
スイーツプロデューサー・磯崎 舞が、日常に寄り添うおやつから贈り物にも選びたくなる焼き菓子を紹介する連載『#焼き菓子部』。暑さが本格的になるこれからの季節、食べたくなるのは柑橘のスイーツ。レモンやオレンジなど素材を活かした爽やかさが、涼を運んできてくれますよ。今回は「MAISON GIVRÉE(メゾンジブレー)」の湘南ゴールドケーキをご紹介します。
日本各地の生産者から仕入れた、産地直送のフルーツや野菜で作る菓子が絶大な人気を誇る「メゾンジブレー」。オーナーの江森 宏之シェフは修業時代から日本各地の農家を訪ね歩き、パートナーシップを結んだ生産者の数は200を超えるそう。とれたての旬の素材によって生み出されるフレッシュな菓子作りこそ「メゾンジブレー」のモットーで、他のパティスリーとは一線を画す魅力を放ちます。
そんな素材への愛があふれる江森シェフが「神奈川の銘菓を作りたい! 」と着目したのは、県を代表する柑橘の湘南ゴールド。黄金柑に「今村温州」というみかんの品種をかけ合わせて生まれ、甘味、酸味、香りのバランスに優れています。県名菓展菓子コンクールの観光みやげ品の部で最優秀賞を受賞し、県銘菓にも指定されたのが湘南ゴールドケーキです。
イエローにブルーが映える鮮やかな色合いは夏らしく、ひと目見ただけでハッピーな気分になります。個包装になっているので大人数にも手軽に配ることができ、ギフトにおすすめです。
菓子作りに既製のフルーツピューレなどを使う店が大半ですが、「メゾンジブレー」では手間暇かけて自社で加工しています。湘南ゴールドに至っては、種とヘタ以外余すことなくほぼ丸ごと使い、今までは捨てられていた皮を砂糖漬けにして活用。年間800キロほどの仕入れのうち、皮を捨てることになると300キロ近くが廃棄されることになり、フードロス削減にも貢献しています。
しっとりした生地を噛みしめると、キュンとした酸味と心地いい爽やかな香りで口の中がいっぱいに! 湘南ゴールドの果汁を入れた表面のアイシングからも清々しさが伝わってきて、うだるような暑さも吹き飛びます。ひんやり冷やすと、よりさっぱりといただくことができますよ。
湘南ゴールドが出回る期間は約3ヶ月ほどですが、通年販売しています。他の柑橘にはない湘南ゴールドのおいしさをぜひ味わってみて。