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キャンプの恵み

Vol.55 引けないライン

  • 2014年4月24日

男女いっしょで楽しめる場面もたくさんあるけれど‥
男女いっしょで楽しめる場面もたくさんあるけれど‥
 「みんないっしょに」「みんなで仲よく」というのは、言葉としては麗しいけれど、いつどんな状況でも適用できるわけではありません。

 たとえば「男女いっしょにキャンプ」に、ほとんどの人は抵抗を感じないでしょう。ではその場面ごとに切り分けるとどうでしょう?「男女いっしょに野外炊事」「男女いっしょに山登り」「男女いっしょに水泳」「男女いっしょにバスケットボール」「男女いっしょにお風呂」「男女いっしょにテントで眠る」‥気にならないものも、ひどく気になるものもあります。

 一見、問題ないように思える「バスケットボール」も、同一年齢における男女の身体能力の違いを考慮すると、双方に不満が募る可能性も浮かびます。「テントで眠る」は、キャンパーが15歳だと多くの人が強い抵抗を感じると思いますが、5歳なら抵抗感は少し下がるかもしれません。もしそこに「男・女で割り切れない性」という変数を加えると、判断はさらに複雑に。「ここまではOK」というラインを簡単には引けません。


実際の場面を思い出しながら、あーでもない、こーでもないと話し合います
実際の場面を思い出しながら、あーでもない、こーでもないと話し合います
 こんなことをおもうのは、つい先日、この困難な課題を考える「キャンプ指導者のためのリベラルアーツ〜ジェンダーと子どもの心」という研修会を行ったからなのです。国立女性教育会館の引間紀江さんを講師に、ワークショップを進めたのですが、話し合いはずいぶん盛り上がりました。実際に困った状況を取り上げて「あーでもない、こーでもない」と話すのですが、当然のことながら明確な結論には至りません。

 でも、これでいいのだとおもいます。

 いくら考えても答の出ないようなことを判断しなければならない場面は、キャンプの中にいくらでもあります。結果、その判断は感覚的なものとなりますが、そこで最善の判断をするための最良の準備は、「この判断で、つらく感じる人はいないか」に気付けるセンサーを持つこと。このセンサーを育てる方法は、「あーでもない、こーでもない」という日々の逡巡でしかないからです。



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