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「禁煙」 詳細解説

読み:
きんえん

近年、職場や公共の場で、たばこを吸うことを禁ずる、またはやめる「禁煙」を義務づける場所が増えている。理由は大きく分けて2つある。ひとつが喫煙者及び周囲の人へ健康上の問題だ。たばこにはニコチン、発がん物質、発がん促進物質などの有害物質が含まれ、健康に害を与えているという研究が、世界保健機構(WHO:World Health Organization)をはじめ、さまざまな機関で発表され、国民の健康志向とあいまって禁煙が社会的な流れとなっている。また、喫煙者自身だけでなく、たばこを吸う人の周囲にいる人に対する「受動喫煙」の害も大きな問題である。たばこの煙は、喫煙時に口腔内に達する「主流煙」と、これが吐き出された「呼出煙」、点火部から立ち昇る「副流煙」に分けられるが、副流煙にも各種有害物質が含まれるため、喫煙者のそばにいる人の健康に影響を与えるというものだ。

2005年2月には、2003年5月の世界保健総会で採択された「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FCTC)が発効した。この条約は、たばこの消費が健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的としており、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制とたばこの規制に関する国際協力について定めており、日本も締約国である。同条約の締約国は国内法に基づいて、たばこ商品の表示が健康への影響が誤解を生むような「マイルド」「ライト」といった表現を改めること、たばこ包装の主要部分の少なくとも30%以上を警告表示とすること、未成年者へのたばこの販売を禁止、自動販売機を利用されないようにすることなどを求められる。また、WHOは毎年5月31日を「世界禁煙デー」として呼びかけ、日本でも同日から1週間を禁煙週間として、関連行事などを行っている。一方、喫煙率が高いことで知られるフランスでは、2007年2月1日より禁煙令が施行され、公共交通機関や駅、企業、役所、商店、観光施設などの建物内が禁煙となった。さらに、2008年1月1日からは、レストラン、カフェ、ホテル、ディスコ、カジノにおいても禁煙になる。

日本では、厚生労働省が2001年から推進している「健康日本21」の中、で喫煙が健康及ぼす影響についての知識の普及、未成年者の喫煙の根絶、公共の場や職場での分煙の徹底などを図ってきた。また、2003年5月に施行された「健康増進法」では、学校、病院、飲食店など、大勢の人が集まる場所での受動喫煙防止が義務づけられた。一方、企業でも禁煙による社員の健康管理と働きやすい職場環境づくりが進められており、会議室など従来は「聖域」とされた空間も禁煙とする企業が多くなった。大手印刷機器メーカーでは、たばこを吸わない社員を対象にした助成制度を設けるなどして、禁煙努力に報いる姿勢を打ち出している。このほか、インターネットを活用して禁煙を応援する「禁煙マラソン」や、病院で禁煙アドバイスを行う「禁煙外来」も人気を集めている。

禁煙の動きが社会で進むもうひとつの理由に、街の美観上の問題がある。喫煙者による吸いがらのポイ捨てによって街の美観・環境は損なわれる。携帯用の灰皿を持ち歩く人もいるが、路上に投げ捨てられた吸殻も目につく。こうした中、受動喫煙の防止、都市の美観づくりから路上喫煙を禁止する地域もある。2002年に、東京都千代田区が「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」を定め、指定地区の路上喫煙者に2000円の罰金を科す条例を定めたのをきっかけに、中央区、品川区、杉並区が同様の条例を制定した。吸いがらや空き缶などといったごみの散乱防止を目的とした環境条例と関連して制定される例も多い。また、首都圏の私鉄10社がホームを全面禁煙としているほか、学校や郵便局、市役所などの公共施設、さらに一般の喫茶店や飲食店、野球場などにまで禁煙エリアが広がっている。しかし、外食産業などでは完全な分煙にまでいたらない事例が見受けられる。

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