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響け50周年の空に! 「いざ『メリーアン』奉歌――」 アルフィーの“歌朱印”を貰ってきた

  • 2024年5月18日
  • CREA WEB

「メリーアン」。それは今年50周年を迎えるTHE ALFEEを語るのに、避けては通れない1曲である。

 リリースは1983年6月21日。「ザ・ベストテン」初ランクインは1983年9月8日。第7位だった。

 ここからジワジワジワジワ順位を上げて、ついに10月6日には第3位に! この週は1位「禁区」中森明菜、2位「CAT’S EYE」杏里、それに続く「メリーアン」なのである。この並びはアツい!

 ライブでは観客のみなさんも歌い、大合唱になるというではないか。まさに超名曲。これは心してかからねばなるまい――。ビッグエコー吹田岸辺店を前に、私は深呼吸をした。

 そう。私の任務は「メリーアン」歌朱印をゲットすること。前日に電話で部屋を予約し、「『メリーアン』の歌朱印はありますか」という確認まで入れての突撃である。

 よくよく見れば、この歌朱印マップ、非常によくできている。参加店は東京が多いのだが、ヒット曲が都市に集中しないよう、日本各地に分散されている。

 ならば行こう。どうせなら歌と舞も奉納すべきだろう!


https://big-echo.jp/campaign/alfee/より。この企画を発案した人に激しく嫉妬する。こういうアイデアが時代を大きく変える気がする。

●「メリーアン」奉納

 受付で歌朱印を欲しい旨を伝えると、スタッフの方が大きな箱をうやうやしく持ってきてくださった。そこから出された歌朱印「メリーアン」の筆文字は力強く、もはや古(いにしえ)から伝わる呪文のよう。なにやらご利益がありそうである。

 歌朱印を無事ゲットし、部屋に入り、お神酒(ビール)で喉を清め、いざ神楽(メリーアン)奉納――。

「夜ッ露〜に〜ねれッる〜!!」

 かなり広い部屋に通していただき気持ちが解放的になったせいか、やたら快活なメリーアンとなってしまった。


ビールを飲みながら改めて歌朱印を眺める。美しい。

 しかし最近のカラオケの機能の進化には驚きを隠せない。AIによるアドバイスがいろんなグラフ付きで細かく出てくる。一度目の「メリーアン」は点数がかなりのオロロン状態だったので、一言アドバイスを読んでみると、

「高音に違和感があります」

 ちょいちょい待て待て待て(怒)。「メリーアン」のサビ、「メリアーン! メリアーン!」の難しさがAIにわかるのか? あの「アーン……」の部分の浮遊感を粋に歌える日本人って少ないと思うのよ。しかも直後に、この曲の最も重要な叫び、「ウォンチュッステッフォーミー!」が控えている。この難易度の高さがわかって言ってる(泣)?

 さらにいえば、「最後にンがつく単語はかなり歌いにくい問題」は誰しもがぶち当たる壁。西城秀樹さんの「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」も、冒頭の歌詞「ヤングマンッ」を早口で歌わねばならず、「ヤンマンッ」となってしまい、ものすごく難しいんだぞ!

 つ、つい熱くなりヒデキまで巻き添えにしてしまった。このままでは終われない。その後5回連続で「メリーアン」を歌うことになるのだった。


「メリーアン」を入れると、楽曲の映像が出る前に、歌朱印画像が一瞬映し出されたので、アワアワしながら撮影。

 響き渡る「メリアーン! メリアーン! メリアンッ ウォンチュッステッフォーミー」の雄叫び。知れよAI、歌は音程ではない、魂だということを。そしてこの声よ届け、THE ALFEE 50周年の空にーッ!

●大好きな「風曜日、君をつれて」の歌朱印が欲しい

 歌朱印をもらった興奮もあり明らかに常軌を逸した私だったが、これこそが「祭りのテンション」だと決めつけ、さらに気持ちは上がっていく。そして「星空のディスタンス」「1月の雨を忘れない」「風曜日、君をつれて」など、アルフィーの楽曲を立て続けに奉納。

 疲れて休憩として1番だけのつもりで松山千春の「恋」を入れ、

「愛する〜ことに〜疲れた〜みたい〜♪」

とおっさん座りしながらメロウに歌ったが、これまた陶酔力が凄まじく、目をつぶって最後まで熱唱してしまった。もう情緒はバラバラである。

 書くのを忘れていたが、一人カラオケである。想像してほしい。5人以上入れる広い部屋を、ミラーボール風の照明がグルグルと回って照らす。赤と青のドットの光が点滅するなか、踊ったりしゃがんだりしながら歌う汗だくの私の姿を――。

 いや、ひるむまい。今日の私はメリーアン。すがるような瞳と長い髪を持ったメリーアンなのよ! そう自分に言い聞かせ、最後にもう一度気力をふり絞り「メリーアン」を歌ったが、もう息も絶え絶えである。いかに己の体力が衰えているかを知った。そして、これらの歌を3時間歌うアルフィーの体力のすごさを知った。

「メリーアン」がもたらしてくれた気づきである。


メリアーンメリアーン♪

 1時間が過ぎ、カラオケを出て、私は空を見つめた。残念ながら曇天であったが、私には見えるぞ。その雲の向こうに広がる、爽やかな初夏の青空が。

 そして聞こえるとも。まさに今、この瞬間に、どこかのビッグエコーで誰かが歌朱印を手に響かせている歌声が!


7thアルバム 「ALFEE'S LAW」

 楽しかった。こうなると関西圏はもちろんだが、大好きな「風曜日、君をつれて」の歌朱印が欲しくなってくる。

 宇都宮か。餃子もおいしそうだし、新幹線に乗って行くか……。


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲

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