仮想空間が現実に!
VRやARのリアリティは、視覚や聴覚によってかなりリアルな世界を味わえます。でも、それを味わうには味覚も必要でしょ? いろいろな取り組みが進んではいますけど、このほど本当にバーチャルな味を舌で感じられる「e-Taste」が発表されましたよ。
仮想世界で、なんともおいしそうな食べ物や飲み物が出てきます。リアルに目の前に迫ってきて、もう手を伸ばせば、実際に触れそう。ですが、どんな美味に見えたとしても、その味だけは想像で感じるしかないというのが現実です。
このほど電子科学ジャーナルの「Science Advances」には、新たな「HMI」というユーザーインターフェースに、舌へのせて、さまざまなフレーバーを本当に味わえるようにする「e-Taste」を追加することに成功したとの発表論文が掲載されました。
e-Tasteの先端を舌にのせておくと、電子的に供給されるフレーバーで多彩な味わいを体験可能。単純な甘い塩辛いだけでなく、クエンの酸味、塩化マグネシウムによる苦味、グルタミン酸で旨味といった、5つの味覚を自由自在に調合し、あらゆる食事の味を再現できるとのことですね〜。
実際に16名のテストユーザーを対象にして、e-Tasteでいろいろな料理を味わってもらい、好評価が得られたそうです。鶏がらスープなど、簡単ではない味の再現テストにも成功しており、ほぼどんな料理のフレーバーでも、e-Tasteから供給できるんだとか。
おまけに、舌にのせたまま、思わずムシャムシャと口を動かし、e-Tasteを噛んでしまっても壊れない仕様になっているので、安心です。
リアルなゲームを楽しめるようになるといったエンターテインメント要素を越えて、教育や医療など、幅広い利用が期待されています。レストランで、電子メニューをタップして試食ボタンを押すと、どんな味の料理か、まずe-Tasteで味わって、よければ注文するなんて使い方まで想定されていたり。
あるいは、ダイエットに励むユーザーへ、スイーツの写真を見せるものの、e-Tasteで味わうだけにして、食事制限を成功させるなんて利用スタイルも。身近に使える時代が楽しみなかぎりですよね。
Source: Science Advances