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キャンプの恵み

Vol.49 安全第一、挑戦も大事

  • 2014年1月30日


十分な安全対策があるからこそ挑戦できる
 自然体験活動の指導者を対象としたリスクマネジメントの研修会で、ここのところ何度か講師をさせていただく機会がありました。私には野外の安全に関するエキスパートであるという自負はありませんが、お呼びがかかれば勉強して、講師を務めることもあるのです。

 「リスク(Risk)」は一般的に「危険」と訳されますが、どちらかというと「(思うとおりになるとは限らないという)不確実性」という意味が強いようです。そのままならない状況をなんとか手なづけて安全にやっていきましょうというのが、リスクマネジメントです。

 キャンプを行う目的は実施主体によってさまざまですが、おそらく基本には「参加者の成長」という願い(目的)があります。成長には未知のことに挑戦して、達成するというプロセスが重要ですが、挑戦はいくらかのリスクを必ずともなうのです。

 事故が起きると、たくさんの人が傷つくことになります。だからリスクを事故につなげないことが必要です。それでも、事故を防ぐことが目的化して、リスクをことごとく潰し、事業本来の目的を覆い消してしまうと、「なら、事業をしなくてもいいじゃん」ということになりかねません。それはそれでつまらないことです。また、目的達成と事故防止を高次元で両立させようとすると、経済的合理性を失うことも起こりえます。「このキャンプはノミの這い出る隙もないほどの安全対策をしていますので、参加費は1泊2日で100万円です。」というのでは参加者が集まらないでしょう。もし、集まったとしても、そんなキャンプは楽しくなさそうですよね。

 あちらが立てば、こちらが立たず、まるで禅問答です。



乗馬のリスクを告知するプレート
参加者自身がリスクについて学ぶことも大切
 ということで、明確な答はないのですが、よいキャンプを見分ける指標のようなものがあるとしたら、「キャンプの目的を明確に示し、その目的に応じて安全に配慮されたプログラムが設定され、楽しい雰囲気が保たれていること」と言うことはできるのではないでしょうか。そこでは「なぜ安全が大切か」ということがスタッフ間で共有され、安全も挑戦も大切にされているはずですから。


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