1994年に誕生した株式会社ブルボン(以下、ブルボン)の大人気チョコレートビスケット「アルフォート」。2024年で30周年を迎えるこのお菓子は、幅広い年齢層に愛され、さまざまなシーンで親しまれ続けている。
そんなアルフォートの人気の理由は、開発当初からのこだわりを崩さずに現在まで引き継いでいること。商品のチョコレートとビスケットの比率をはじめ、さまざまな点で誕生当時からの味わいを守り続けているからこそ、ロングセラー商品として人気を博しているのだ。
今回は、ブルボンの開発担当者にインタビューを実施。アルフォートの誕生秘話や人気の理由、そしてこのお菓子が目指す未来について話を聞いた。
■コンセプトは帆船がもつ冒険心!アルフォートの誕生秘話
アルフォートはマイルドなチョコレートに、香ばしく焼きあげたダイジェスティブビスケットを組み合わせたチョコレートビスケット。チョコレートの滑らかな口溶けと、ビスケットのサクサクとした食感が絶妙に組み合わさったお菓子として、発売以来高い人気を誇っている。
そんなアルフォートの開発が始まったのは1990年代のこと。当時人気のあった「チョコダイジェスティブビスケット」をベースに、もっとチョコレートが多ければさらにおいしくなるのではないか、という発想からスタートした。
開発チームは、板チョコレートとビスケットを組み合わせることで、新たな味わいと食感を実現しようと試作を重ねた。その結果、今までのチョコビスケットにはない、チョコレートの風味の奥深さとビスケットの香ばしさを引き立てた新しい商品が誕生した。
「アルフォートといえば、パッケージに描かれた帆船のイメージが特徴的です。この帆船のコンセプトは、商品開発時に『お菓子市場という大海原に、夢とロマンを持って漕ぎ出していく』というストーリーを象徴するものとして選ばれました」
なお、当初は「花」や「星座」といったデザイン案もあったが、帆船が持つ冒険心や希望の象徴が最もふさわしいと決まったという。ちなみに「アルフォート」という名前は造語で、チョコレートにデザインされている帆船から「冒険」、「夢」、「ロマン」などがイメージされて名前が決められた。
■ロングセラーの秘密は、こだわり抜かれた食感と黄金比率
アルフォートの最大の特徴は、板チョコレートとビスケットの絶妙なバランスだ。「黄金比率」と呼ばれる比率は、開発当初からのこだわりであり、チョコレートの滑らかな口溶けとビスケットの香ばしい食感を同時に楽しめるように設計されている。
開発チームは、試作の段階で板チョコとビスケットが剥がれる問題の解決や、食感に違和感を与えないような工夫に苦労したのだとか。しかし、その試行錯誤があったからこそ、今日にいたるまで多くの人々に愛される味わいが実現した。
アルフォートが30年にわたって多くの人々に愛され続けている理由のひとつは、商品の根幹にある「こだわり」を崩さなかったこと。市場の変化で原料価格が上昇するさなかにあっても、チョコレートとビスケットの比率、そして1枚あたりの重量は一貫して守られ続けてきた。
「アルフォートならではのチョコとビスケットの絶妙な比率が特有の味と食感を生み出しており、お客様に『これでしか味わえない』と感じさせる要因となっていると思います」
さらに、アルフォートは商品の多様化にも積極的。ファミリーサイズやひとくちサイズの「アルフォートミニチョコレート」などの多様なラインナップがそろっており、季節限定の商品も展開されている。こうした多様な商品展開が、幅広い年齢層に受け入れられる理由となっている。
■未来への展望:アルフォートが目指すものとは?
30年という節目を迎えたアルフォートだが、見据えているのは50年、さらには100年先の未来だ。開発担当者は「お菓子には人と人とのコミュニケーションを豊かにする力がある。アルフォートも皆様の笑顔とともに育てていただいてきた」と語っている。
「当社では、お菓子は会話の中で笑顔を生み出し、距離を縮めることができるコミュニケーションツールであるという考えのもと、引き続き人々に愛される商品作りに力を入れていきます。今後は、消費者キャンペーンやエンターテインメント性を取り入れた展開を行い、より一層、アルフォートのブランド価値を向上させていきます。アルフォートが次世代にも引き継がれ、長く愛され続ける商品となれるようがんばります!」
「アルフォート」は、チョコレートとビスケットの絶妙なバランスにこだわり抜き、その黄金比率を守り続けることで、多くの人々に支持されてきた。商品に込められた夢とロマン、そして味への探求心は、これからも続いていく。
アルフォートの今後の展開に期待が高まる中、50年、100年と愛されるロングセラー商品として、その存在感をさらに深めていくことだろう。
取材・文=越前与