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「Xperia 1 VII」レビュー。ソニーらしい”AIだけじゃない”提案が光る最新モデル

  • 2025年5月30日
  • GetNavi web

ソニーのAndroidスマホ、Xperiaシリーズに新しいフラッグシップモデル「Xperia 1 VII(エクスペリア ワン マークセブン)」が登場します。筆者は今回、6月上旬に発売予定のSIMフリー対応モデルを試す機会に恵まれました。この記事では、ソニーが培ってきたカメラ・オーディオ・テレビの先端技術を投入した最新モデルの完成度をレポートしていきます。

 

Xperia 1シリーズのいいところを継承

↑ソニーの新しいフラッグシップスマホ「Xperia 1 VII(エクスペリア ワン マークセブン)」が発売されます。本体は横幅約7.4cmとスリムです。

 

Xperia 1 VIIはオンラインのソニーストアで20万4600円(税込)から予約販売を受け付けています。カラーバリエーションはスレートブラック、モスグリーン、オーキッドパープルの3色で、モデルごとにRAMとROMの容量も選択可能です。ソニーストアでは不要になったスマホの買取りサービスも行なっているので、うまく活用すればXperiaの本体や関連するアクセサリーを購入する際の足しにもなるでしょう。

 

2024年夏にソニーが発売した「Xperia 1 VI」と比べると、主要な「変わったところ・変わらなかったところ」は以下の通りです。

 

【変わったところ】
・クアルコムの最新SoCを搭載(Snapdragon 8 Elite Mobile Platform)
・超広角カメラのセンサー(新機種に最適化。センサーサイズは少し小型化)
・さまざまなカメラの撮影機能追加
・オーディオ再生のパフォーマンス向上
・最大4回のOSバージョンアップ、6年間のセキュリティアップデート(回数・年数が拡大)

 

【変わらなかったところ】
・約6.5インチの有機ELディスプレイ(Full HD+/リフレッシュレート1〜120Hz可変/HDR対応)
・トリプルレンズのメインカメラ(光学ズーム7.1倍/超広角カメラ/テレマクロ撮影など)
・防水防塵対応
・指紋による生体認証
・バッテリーの容量

 

本体サイズもほぼ変わらず。ディスプレイが6.5インチと大型でありながら、横幅が約7.4cmというスリムなデザインが魅力。手が小さい筆者でもギリギリ片手で持ちながら操作ができます。

 

万一に備えて純正のスタイルカバーやスマホリングがあると片手持ちも安心。スタイルカバーはタテ・ヨコ置きに対応するスタンドにもなるので便利です。

↑純正スタイルカバーとスマホリングを装着するとこんな感じ。

 

ソニーのAI技術の粋を集めた「Xperia Intelligence」

直近では、スマホとAIテクノロジーの融合がますます進んでいます。Xperia 1 VIIに関して言えば、ソニーが各領域で培ってきたとするAI技術を最適化した「Xperia Intelligence」を搭載しているのが特徴です。

 

Xperia Intelligenceは、ソニー独自のAI技術をブランド化した名称のようなものです。Xperiaのカメラには、被写体の人物や動物を高精細な写真・ビデオに記録するためのAIカメラオートフレーミング機能が搭載されています。オーディオには、音源をデジタル化した際に失われる情報を独自のAI解析により補完する「DSEE Ultimate」があります。そしてテレビ「BRAVIA」シリーズの開発で培ったAI画質調整機能により、さまざまな場所に持ち歩く「スマホの画質」を環境に合わせて常時最適化してくれます。こうした部分でAIの力を使い、スマートフォンの総合力を高めているわけです。

 

生成AI技術をベースにした機能やサービスは、GoogleのAIと高い親和性を確保しています。電源ボタンを長押しすれば「Google Gemini」を呼び出して使えるのはもちろん、Webの「かこって検索」や写真編集に便利な「編集マジック」といったAI機能も軽快に動作します。クアルコムのモバイル向け最新SoCであるSnapdragon 8 Elite Mobile Platformが搭載されたことから、処理速度もなおさら速く安定しています。

