
ブログ「毎日パンダ」で話題の写真家・高氏貴博氏が厳選したベストショットをコメント付きで紹介している。今回は、2023年2月21日に上野動物園(東京・台東区)から中国へ返還されるシャンシャンの思い出の写真をプレイバック!赤ちゃん時代から現在に至るまでの約5年半の中から印象的な38枚を選び出し、高氏さんのインタビューとともにお届けする。
――1月20日は、シャンシャンの自由観覧の最後の日だったそうですが、上野動物園はどのような様子だったのでしょうか。
【高氏氏】1月20日は、開園前から動物園に長蛇の列ができていて、観覧も約3時間待ちとかになっていました。自由観覧が終了になる10日前くらいから、動物園には朝5時から並んでいるファンもいて。開園前に4時間待って、観覧で3時間待って、観覧したらまたその後に並び直して…なんてことも。並び直してやっとの思いで観覧したけれどシャンシャンは寝ていた…ということもありました。今後の観覧は、2月19日までは抽選制になるのですが、倍率がすごいだろうなと思います(※2月9日時点で応募は終了)。
――約5年前の公開間もない頃のシャンシャンに、どんな印象を持ったか覚えていますか?
【高氏氏】まるでピンク色の毛玉のようでホワホワしていました。シャンシャンはおてんばで、ボールみたいにまるまってコロコロしていたり。歩行の途中に、ゴロンと一回転したりしていました。そして、たまにスイッチが入ると“小暴れ”するんです。テンション高めに走り回って、転がり回って…。
“小暴れ”は、何かが気に食わないときと、楽しく遊んでいそうなときと2パターンありました。ときにはおてんばが過ぎて、木の上でひっくり返ってそのまま落下することもありましたね。よく落ちていますが、シャンシャンの中で「これくらいなら落ちても大丈夫だろう」というリミッターがあるみたいです(笑)。落ちたら悔しがったりしていて、急に怒り出すこともありました。
――シャンシャンがお庭で初雪を体験したときの写真がありますが、それはいつのものですか?雪を怖がっていませんでしたか?
【高氏氏】これは、1歳未満でお庭デビューした頃の赤ちゃん時代の写真です。うれしそうに走り回ったり、雪で遊んだり。怖がってはいなくて、好奇心旺盛なシャンシャンでした。
――1歳のお誕生日を記念してプレゼントされたというハンモック、通称“シャンモック”に乗って、ゆらゆら揺れているシャンシャンもかわいいですね!
【高氏氏】動物園の常連が“シャンモック”と呼んでいるんですが、“シャンモック”には最近もよく乗っていましたよ。気が向いたら乗っかるという感じです。
――高氏さん情報によると「最近ハマっているのが櫓(やぐら)くぐり」とのことでしたが、どんな状況だったんでしょうか?
【高氏氏】最近はほぼ毎日、トレンドのように“櫓くぐり”をしていました。楽しいのかなんなのか分からないんですが、毛が抜けるくらいくぐっていましたね。擦り傷にならないように、やり過ぎには注意してほしいなと思っていました。
――写真を見て振り返っていくと、かわいくて泣けてきます。
【高氏氏】僕も、あんなこともあった、こんなこともあった…と、泣けてくる思いではありますが。消えてしまうわけじゃないので。できるだけ笑顔で送り出したいです。
――巷では、“シャンシャンロス”という言葉も出ているようです。
【高氏氏】はい。シャンシャンひと筋の方も多くて、僕の周囲もダメージは大きいようです。でも、中国へは無事に行ってくれたらと思っています。コロナ禍の移動にもなるので、パンダも飼育員さんも大変かなと思うのですが、あまりネガティブに考え過ぎても仕方がないので。飼育員さんを信頼して、ポジティブな気持ちで、気持ちよく送り出せたらと考えています。
――これまで来園者を楽しませてくれたシャンシャンに「ありがとう」と伝えたいです。
取材・文=平井あゆみ
撮影=高氏貴博
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。