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香川県におけるため池の太陽光発電の実証実験

  • 2016年7月16日
  • エネクトニュース
香川県における水上式太陽光発電の実証実験
全国で面積が一番小さい県である香川県は、瀬戸内式気候で年間の降水量が少ないのに対して日射量は多い。雨が少ないため、農業用の水はため池で確保されていて、県内には1万5000カ所ものため池が存在する。

ため池の現地調査を元に、ため池水面を活用した太陽光発電の導入が可能であると判断された。しかし、このような事例が存在しないため、2014年11月から1年以上に及ぶ水上式太陽光発電の実証実験が取り組まれていた。

実験では1カ所のため池にて、太陽光パネルの角度やフロート形式、係留方法など、異なる実験設備を3パターン用意し、水位変動の対応状況、気象変動の影響などによる設置機器の性能および発電量などのデータを収集し、あらゆる検証を行った。

実験結果
年間の発電量が当初の想定を5%も上回り、水上式太陽光発電の効果が明らかとなる実験結果となった。

実は、実験期間中の日射量は過去30年間の平均値の98.3%で少なかったのだが、当初の想定を上回る発電量を得られていた。その理由として水上に設置した太陽光パネルの冷却効果が大きかったと農政水産部では推測している。

太陽光パネルは光を受けて温度が上昇すると発電量が低下する傾向があるが、水上では陸上よりもパネルの温度上昇を抑えることができる。実際に先進地事例では、このため池水面での冷却効果によって発電量の約10~14%増が確認されている。

太陽光パネルの設置角度を5度・12度・30度に分けて発電量の比較をした結果、30度の場合に発電量が最も良かった。ただ、30度の場合、パネルの離隔距離が長くなるため、フロート面積も大きくなる。ため池の立地条件や風雨の影響なども考慮しながら総合的な検討が必要だと言う。
このフロート形式は樹脂製中空・発泡スチロール製フロート・発泡スチール充填式で比較されたが、これによる発電量の差はなかった。安定性という点においても、風速11.4m/s時でも大きな上下動は見られず、その中でも特に発泡スチロール製フロートの安定性が高く、経済的にも優れているという結果になった。

ただし、今回の実証実験では不具合が発生しなかったが、発泡スチロールを支える金具とボルトの外れや緩み、ボードのひび割れが存在したため、長期間の耐用年数という点において不安が残る結果となった。

さらに、水上の場合、常時フロートが動いているため、損傷度が大きく、丁寧な施工や定期的な点検、台風などの異常気象時の現地確認など地上の場合以上に細やかな管理が必要と言うことだ。

また、パネルが池を覆うということに対する景観・文化財・環境等への影響も懸念される。正式に導入するまでにはまだ課題が多い。

しかし、太陽光発電の新たな導入方法として、ダムや池の水面を利用した水上式が注目を集めている。今回明らかとなった課題の克服に期待したい。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

香川県
http://www.pref.kagawa.lg.jp/

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