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神戸の海辺の街から届ける「器のある暮らし」/陶芸家・三木あゆみさん

  • 2020年9月3日
  • ことりっぷ


神戸・垂水にある、生活に寄り添う器と道具の店「うつわと道具や ころは」。
この店を運営する陶芸家の三木あゆみさんに、陶芸への想いや作品についてお話を伺いました。
■プロフィール
三木あゆみ(みきあゆみ)/兵庫県出身。メーカーのデザイン職を経て、2012年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了後、地元・神戸を拠点に制作活動を行う。
2015年、ご主人とともに「カレーとうつわ ころは」をオープン。4年後、自身の作陶はもちろん全国各地の作家の“うつわ”の取り扱いにも力を入れたいと「うつわと道具や ころは」としてリニューアルした。
幼いころから絵を描くことやものづくりが好きだった三木さんは、芸術大学でデザインを専攻し、卒業後は木製品メーカーのデザイン職として商品企画に携わります。
机の上で図面と向き合う日々を3年ほど続けたころ、三木さんの中で次第に「自分自身の手で何かを生み出したい」という想いが膨らんでいったといいます。
「せっかくなら以前から興味のあった陶芸を本場で学んでみようかと思いました。そうなったら『いつか行きたい』ではなくて、とりあえず今行ってみて、そこから考えようと思ったんです」
愛知県瀬戸市の陶芸学校に入学した三木さんは、学び始めるとすぐに陶芸の魅力に夢中になります。思い切って飛び込んだその先には、三木さんが思い描いていたものづくりの道が確かに広がっていました。
その後、岐阜県多治見市の研究所で2年間陶芸の学びを深めた三木さん。陶磁器生産量日本一を誇る美濃焼のふるさとで、全国から集まった個性豊かな仲間たちに刺激され、自分の表現を強く打ち出すことを目標に取り組んでいたといいます。  
ところが、陶芸の街から地元・神戸に戻り、陶芸への想いに変化が見られたそう。
「街のいたるところに焼き物が転がっていた多治見と比べると、暮らす人々にとって陶芸が敷居の高いものになっていると感じました。
芸術としてではなく、もっと神戸の人の暮らしに溶け込む、身近な器をつくりたいと考えるようになりました」
暮らしへの取り入れやすさを意識して三木さんが手がけているのが、黒と白のコントラストが印象的な「黒土」のシリーズです。三木さんの陶芸の原点である愛知県・瀬戸の黒土を使用し、白く青みがかかった釉薬をかけて焼成しています。
「男女問わず使えるようサイズや器の深さにこだわっています。」と話す三木さん。
さらりとした質感と、黒土部分に施されたていねいな手彫りの装飾のためでしょうか、シンプルでありながら無機質ではないしっとりとした佇まいで、幅広い料理を受け入れてくれそうな作品です。
三木さんがもう一つ主に制作しているのが「どうぶつ」シリーズです。
素焼きの上に、馬、鳥、象の三種類の絵柄が鉄の絵の具でちょこんと描かれた、ほっこりとした雰囲気が人気です。
アイボリーの色味と、器の上下の紋様とそのかすれ具合から、古代の造形を思わせるどこかノスタルジックな作品です。
「陶芸をはじめてから、昔の人の造形に心が向くようになりました。土を捏ね、水をまぜ、火で焼くという、そのシンプルな行為を通して古代の人と私たちはつながっているように思います。
土器をはじめ、昔の焼き物は現代の私たちから見ても面白いものが多いんですよ。新しいばかりが良いわけではないという、そこが陶芸の奥深さだと思います」
「陶芸のことを学んだり作ったりするほど、もっと良いものを作りたいという想いが湧いてくるんです。終わりのないところが陶芸の魅力かもしれません」と笑顔で話してくれた三木さん。
現在は、自身が「ビビッとくる」色が出せるように新しい釉薬を研究中だとか。
三木さんの陶芸の道は、まだまだ続いていきます。
第2回はお店の詳細と、暮らしになじむオススメの器について三木さんにお話を伺います。

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