↑OSはAndroid 15を搭載。電源ボタンの長押し操作によりGeminiが起動します。

 

αシリーズの技術を搭載、精細さと自然な写りが魅力のカメラ

カメラ機能は、従来モデルに引き続きトリプルレンズのメインカメラシステムを搭載しています。構成は、16mm超広角・24mm広角・85〜170mmのペリスコープ式望遠です。広角レンズは、有効画素数約4800万画素のセンサーが捉えた画像をクロップ(トリミング)することで、約1200万画素の48mm(光学2倍ズーム相当)の写真として記録することも可能。

↑背面にはトリプルレンズカメラを搭載しています。

 

iPhone 16 Proと夜景を撮り比べてみました。Xperiaは標準のカメラアプリの「写真」モードで撮影。マニュアルによる細かな設定変更は行なっていません。

 

iPhoneの写真は全体に明るく色鮮やかな印象を受けますが、Xperiaで撮った写真に比べると露出がややオーバー気味で、被写体の輪郭が曖昧になりがちです。Xperiaはパッと見が暗い写真になりますが、見た目の風景により近い明暗や色彩を自然に再現しています。被写体の輪郭や質感など細部もリアルです。

↑夜景の撮影比較。どちらも綺麗に映っていますが、Xperiaはより実際の見た目に近いコントラスト感です。

 

同じ夜景を超広角(0.7倍)モードで撮影しました。レンズの影響による“たる型歪み”が少なく抑えられるので、風景などを広く写し込みたいシーンで本領を発揮します。今回比較ができていませんが、Xperia 1 VIよりも歪みの補正は大きく改善されているようです。

↑Xperia 1 VIIの超広角カメラによる撮影。

 

光学ズーム7倍モードで昼間の遠景を撮りました。iPhone 16 Proは光学5倍ズーム撮影です。Xperiaの方は被写体の平坦部分のノイズ感が和らぐものの、コントラストにメリハリを効かせたiPhoneの方がシャープで立体的です。

↑光学ズーム撮影の比較。

 

続いて、テレマクロ機能でケーキやコップの水滴を撮ってみました。Xperiaのカメラを近づければ、カメラは自動的にマクロ撮影に切り替わります。精細感や色合いはXperiaならではの高クオリティ。心地よい透明感が魅力です。

 

本機のカメラには被写体の明部・暗部をよりリアルに再現するウルトラHDR撮影モードがあります。カメラアプリのメニューからオン・オフを選べますが、基本はデフォルトのオンで良いと思います。きらびやかな夜景の撮影時などに真価を実感します。

↑Xperia 1 VIIでケーキに接写。

 

↑Xperia 1 VIIで撮ったコップの水滴。

 

Xperia 1 VIIのカメラは使いやすさも含めてよくできていると感じました。一点気になったことは、iPhoneよりも“うす暗い場所”の撮影がやや苦手らしいということ。手持ちで撮影するとブレやすくもなるので、スマホ用の三脚やジンバルを併用すればこれを攻略できるかもしれません。

↑うす暗い室内でマスコットを撮影。

 

ウォークマンゆずりのサウンドは何がすごい?

ソニーのXperiaは「スマホによるハイレゾ再生」の技術進化をリードしてきたシリーズです。独自のデジタル音源のアップスケーリング技術であるDSEE Ultimateは、ハイレゾ楽曲はそのまま、ハイレゾではない楽曲は最高192kHz/32bitまで拡張して情報量豊かなサウンドを楽しませてくれる画期的な機能。本体の「音設定」(またはミュージックアプリの「オーディオ設定」)から「再生音質」に入り、「オーディオエフェクト」をオンにします。

↑DSEE Ultimateや立体再生の効果は「オーディオエフェクト」から選択します。

 

音楽配信サービスの一般的な楽曲を再生して、「おすすめ」「音質重視」などの機能を切り替えてみると、その効果がよくわかると思います。立体音響に関しては、ソニー独自の「360 Upmix」により映画館やコンサートホールのような広がりのある音楽体験を楽しませてくれます。

 

