アラブ諸国の中でも、経済発展が目覚ましいUAE。その首都アブダビの魅力は、なんといってもその豪華さだ。
かつて話題を呼んだ金の延べ棒の自動販売機こそなくなってしまったが、日本の常識を超えるスケールと贅沢さは健在。今回は、そんなアブダビの注目スポットを3回にわたってご紹介する。
第2回目は、白亜の巨大モスク「シェイク・ザイード・グランド・モスク」。息をのむほど美しいデザインと繊細な装飾に、きっと魅了されるはずだ。
「シェイク・ザイード・グランド・モスク」は、現代イスラム文化の傑作であり、UAEを代表する観光名所。11年の歳月と総工費約550億円をかけ、中東やヨーロッパをはじめ世界各地から集まった資材と職人によって造り上げられたモスクだ。
イスラムの穏健さを体現するこのモスクの建設は、1971年に6つ(現在は7つ)の首長国が統合されて誕生したUAEの建国の父、故シェイク・ザイード・ビン・スルタン・アル・ナヒヤンの夢だった。
モスクが完成し、公開されたのは2007年。55万5,000平方メートル以上ある敷地に、37カ国から集められた大理石を使った大小さまざまな82個のドーム、4本のミナレット(尖塔)、1,000本以上の柱があり、5万5,000人以上を収容することができる世界最大級のモスクである。
アブダビ市内中心地から車で約20分。まずは、ガラス張りのドームが印象的な「スーク・アル・ジャーミィ」のエントランスからエスカレーターで地下へと降りる。そこに広がるのは、51店舗もの土産物店や飲食店などが並ぶスーク(ショッピングモール)だ。ハーゲンダッツやシナボンといった外資の飲食店もある。
モスクに向かおうとしたら、なんと入館チェックで引っかかってしまった! スカーフで髪も覆ってあったし、足首まであるスカートをはいていたのだが、透け感のある生地を通して足首が透けて見えると指摘されたのだ。仕方なく全身を覆うアバヤをレンタルさせていただき、地下通路へ。
ガラスドームのエントランスからモスクまでは結構な距離があり、動く歩道を利用することができる。VIPと思われる方達はカートで移動していた。通路の壁には、世界各国の要人がモスクを訪問した際の写真などが飾られている。
地上に出ると、いよいよモスクだ。回廊に囲まれたその奥には、白亜のドームやミナレット(尖塔)が聳える。回廊の周囲には池が設けられ、水面に映る回廊の景色も美しい。
今回は取材ということで、特別に人のいない回廊を進ませてもらえることに。床から柱、アーチが連なる天井も、すべてが完璧なまでに繊細な装飾で飾られている。
メインホールに敷かれているのは、ギネスに登録された世界一大きな絨毯。頭上のシャンデリアの真下に円形のメダリオンが描かれていて、シャンデリアの光とシンクロしていて美しい。
メインホールだけでも、柱は96本。4本一組の柱の上部には、金色のナツメヤシの葉の装飾が施されている。柱の側面にも細かな装飾があり、どこを見ても見事な意匠で満ちている。
天井から吊されている7つのシャンデリアのうち、最も大きなものはメインホールにある20トンのシャンデリア。直径12メートル、高さ15.5メートルもあり、15,500個のLEDが備えられている。ナツメヤシをモチーフにしていて、円柱部分は幹、凹面の部分が葉、色とりどりの球体はナツメヤシの実を表現している。
ほかのシャンデリアも豪奢で、最も小さいものでも1.4トン。どのシャンデリアにもイスラムの紋様や植物のモチーフが施されていて、トータルで4,000万個ものスワロフスキーのクリスタルが使われている。
見学の際は事前に予約が必要なので、公式サイトから予約するか、旅行会社などが主催するツアーに申し込もう。開館時間は曜日やラマダン期間などで変わるので、最新情報の確認も忘れずに。
Sheikh Zayed Grand Mosque(シェイク・ザイード・グランド・モスク)
所在地 Al Rawdah, W54, Abu Dhabi, UAE
電話番号 +971 2 419 19 19
開館時間 土〜木曜9:00〜22:00、金曜9:00〜12:00、15:00〜22:00(最終入館は閉館30分前、ラマダン期間中は変更あり)
定休日 無休
入館料 無料
https://www.szgmc.gov.ae/
【取材協力】
エティハド航空
https://www.etihad.com/ja-jp/
たかせ藍沙(たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航160回超・70カ国超、スパ取材300軒超、ホテル取材2000軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。主な著書に『ファーストクラスで世界一周』(ブックマン社)、『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、『LOVE! ROSE 薔薇のチカラでもっとキレイになる!』(宝島社)。楽園写真家・三好和義氏の共著に『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』『青の楽園へ 地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに...』(ともにPHP研究所)がある。
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文・撮影=たかせ藍沙