百万手先まで読める! 地球サイズの迷路を解くAI誕生

  • 2025年2月19日
  • Gizmodo Japan

百万手先まで読める! 地球サイズの迷路を解くAI誕生
Image: Sergei Gukov (This graphic includes AI-generated art)|グランドマスター、プロ旗手だって数十手先まで読むのが限界なのに…

大規模すぎて頭がついてかない…。

カリフォルニア工科大のSergei Gukov数学・物理学教授率いるチームがこのほど開発したのは、なんと百万手先まで読める新種の数学学習アルゴリズム! 気が遠くなるまで先読みしないと解けない数学の難問解明にさっそく威力を発揮しています。

AIが数学界の超難問にチャレンジ

開発にあたってチームが注目したのは数学界の難問「アンドリュース-カーティス予想」です。これは、「数学パズルは、並べ替えや手順取り消しなどで許可された一連の手を使って常に解ける」というもので、本当かどうかをめぐっては長年、実証・反証の試みがなされてきました。

解明にあたってAIがフォーカスしたのは「希少で、容易に見つからない、長い手数を探すこと」です。論文主著者のAli Shehperラトガース大教授が工科大の声明で触れているように、これは「地球サイズの迷路をクリアするようなもの」でありまして、「気の遠くなるほど長い道順を確かめなければならず、しかも正しい道順は1つしかない」、そこが難しさ。チームを率いるGukov教授も

ぐじゃぐじゃになったルービックキューブを元に戻せと言われたら、非常に長い手順を検証しなければならず、その手順が正しいかどうかは最後の最後までわからない。

と身近な例で説明しています。

完璧な回答までには至らず

具体的なAI活用手順の詳細は論文草稿(arXivに昨年8月公開、2月11日改定)に記されています。結論から言うと、予想の真偽解明まではいたらなかったんですが、「そんな予想、成り立つわけないだろう」という筋から挙がっていた反例のいくつかが間違いであることは実証できたみたいですよ?

もちろん、反例を反証できたかたといって、予想が100%正しいことの証明にはなりませんが、

反例を一部でも除外できれば、もとの予想の正しさに確証が持てるし、メインの問題への直感力も高まる。新たな発想を与えてくれる契機になる(Shehper教授)。

ということで一歩前進です。

実験のプロセス

開発段階では規定概念に囚われない着想に力点を置き、まず簡単な数学の問題をAIにフィードして、だんだん難易度を上げていきました。

いろんな手を試させて、問題が解けると報酬を与える作業を繰り返して、いい手を同様に使いこなしながらも、新しいことにチャレンジする好奇心も残していきました。すると最終的には、人間が思いつくよりも優れた新しい攻略法を思いつくようになりました(Shehper教授)。

こうして、意外性に満ちた超長い連続手を自在に生成できるアルゴリズムの誕生と相成りました(こうした超長い手をチームでは「スーパームーブ」と呼んでいる)。

これに比べると、ChatGPTで生成できるものは、ずっと新味に欠けるものらしく、Gukov教授はこう違いを語っています。

ChatGPTに手紙の代筆を頼むと、返ってくるのは、月並みな内容のものばかり。ユニークで、高いオリジナリティを感じる文面にはそうそうお目にかかれず、さしずめ物まねが得意なオウムだ。

その点、我々が考案したプログラムは人間が普通に考えても思いつかないものを思いつくのが得意。

人間が思いつけないものというと、ついつい株大暴落とか想像しちゃいますけどね。現段階では不可能でも、ゆくゆくこの種の高度な予想にも貢献できるんじゃないかとチームでは期待しています。「学び方を自分で学びとる力のあるプログラムなので」「既成の枠に囚われない発想ができる」とGukov教授も自信満々です。

ちなみにこのAI。そんなに大規模な処理力は要しません。小規模なコンピュータしかない研究者にも使ってもらえるのも、うれしい特長です。機械学習アルゴリズムもここまできたかの感がありますねー。

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