今年入った保健医、「可愛くてエロいのに人を食っちまうんだってさ」。学食で交わされるそんな噂話。「俺も最近体調悪いし、保健室に行って癒やされようかな」と興味本位で言う男の背後には、べったりと女性の霊が張り付いていた――。「人を食っちまう」という噂の保健医の本性が暴かれる、ウエマツ七司(@uemt_74)さんの「ピギーガイスト」を紹介するとともに、制作秘話など話を聞いた。
■霊を引き寄せやすい体質の主人公は、友達の霊を引き取ってしまった
狼谷真人は、幼少のころから霊を引き寄せやすい体質で、友人に憑いていた女性の霊を引き取ってしまう。じっとりと背後から見つめてくる視線が怖い。
背後に霊を連れて歩いていると、「人を食っちまう」という噂の保健医と遭遇。先生はどうやら「それ」が見れるらしく、「取り除けるけど、やる?」と狼谷に聞いた。しかし、お祓いをするには準備が必要であると、除霊は「三日後に」決まった。
しかし、初めは無口だった背後霊が日に日に力をつけ始め!?手に負えなくなった狼谷は、慌てて保健医の亜喰のもとへ。すると、霊の霊力が一気に大きくなって――?
■生前「男に捨てられた」霊は「嫉妬」するたびに、力を増やしていって?
病院でも整体でも治らない「肩の重さ」。学校の保健医なら治せると聞いて、生徒が集まってくる。保健医が人気の理由や「人を食っちまう」という噂は本当?
――ウエマツさんが、漫画を描き始めたキッカケは何ですか?
小さいころから絵を描いていたので、漫画を描くのはその延長線にありました。小学生の時にノートにコマを割って漫画らしきものは描いていて、当時読んでいた週刊少年ジャンプの漫画賞に投稿してみようと用具をそろえて描き始めました。
――本作「ピギーガイスト」ができるまでの経緯を教えてください。今までと「テイストを変えよう」などの方向性はありましたか?
まず、ヒロインの亜喰の本性のほう(ギザ歯で怖い目)が真っ先にできました。「このキャラを動かしたい!」と思う衝動と「怯えてる男性キャラが描きたい!」という衝動が組み合わさってできました。テイストと言っていいかわかりませんが、一番欲望に忠実に作った作品かもしれません。
――霊が本気になって、先生に襲い掛かるシーン。すざましい迫力なのに、次ページで「おいしそう」と、さらに上を行く先生の狂気っぷりがおもしろかったです。
ありがとうございます!霊が怖くないと意味がないと思っていたので、うれしいです。「恐ろしいはずの存在を食べる」というのは、サバイバル能力が高そうでいいですよね。
――かわいい先生が霊を食べるというギャップもいいです。ウエマツさんが気に入ってるシーンはどこですか?
ギャップが好きなので、うれしいです!亜喰が狼谷に対して距離感が近い場面が多いのですが、「全部自分の魅力をわかってるあざとい行動」なところが、今見てもハッキリわかるので気に入っています。
―― 狼谷くんの過去も気になるのですが、続編の予定はありませんか?
続編は自分も描きたいと思ってるのですが、なかなか叶わず…。もし連載ができたら狼谷の過去も描きたいです。多分、ただのいいやつではあると思います。
――タイトル「ピギーガイスト」はどのようなイメージで付けられたのでしょうか?
「ガイスト」はそのまんま霊の意味で、霊を食べる→「ガイストイーター」みたいにする予定だったのですが、ネタバレになるので食べる→豚→ピギーになり「ピギーガイスト」になりました。
――そのほかどのような漫画を描いていますか?
現在は、ゲッサンという雑誌で「魔託のヴァルムト」という漫画を連載しております。異世界育児ファンタジーになっていて、現在2巻まで発売されているので、気になった方は読んでいただけたらうれしいです!
狼谷の過去や亜喰の正体など、まだまだ隠された部分も多く展開が気になる本作は、ゲッサン(月刊少年サンデー)の読み切り作品。「これが読み切りなのか…。続きを見てぇよぉ」と、続編を期待する声もある。
そんなウエマツさんは最新作「魔託のヴァルムト」を連載中!pixiv月例賞で優秀賞を受賞した、どこからどこまでが本当なのかわからなくなるサスペンス漫画「サイケデリック」もおすすめだ。
取材協力:ウエマツ七司(@uemt_74)