8月1日に、西丹沢のキャンプ場で母子3名が亡くなるという悲しい事故がありました。被害に遭われた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
事故が起こるに至った経緯については、まだわからないことも多いのですが、事故現場が川の中州に設けられたテントサイトであったという点には、大きな違和感を持ちました。中州は、川の中に砂や砂利が沖積しただけのものですから、少し川が増水するだけで、冠水してしまう可能性があります。そのような場所に、避難がいっそう難しくなる夜に眠る場所を設けるのは、あまりにも危険です。
これを読んで、「そうなんだ、知らなかった」という方がいても不思議ではありませんが、キャンプを運営する立場の人が知らないということがあり得るのだろうかと、ずっと疑問が頭の中をめぐります。
川は私たちに自然の美しさ、豊かさを教えてくれるすばらしい場所のひとつです。子どもたちが川や海、山といった自然に親しみ、遊ぶことは、少ない資源から楽しみを見いだす能力を伸ばしたり、自然環境に対する興味を高めたりすることにとても役立つと考えています。ですから、多くの方に川での活動を楽しんでいただきたいと思うのです。
ただ、自然の中には、日常の生活とは異なる種類の危険があるのも事実です。どれだけ注意をすれば安全かというのは、場所や時間、天気の状況などさまざまな要因によって変動するため、単純な線引きはできませんが、「日常の生活とは異なる種類の危険がある」ということを頭の隅っこに置いて、少し臆病なくらいの早めの判断を心がけていただければと思います。
「これより先に行ったら危ないかもしれない‥」「ん、なんかやばいぞ‥」といった、安全に対する感度は、安全に関する情報を頭に詰め込むだけでは身につきません。実際に自然の中で遊び、環境の小さな変化に気づく経験を重ねることで、ようやく身につくのです。
くれぐれも安全に配慮して、自然を楽しんでいただければと思います。