
美しい山城、郡上八幡城の麓に広がる城下町、郡上八幡。緑豊かな山々と清らかな水に恵まれた町の酒蔵跡に、個性豊かなお店が集まっています。その中心となっているのが、郡上市内で集めた家具や道具類を販売する「gugulab(ググラボ)」です。長年使い込まれた味わい深さや時代を感じる、珍しい逸品がせいぞろい。宝探しをするように、お気に入りとの出会いを楽しめるお店をご案内します。
「gugulab」があるのは、郡上八幡の町の中心を流れる吉田川と、それより少し小さな小駄良川(こだらがわ)が合流する辺り。平野酒造という酒蔵があった一帯がリノベーションされて、ショップやカフェなどが集まるエリアになっています。大きな蔵を利用した、ひときわ存在感のあるお店がgugulabです。郡上八幡のいろいろなお店との交流も幅広く、“ググ”と呼び親しまれています。
オーナーの笠井裕也さんの本業は、映像制作に携わるクリエイター。長野県諏訪市で、古材や古道具を買い取って循環させる「ReBuilding Center JAPAN」を訪れたことから、同じようなビジネスが郡上でもできないかと考え、開業を決めました。
ググで扱う家具や道具などは、郡上市内の民家などで眠っていた道具“眠具(みんぐ)”。持ち主からの依頼により、これらを引き取って販売しています。大きな家具を動かすことができない、大量の道具の行き場がないと困っていた持ち主は片付くことで助かり、貴重な品を頂けるググはありがたい。そして、ググに並ぶ商品を気に入って購入するお客さんも、ごきげんに。みんなが喜ぶ素敵なサイクルが生まれています。
引き取った品はそのまま販売するほか、リメイクを施すことも。タンスやサイドテーブルに鉄の脚をつけたり、古い着物をリメイクしたり。現代の暮らしや新しい感性になじむアイテムとして、生まれ変わっていくそうです。また、本来の使い方から見方を変えた新しい提案も。大量に集まる器に穴を開けて植木鉢に、植物と組み合わせた販売もされています。
数多く入荷する食器類では、レトロな味わいのガラス類や骨董品のような器も。骨董品店ではないので、鑑定して値段をつけるようなことはしておらず、お客さんから「この値段でいいの?」と言われることもあるそう。骨董品としても価値のある、お宝のような品が見つかるかもしれませんよ。
ユニークな風貌が目を引く人形たちは、土びなです。昔、郡上に来ていた行商が売り歩き、郡上の民家に多く残っているそう。名前の通り、お雛さまもありますが、歌舞伎の登場人物や軍人など、時代を反映したものも。表情豊かで、思わず微笑んでしまうような人形も多いので、一つひとつじっくり選んでみるといいですね。
入口近くにコーナーが設けられているのは、地元のイラストレーターさんが描いたキャラクターがかわいいオリジナルグッズ「Atelier Kado(アトリエカド)」。ググだけで手に入るグッズで、トートバッグやTシャツなどには郡上の地場産業であるシルクスクリーン印刷が用いられています。なかには、郡上踊りなど地元の風物詩や名物をあしらったアイテムも。郡上らしさがありつつも洗練されたおみやげとして、喜ばれそうですよ。
ググの店内を探検してお気に入りを手に入れたら、お店の周りをぐるりとめぐってみましょう。カフェでひと休みしたり、遠くに見える山々や川の流れをぼんやりと眺めたり。公園のように開けた場所や、川に面したカウンターもあるので、時間を忘れてのんびり過ごしたくなります。
郡上の家庭やお店で愛されてきた品々を、新しい人へと手渡すgugulab。個性豊かな道具が集まるお店を訪れて、あなたと新しい歴史を重ねる品物を見つけませんか。