キャンプが終わるとき、キャンパーの口からこんな言葉が漏れることがあります。それはキャンプが楽しかったことを反映していて、実施する側にとってうれしい言葉ではあります。しかし、その裏側には「楽しい時間をもっと」という気持ちだけでなく、「日常に戻りたくない」という気持ちもあったりします。 先日、東日本大震災で大切な人をなくした子どもたちを対象とした4回目のグリーフキャンプが終わりました。このときも「帰りたくないなぁ‥」と言う子どもたちがいたそうです。うれしいけれど、ちょっと複雑な気持ちにさせる言葉です。
キャンプの楽しい時間は、一瞬、それを失うさびしい気持ちを生み出す原因となってしまうかもしれません。けれど、なくすとさびしく感じるような楽しい時間を経験することもまた、日常の中に楽しい時間を新たに見いだすためには必要です。 キャンプは万能薬でもないし、変化が現れるまでに長い時間がかかり、効果を的確に示すのはなかなか難しいものです。けれど、促成された変化ではない分、その結果生じたものは確かだとおもうのです。この先ももうしばらく彼らと寄り添い、年に1回か2回でも、価値観の縛りをちょっと緩められるような、楽しい取り組みを続けられたらなぁとおもいます。 |