A: シロナガスクジラなど大型のクジラ類については、国際捕鯨取締条約に基づき捕獲が制限され、同条約に基づく国際捕鯨委員会(IWC)は商業捕鯨を原則禁止している。一方、日本は1987年から南氷洋で、1994年から北西太平洋で調査捕鯨を毎年行い、ミンククジラ、ニタリクジラ、マッコウクジラを捕獲している。日本政府は調査捕鯨を続ける理由について、資源が豊富なクジラの種を絶滅させず持続的に利用するために、科学的なデータを収集するためであるとしている。実際に、調査捕鯨で得られたデータの分析結果は、IWCの科学委員会に報告されている。一方、調査が終わったクジラの肉は政府の監督下で販売されており、この点について疑似商業捕鯨であると批判する向きもある。
A: 国際捕鯨委員会(IWC)の加盟国には、商業捕鯨に反対する国が多い。とくに欧米諸国の中には、クジラの命を奪う方法による調査捕鯨に反対を表明している国もあり、調査捕鯨もIWCの管理下に置くよう主張している。捕鯨に反対する国や勢力の主な論拠は、次のようなものだ。1) 捕鯨が再開されれば再び乱獲となるのは必至で、絶滅につながる、2) 現代ではほかに食べる物がある、3) クジラは高度な知能をもつ特別な生き物で、殺すべきではない、4) クジラの生態についてはまだ謎が多い、5) クジラの脂肪分には有害物質が蓄積されている可能性がある―など。反捕鯨国のこうした意見に対して、日本などクジラの持続可能な利用を支持する国は科学的なデータをもとに反論を行っているが、両者の間にある対立の溝は深い。