豊かな自然の中に瀟洒なお屋敷が立つ鎌倉山は、桜の名所としても知られています。鎌倉方面から鎌倉山へと向かうバス通りは「鎌倉山さくら道」とネーミングされていて、約2.5㎞にわたって淡いピンク色の桜並木が続きます。景色のいいカフェや山野草などを扱うお花屋さんも点在し、富士山を望むエリアもある並木道。アップダウンがあるのでまずは鎌倉駅からバスで停留所「鎌倉山」まで行って、そこからカフェやショップに立ち寄りながら桜を楽しむのもおすすめです。今回は春爛漫の鎌倉山でおすすめのお店をご紹介します。
イギリスの田舎にありそうな雰囲気に包まれる「ハウスオブポタリー」。木枠の窓やエッチングガラスをはめた扉などイギリスのアンティークの建具を使い、緑に囲まれたコンサバトリーではポットから温かい紅茶を注いでスコーンなどの焼き菓子も楽しめます。
イギリス発祥のアフタヌーンティーもここでは花や緑を手書きで描いたイギリスのヴィンテージのお皿を使い、異国の情緒が漂います。キッシュやミートパイ、コーニッシュパスティといったイギリス伝統の家庭料理もランチで味わえますよ。
大きな本の暖簾が目印の「惣 common（ソウ コモン）」は、カフェのドリンクをいただきながら本棚の本を自由に読み、気に入った本は購入もできるブックカフェです。鎌倉山の自然にとけ込むように立つ一軒家は、暖簾をくぐると竹林に向かって張り出したウッドデッキが広がり、このテラスから入ります。
本は「まちと住まいの行く末」「体と心の健やかさ」など9つのテーマに分類されジャンルは様々。オーダーごとに豆を挽く「エスプレッソ」や「自家製ジンジャーエール」をいただきながら、フレッシュな空気が流れる緑の中で読書をする贅沢なひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
鎌倉山の自然に囲まれてリゾート気分を満喫するパティスリー「ル・ミリュウ 鎌倉山」。大きなパラソルのある屋上テラスから階段を降りると、明るい光が差し込むモダンなカフェと、開放的なテラス席が広がります。
ショーケースに宝石のようなケーキが並びぶ店内では、モーニングからランチ、ティータイムまでも楽しめます。マカロンや焼き菓子がカラフルに彩るアフタヌーンティーは、好きなケーキが選べるほか、となりの工房で焼くパンを使ったサンドイッチも人気です。
店頭に並ぶ数々の鉢植えに埋もれるようにたたずむのは、切り花はもちろんのことめずらしい山野草や多肉植物も扱う「草花屋 苔丸」です。扱う植物の種類の多さと圧倒的なセンスの良さで、ガーデニングの専門雑誌にもたびたび登場する素敵なお店です。
奥にはフランスやイギリスのアンティークの建具を利用した温室があり、ビーカーに入ったかわいい多肉植物から大きな鉢物まで生命力いっぱいに枝葉を伸ばしています。その横は花材や資材が壁際に整然と並びさしずめ魔女の支度部屋のような異次元の空間で、アトリエになっています。自宅に飾りたくなるリースやアンティークの小物も揃います。
35年の歳月を費やしてレシピを完成させたという「チーズケーキ」が人気の「ハウス オブ フレーバーズ」。こだわりのチーズケーキはサワークリームとクリームチーズ、シナモン風味の生地の3層からなり、繊細な素材を端正に積み重ねた奥深さが魅力です。レシピの完成から30年以上たった今もなめらかでこっくりとした味わいは変わらず、はるばる遠方から訪れる人が後を絶たないほどです。
木の葉をイメージしたというお店は、鎌倉山に生い茂る木々の葉っぱのような素敵な建物。天井を見上げるとまさしく木の葉の形になっているのがよくわかります。革張りのイスに座ると目の前には青空と鎌倉山の緑だけが広がり、まるで木の葉になって自然の中で悠々と風を感じているかのような気分にもなります。
風格のある山門から入る「檑亭（らいてい）」は、約5万㎡もの敷地の中に廻遊式庭園があり、食事のあとはお庭の散策も楽しい老舗のそば処です。江戸時代の豪農の旧宅を昭和初期に横浜市内から移築したという大きな木造建築の本館は、1階はそば処、2階の和室では会席料理をいただけます。
北海道産の蕎麦粉で毎朝その日の分だけ自家製造するそばはのど越しがよく、天ぷらなどのお料理も一緒にいただくのがおすすめです。とくに春の時期は、庭で獲れる新鮮なフキノトウの天ぷらやタケノコの料理など旬の食材が登場します。
週末には庭園の中にある甘味処「露庵」がオープンします。「そばだんご」や「あんみつ」で鎌倉山の自然を満喫しながら過ごせます。
うららかな春の陽気にさそわれて歩く鎌倉山は、とても気持ちがよく心も体もリフレッシュします。素敵なお店に立ち寄りながら、淡いピンク色に染まる並木道の散策を楽しんでくださいね。
