと比べるとかなりビッグサイズですが、Studioは寡黙な働き者。高速のThunderbolt 5ポートを多数搭載し、マルチディスプレイのセットアップやドックへの接続に便利。ちょっと見た目はずんぐりしていますが、別に川や森を一緒に旅するためのデバイスではありませんから。

さて、こちらの超パワフルなシステム、ゲットするには大金を注ぎ込むことになります。いや、これは大きな買い物になりそう。しかしそれでも、Apple Mac Studioは世界中のヘビーデューティーなコーダーやプロのクリエイターにとって最高の製品であることは間違いありません。

Apple Studio Display - Nano-textureガラス 266,800円 Amazonで見るPR

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
copyright 2025 (C) mediagene, Inc. All Rights Reserved.