
黒くて怖くて大きいもの / キタハタエミ(@emi_kitahata)
子供のころから文字や絵で補足しながら会話を楽しみ、やがて伝えたいことを頭の中で反芻するうちにそれを漫画として描くようになったという、キタハタエミ(@emi_kitahata)さん。Instagramやpixivにて、エッセイ漫画などを公開している。今回は、夫の見た幽霊シリーズから『黒くて怖くて大きいもの』をお届けするとともに、キタハタさんにこの作品に対する思いを聞いた。
■お札が貼られたドアと、「黒くて怖くて大きいもの」の気配
マロちゃんに助けられたときのことを話す旦那さん / キタハタエミ(@emi_kitahata)
偶然にも恐怖の発信源である家を発見してしまう… / キタハタエミ(@emi_kitahata)
お化けに対して恐怖心ゼロの友人だったが… / キタハタエミ(@emi_kitahata)
本作「黒くて怖くて大きいもの」は、作者のキタハタエミさんの旦那さんが体験した出来事をもとに描かれた、夫の見た幽霊シリーズの一作である。
旦那さんがリビングで映画を見ようとしたとき、「パキパキ」というラップ音とともに、“黒くて怖くてすっごいでっかいもの”の気配を感じ、恐怖で動けなくなった。すると飼い猫のマロちゃんが前脚で家具を叩いて“それ”を追い払った。“それ”はお化けだったのかとキタハタさんが聞くと、「そんなんじゃない」と答える旦那さん。
過去にも、理由のわからない恐怖を感じた経験があり、コインランドリーへ通う道に得体の知れない不気味さを感じていた。そしてある日、その原因となる家を偶然発見する。恐怖心ゼロの友人と訪れると、ドアの外側にはお札が貼られており、それを見た旦那さんが「中に何かを閉じ込めてるってことでしょーー!」と叫んだのが印象的だ。話の最中、マロちゃんが再び前脚で家具を叩く。不安を煽る最後の1コマがとりわけ印象的で、ゾッとする話である。さらに、キタハタさんによれば、「夫はこの空家で感じた気配が、これまでの人生で一番怖かったそうです」とのことだ。不穏な空気の発信源がその空家だと気づく前は、近くを通るたびに何者かの視線を感じていたという。
言葉にできない気配、説明のできない恐怖。それでも確かに“何か”はそこにあった。
その余韻を、あなたも感じてみてほしい。
画像提供:キタハタエミ(@emi_kitahata)