
卒業式。性格上、理由がなければ2人はもう会うことはないだろう。そんな友達に1冊の本を貸す。「読み終わったら返しにこいよ」の一言を添えて。1冊の本に2人の「これから」を託した鈴木真澄(@ma_suzuki_mnyt)さんの創作漫画『エンドレス貸借』に「いい関係」「いい話」と4万を超えるいいねが届いている。
■1冊の本に2人の「これから」の関係を託してみた
卒業の日。学校で当たり前のように顔を合わせていた同級生とは、今日が最後だ。次の約束も、予定もない。けれど、また会いたい。そんな思いを1冊の本に込め、少年は「最近読んで一番面白かったやつ」と、おすすめの本を友達に渡した。
卒業式に友達に貸した1冊の本は、ある夏の日に戻ってきた。読み終わったと、友達が返しにきたのだ。そして「それが好きなんだったら、これがいいだろう」と、今度は友達がおすすめの本を少年に渡した。「読み終わったら返しにこいよ」と、同じセリフを残して。
きっかけがなければ、簡単に切れてしまう程度の縁だった。本の貸し借りも相手が返しに来なければ、簡単に終わってしまうほどの細い糸だ。しかしーー。
2人の関係は、50年もの間、続いた。本作は本の貸し借りを描いた3ページというショートストーリーだが、本を渡す場所が「学校」から次に「玄関の前」、そして最後は「玄関の中」と変化しているところに気づく読者もいた。
引っ越しや結婚などで環境が変わり、いつの間にか疎遠なってしまった友達もいるだろう。彼らのように些細なきっかけを繋ぎ続けると、ズッ友になれるという心温まるストーリーだ。
前回ウォーカープラスにて紹介した鈴木さんの「空中くらげ」は、社会問題にもなっている居所不明児童を題材にした漫画。小学2年生の少年が親に捨てられホームレスのおじさんに救われる感動作だ。
画像提供:鈴木真澄(@ma_suzuki_mnyt)