仕事や人生に疲れた女性が1DKでメイドを雇う?日常の温かさ描く物語が生まれたきっかけとは【作者に聞く】

  • 2023年10月6日
  • Walkerplus

pixivやX(旧Twitter)に漫画やイラストを投稿している川端あた(@atatarou)さんが描く「1DKメイド。」。仕事や人生に疲れた1人暮らしの女性が、1DKの狭い部屋でメイドさんを雇うことから始まる、優しくて温かい物語だ。今回は作品を紹介するとともに、物語が誕生したきっかけや、描くときに大切にしたことなどを聞いた。

■初めての1人暮らし、仕事も家事もうまくいかなかった。そんな自身の経験がきっかけに
1DKで1人暮らしをする上原さんは、中学校の先生。毎日忙しく、家事や自分のことはまったくできていない。そこでメイドの朝顔さんを雇うことに。朝顔さんは家事の一切を引き受けながら、上原さんに寄り添い、平凡ながらも温かな日常を送っていく。

川端さんが漫画を描き始めたのは大学4年生の頃だそう。「卒業論文と違って絵と文章があると、言いたいことを言いやすく楽しかったので、続けることができました」と振り返る。「1DKメイド。」の物語はどのように誕生したのだろうか。

「1人暮らしを始めたとき、仕事も家事もうまくいきませんでした。同僚は働きながら家事も育児もしているのに、私は全然できなくてしょぼくれていました。『誰か助けてほしい、メイドさんとかを雇って家事全般をしてもらいたい…』と思って描き始めました」

漫画を描くときは、登場人物の行動やせりふを先に考え、そこから人物像を作り上げていくことが多いという川端さん。本作を描くうえで大切にしたことを聞いた。

「他人に寄り添える、優しい人を登場させたいと思いました。私もそうですが、勉強もスポーツも人付き合いもうまくできなくて、自信を持って『私はコレができます!』と言える特技がない人もいます。弱みやできないことはあって当然ですが、助けてもらえるように自分で手配できるのが自立なんだろうなと思います。みんな忙しくて、自分のことで精一杯だけど、うまくできないときに助けてくれる人がたくさんいたらいいですね。そういう人と繋がっていくための始めの一歩なので、登場人物には『行ってきます』『ただいま』『おはようございます』『ありがとうございます』といった、挨拶をしっかりさせるように心掛けました」

■「つらいときもあるけど、優しい人に会えてよかった」漫画で元気になるお手伝いができたら
上原さんも朝顔さんも、つらい過去を抱えているが、1DKで出会って新しい毎日を積み重ねていく。物語の内容を考えるとき、影響を受けた出来事や作品はあるのだろうか。

「1人暮らしを始めたときは部屋にテレビがなく、静かな時間が寂しかったけど、隣人がお風呂で歌うGReeeeNの歌が聞こえてきてホッとしたこととか、豪雪のときに向かいの家の人がママさんダンプを貸してくれたこととか、夜に一緒に雪かきした奥さんから『雪が降るとこんなに明るいんですね』と言われたこととか…。いろんな人がいて、つらいときもあるけど、優しい人にも会えてよかった…と思いました。漫画に関しては、日常と空想の世界を行き来して、ふわふわした雰囲気なのにちゃんと残酷なことが起きるというお話の今日マチ子さんの作品が好きです」

漫画には「私もこんなメイドさん欲しい」「当たり前の日常ってこんなに尊いものなんですよね」などの感想が寄せられている。最後に川端さんの今後の創作活動の展望と、読者へのメッセージを貰った。

「見てくださってありがとうございます。今後も細く長く続けていけるよう、がんばろうと思います。この作品をきっかけに、連載を目指して編集者さんに漫画を読んでいただけるようになりました。『こういう風に受け取られるのか〜』と教えていただけることが、とてもありがたいです。読んでくださった方が抱えているつらいことの根本的な解決はできないけど、なんとなく元気になるお手伝いができたらうれしいです。心身の健康をお祈りしております」

忙しくて悩みも尽きない毎日を過ごしていると、日常にある小さな幸せや温かさに気付けなくなってしまう。そんなときは、一度立ち止まって読んでみてほしい。

取材・文=松原明子

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