なお、Xperia 1 VIIのオーディオ的なハイライトは、デジタルオーディオプレーヤー「ウォークマン」の基本的な高音質化技術を継承した点にあります。プレミアムグレードのオーディオ集積回路を備え、回路にパーツを固定する“はんだ”やオーディオジャック、抵抗といった部品の厳選など、そのノウハウが活用された箇所は多岐に渡ると言えるでしょう。地味に感じるかもしれませんが、その効果は抜群です。本体の3.5mmオーディオジャックに有線のイヤホン・ヘッドホンをつないでサウンドを聴くと、違いがわかります。

↑3.5mmオーディオジャックを本体のトップに搭載しています。有線リスニングによるサウンドが一段と強化されました。

 

筆者は米SHURE(シュア)の1万円台で買える高音質イヤホン「SE215」で試しましたが、サウンドがとても活き活きとしています。Amazon Music Unlimitedで、ソニーの360 Reality Audio対応のコンテンツとして配信されているYOASOBIのアルバム「THE BOOK」の『群青』がおすすめの試聴コンテンツです。Xperia 1 VIIで聴くと、音場の豊かな立体感、オブジェクトオーディオの鮮明な粒立ちと移動感にものすごく引き込まれます。

 

Xperia 1シリーズは、内蔵スピーカーの音質にも徹底的にこだわってきたスマホです。今回の最新モデルも、ソニー・ミュージックのエンジニアと一緒に音づくりを極めてきました。高音域の限界、中低音域の深みを最大10%拡張したというサウンドは、スマホから鳴っていることがにわかに信じられないほどパワフルです。ちなみに先述の「オーディオエフェクト」は、スピーカー再生の場合も有効です。「おすすめ」や「立体音響」を選ぶと、Dolby Atmosによる没入サウンドが楽しめます。スマホを手もとに構えるぐらいの短い間合いが、最も鮮やかな立体サウンドが楽しめる最適視聴距離になっていますが、音のパワー感と立体感は並みのサウンドバーよりも鮮やかです。

↑ディスプレイ側に正面向きのステレオスピーカーを搭載しています。

 

明るく自然な映像はブラビアゆずり

Xperia 1 VIIの6.5インチ有機ELディスプレイはソニーのテレビ「BRAVIAの高画質」を継承しています。とても自然な発色と明暗の再現力を特徴としていますが、本体設定の「画質設定」から画質モードやホワイトバランスも好みに合わせて選べます。

 

Xperia 1 VIIはディスプレイ側と本体の背面にも照度センサーを載せており、視聴環境に合わせてディスプレイの明るさを自動調整します。画面の輝度は従来モデルから20%アップしました。

 

晴れた日の屋外で、Google Pixel 9 Proと画面の視認性を比較してみました。Google Pixel 9 Proの性能は最大HDR輝度が2000nits(HDR 輝度)、明るい屋外で使ったときのピーク輝度は3000nitsです。Xperia 1 VIIはそれぞれの性能を数値にして公開はしていないので、筆者の目視による評価ですが、やはりXperiaの方が一枚上手だと感じます。

↑画面の明るさは最大値に固定。右側Xperiaの方がより明るく視認性に富んでいます。

 

Xperia 1 VIIのカメラで撮ったウルトラHDRの写真を見比べると、やはりXperiaの方が明部の明るさに優れているうえに、明暗の階調表現が豊かです。Androidのホーム画面を表示したディスプレイを晴天の屋外で見比べてみても、やはりXperiaの表示はクッキリとしていて力強く感じます。電車などの移動中も動画が心地よく楽しめます。

↑上がXperia、下がGoogle Pixel。同じHDR写真を表示すると、陰影の繊細な表現力はXperiaが上手であることがわかります。

 

Xperia 1 VIIは昨今ブームの「生成AIスマホ」とは一線を画しながら、職人気質にプレミアムスマホを追求した端末です。加えてSnapdragonの最新チップも搭載しているので、もちろんアプリ版のChatGPTなどもサクサクと動きます。見方を変えれば、「AIスマホ+α」の上質な体験を味わいたい方には、Xperia 1 VIIがふさわしい選択になるだろうと思うのですが、いかがでしょうか。

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