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「石油備蓄法」 詳細解説

読み:
せきゆびちくほう
英名:
Oil Stockpiling Act

石油は、化石燃料のなかでも最も重要なエネルギー源のひとつだ。1970年代に入り、石油輸出国機構(OPEC)に加盟する産油国が原油公示価格の大幅な引き上げを行った。このようないわゆる「資源ナショナリズム」の動きが強まることは、日本のように石油を輸入して消費する国々にとっては厳しい状況だ。また、主要産油国のある中東では戦争や紛争が相次いでおり、原油の輸入が滞る危機は常にある。こうした動向を受けて、経済協力開発機構(OECD)は加盟国に対して備蓄の増強を勧告し、日本も当初は行政指導で備蓄目標の策定などを行った。

その後、1973年の第1次石油ショックを経て国は備蓄計画の強化に乗り出し、1975年に石油の備蓄の確保等に関する法律(石油備蓄法)を制定し、翌1976年4月に施行した。同法は、民間の石油会社に石油の備蓄を義務づけ、1978年の改正で国家による備蓄に関する規定を盛り込んだ。現行法は、経済産業大臣が5年分の石油備蓄目標を策定することや、石油基準備蓄量の策定と届出、石油会社の備蓄保有義務、石油ガスの基準備蓄、輸入業者による石油ガスの備蓄保有義務、石油輸入業の登録、石油精製業・石油販売業・石油ガス輸入業の届出などについて定める。

2012年9月末時点の国内における石油備蓄量は、国による国家備蓄が製品換算にして4774万klで106日分、民間備蓄が同じく4029万klで89日分、合計195日分となっている。国家備蓄石油と国家備蓄施設の管理については、(独法)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)へ委託されていたが、2012年の法改正により、国家備蓄石油のうち石油製品の備蓄管理については民間事業者に直接委託できるようになった。本法には罰則があり、基準備蓄量の保有勧告や命令に違反すると1年以上の懲役もしくは300万円以下の罰金が科され、併科の場合もある。

2012年9月に公布された改正石油備蓄法により、災害時などにおける石油とLPガス供給に関する体制の強化が講じられた。東日本大震災の教訓を踏まえ、海外からの石油供給不足や災害時に備えて、石油供給体制の強化が図られた。具体的には、国家備蓄石油などの放出要件見直しや、石油元売会社による供給連携計画の義務づけ、災害時の給油拠点となるサービスステーションの届出義務づけなどの規定が整備された。施行は同年11月1日。

民間備蓄を取り崩した例として、1990年の湾岸戦争時に国際エネルギー機関(IEA)の協調放出に応じて4日分に当たる放出を行った。また、2005年に米国でハリケーン「カトリーナ」が発生して大きな被害が出た際には、3日分に相当する730万バレルを放出した。

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