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建築家・ヴォーリズが手がけた築100年の洋館「駒井家住宅」を訪ねて、京都の北白川へ

  • 2024年10月16日
  • ことりっぷ


京都・北白川の閑静な住宅地にたたずむ「駒井家住宅」。全国で1600軒を手がけた建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ率いるヴォーリズ建築事務所により設計され、京都大学の理学部教授を務めた遺伝学者・駒井卓博士と静江夫人が暮らした邸宅です。和のエッセンスと調和させながら、美しさと機能性を兼ね備え、暮らす人の心身が健やかであるように、という思いが込められています。「ここで暮らしてみたい」そんな夢が広がる素敵な洋館を訪ねてみませんか。
「駒井家住宅」の公開日は、夏と冬の長期休館期間をのぞく毎週金曜日と土曜日。公式webサイトの予約専用フォームで事前に予約を済ませてから出かけましょう。
京阪電車の終点・出町柳駅から「えいでん」の愛称で親しまれる叡山電車に乗って2つ目、「茶山・京都芸術大学」駅から徒歩7分ほど。南には京都大学、東には京都芸術大学のキャンパスが広がる閑静な住宅街に「駒井家住宅」はあります。
ウィリアム・メレル・ヴォーリズは、1880年、アメリカ生まれ。敬虔なクリスチャンであった両親の影響を受けて育ち、24歳のときに英語教師として来日。滋賀県の近江八幡を拠点とし、キリスト教の伝道活動をはじめ、学校や病院の設立、起業、もともと志していた建築の分野でも才能を発揮しました。
そんなヴォーリズに住まいの設計を依頼したのが、遺伝学者であり、京都大学理学部の教授を務めた駒井卓博士と静江夫人。静江夫人とヴォーリズの奥様である満喜子夫人が神戸女学院の同窓生で、ともにクリスチャンであった縁からでした。
サンルームには、スパニッシュ建築の特徴のひとつである三連のアーチ窓が見られます。居間の東側、張り出し窓の幅に合わせて作られたソファも素敵。庭の緑を絵画のように映す窓からやわらかな光が差し込んで、しばしまどろみたくなります。
天井の照明は、京都らしい千鳥のモチーフがあしらわれています。光を受けてキラキラ輝くドアノブはクリスタル。無色と紫色の2色のドアノブが見られるのは、キッチンのようなプライベート空間には無色、パブリックな空間には紫色と使い分けていたのだとか。
外からはどこからどう見ても洋館に見えるのですが、サンルームの隣には和室もあります。建物の外側は洋風の窓で、内側に和風の窓と障子。玄関側から引き戸を開けると内側が襖に。二重の造りになっているのです。
玄関横の階段は、いつも着物を着ていた夫人が昇り降りしやすいようにと段差を抑え、足場を広めにとったゆるやかな造り。西側にあるため、夕方になるとステンドグラスを通す光が金色に輝き、飴色の階段を照らします。
階段を上がって奥の疏水側の部屋は、卓博士の書斎。本棚には、遺伝学の専門書やキリスト教関連書などさまざまな本が並んでいます。階段すぐの部屋は、客室。卓博士が旅先で買い求めた置物や研究道具が展示されています。主寝室につづくヴェランダからは、京都のシンボルである大文字山が望めます。
お庭には、夫妻が暮らしていた当時、水を張っていたであろう池の跡も残ります。庭の端には、研究用に設けた温室も。卓博士がアメリカ留学時に『種の起源』の著者・ダーウィン邸を訪問し、そこで目にした温室に憧れを抱き、自邸にも建てたといいます。
2025年はヴォーリズが来日してから120年となる記念の年で、いつにも増してヴォーリズ建築への注目度が高まっています。美しくあたたかみのある空間で、暮らすように穏やかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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