
「働いているのに、思ったより手取りが少ない……」そんなふうに感じたことはありませんか? その理由の1つに「国民負担率」が関係しているかもしれません。今回は、年金改革のニュースなどでも耳にする「国民負担率」について、初心者向けに分かりやすく解説します。
「働いているのに、思ったより手取りが少ない……」そんなふうに感じたことはありませんか? その理由の1つに「国民負担率」が関係しているかもしれません。
昨今の年金改革などのニュースでも耳にする「国民負担率」について、初心者向けに分かりやすく解説します。
■国民負担率とは?
国民負担率とは、私たちが1年間に得た所得(国民所得)に対して、どれだけ税金や社会保険料を負担しているかを示す割合です。
国民負担率は、以下の式で算出できます。
・(税負担+社会保険料負担)÷国民所得×100(%)
ここでいう「税負担」とは所得税・住民税・消費税など、「社会保険料負担」は年金、健康保険、介護保険などの支払いを指します。
■現在の国民負担率はどのくらい?
財務省の発表によると、2025年度の国民負担率の見通しは「46.2%」です。これは、私たちが1年間に得る所得のうち、約半分近くが税金や社会保険料として国に納められている計算になります。
国民負担率は増加する傾向にあります。特に注目すべきは、「社会保障負担率(=年金や健康保険、介護保険などの保険料の負担割合)」です。
1970年度には「5.4%」だった社会保障負担率ですが、2024年度には「18.3%」まで上昇しています。つまり、約50年間で3倍以上に増えたことになります。
このような国民負担率の上昇は、私たちの可処分所得(手取り)や生活のゆとりに直接影響してくると言えるでしょう。
■国民負担率が増えるのはどうして?
国民負担率が高くなっている理由には、いくつかの大きな背景があります。
まず1つ目は少子高齢化です。高齢者が増えると、年金や医療、介護などに必要な費用も増えていきます。これらの費用を支えるために、現役世代が支払う社会保険料の負担が大きくなっているのです。
2つ目は、国の支出が広がっていること。例えば、災害からの復興、防衛費の増加、教育や子育て支援といった新たな取り組みにも多くの予算が必要になっています。
3つ目は、税収を増やすための増税です。例えば、2019年には消費税が8%から10%に引き上げられました。
このように、社会全体を支えるために必要な支出が増える一方で、それを支える私たち一人ひとりの負担も増しているというのが、今の国民負担率の上昇につながっているのです。
■まとめ
国民負担率とは、働いて得たお金の中で、どれだけ国や自治体に納めているかを示す割合です。今後、少子高齢化が進む中で、国民負担率がさらに上がる可能性も指摘されています。「自分の手取りがなぜ増えないのか」を知るためにも、こうした仕組みを理解しておきましょう。
▼舟本 美子プロフィール会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)