
ある日、胸の脇に小さなしこりが…?夫に確認してもらっても「よくわからない」という。近隣の病院で検査をすると、「浸潤性乳管がんのトリプルネガティブタイプ」と判明。進行性の早い悪性がんのため、すぐに抗がん剤投与の日程が決まった。がんが見つかってから、わずか17日のこと。心の準備も金銭面、家庭、仕事のことも考える間もないまま、怒涛の日々と格闘したCHOCOさんの実録漫画をイラストレーターの小川かりんさんが描く『日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-』を紹介するとともにお2人に話を聞いた。
■個人経営でスタジオを始めた矢先のことだった!!
ep1左胸の違和感_07 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep1左胸の違和感_08 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep1左胸の違和感_09 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep1左胸の違和感_10 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep1左胸の違和感_11 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
昨今、がんは2人に1人と言われている。ある日、脇に小さなしこりを見つけたCHOCOさん。夫が触っても「よくわからない」というほど小さなものだった。そのころフリーカメラマンと並行して、スタジオ経営を始めたばかりだったCHOCOさん。スタジオ経営が軌道にのるまで検査はと思っていたが、運よく予約を取れたのがきっかけだった。
ep2初めての受診_05 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep2初めての受診_06 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep2初めての受診_07 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep2初めての受診_08 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
マンモグラフィ検査をすると「よくないものが写っている」と、病理検査へ。その後、「浸潤性乳管がんのトリプルネガティブタイプ」とわかる。できれば、スタジオ経営を並行しながら治療を進めたいと思っていたCHOCOさん。しかし、悪性で進行が早いものだとわかり、すぐに抗がん剤投与の日程が決まった。
ep3乳がんとお金の話_05 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep3乳がんとお金の話_03 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
ep3乳がんとお金の話_10 / 画像提供:「日日是好日-39歳フリーランスカメラマン乳がんになる-」(C)原作CHOCO・漫画小川かりん
がんは治療費が高いと言われる。しかし、がん保険に加入していなかったCHOCOさん。危機を感じ、ネットで調べてみると、初年度で150万円、抗がん剤投与は60~250万円、ホルモン療法など平均や目安を見ても、治療費を支払っていけないと思う。「治療を受けない」という選択肢すら頭をよぎった。まさにある日、突然「なんで私が…」という状況。本作は、乳がんと奮闘する日々を赤裸々に描いている。
■「“ありのまま”を描いてほしい」というCHOCOさんと「第三者としてそばにいたからこそ気づけた視線を織り交ぜた」小川さんの合作
――まずは、漫画にしようと思ったきっかけを教えてください。
CHOCO:乳がんとわかったときにいろんな本を参考にしたんですが、私が欲しいと思う内容が少なかったことと、医療は日々進化してるので最新の情報を発信したいと思ったからです。ただ自分では漫画を描けないので友人の小川さんに話を持っていったところ、快く承諾してもらえたことでこの漫画ができました。
小川:CHOCOからは乳がんが発覚したころからずっと話を聞いていたのですが、彼女に起こったことやその考え方を聞いていて、心配しつつも一方で、すごく参考になるなと感じていたんです。この闘病をエッセイにしたいと聞いたのは本編の9話後、ちょうど抗がん剤治療が始まる直前のタイミングでした。彼女からその話を聞いたときは冗談半分でコミカライズしたいと言ったのですが、話していくうちにどんどん熱が入っていき、あっという間に漫画にしようという話になりました。そこからは“取材”と称してCHOCOと一緒に行動してきたのですが、彼女の姿は、現在治療を受けている方やそのご家族、そしてこれから病気と向き合うかもしれない方にとって、きっと励みとなり、そっと寄り添える力になると思ったんです。だからこそ、漫画という形で届けたいとあらためて思いました。
――2人に1人は...と言われているがんになったとき、どのような気持ちでしたか?
CHOCO:ありきたりですが「なんで私が?」が一番でした。まだ39歳でしたし、身内にもがんを発症した親族が少なかったので、家系的にも考えられずただただ衝撃でした。
――乳がん治療を漫画にするにあたって、気を付けたところがあれば教えてください。
CHOCO:ネガティブになりすぎず、かといってポジティブに振り切りすぎず、できるだけ“ありのまま”を描いてほしいとお願いしました。治療中の患者さんは、どうしても精神的に追い込まれがちです。だから、悲しい・つらい・痛い…そういった感情だけが続く漫画は、読む側もしんどくなってしまいます。かといって、前向きなことばかりでも、逆に苦しく感じることもあります。
私自身、性格的にどうしてもポジティブな方向に描いてしまいがちなのですが、実際には描ききれていないつらさもたくさんありました。その“ほどよい塩梅”を探るために、小川さんと何度も相談を重ねながら作っていきました
小川:先にCHOCOが答えてくれたことを前提に、私の方ではテンポよく読める構成を意識して描くように心がけました。闘病中、彼女は本当に包み隠さずすべてを見せてくれたので、私はそれをきちんと伝えられるように全力で描いています。また、CHOCOがポジティブに向かいがちなところ、私は逆にシリアスになりがちだったので、結果的に2人でちょうどいいバランスの落としどころを見つけられたんじゃないかと思います。
――現在CHOCOさんの体調はいかがでしょうか。
CHOCO:まだ経過観察中ですが、体調面は以前と変わらないレベルに元気です!抗がん剤の後遺症も多少残ってますが長い目で元に戻るのを待ってます。
――読者の方にメッセージをお願いします。
CHOCO:治療は、正直とてもつらいものです。だからといって、無理に元気にふるまう必要はないんじゃないかなと。つらいことは、つらいと発信していいと思います。自分の気持ちに正直に、人と比べず、どうかゆっくりと治療に向き合ってください。
また、がんは「ある日突然」誰にでも起こりうるものです。自分にとって他人事と思わず、大切な人ががんになったときにも、この漫画が少しでも支えになれたら…そんな思いで2人で描いています。たくさんの方に読んでいただけたらうれしいです。
小川:物語はここから抗がん剤治療編に入っていきます。具体的な副作用へのケアの話や、家族との衝突、仕事のことなどなど…内容も盛りだくさんなのですが、私は隣で彼女を見ながら、「こういうふうにするのもありなんだ!」という発見の日々を過ごしていました。第三者としてそばにいたからこそ気づけたこともあったので、そういった視線も織り交ぜて描いているつもりです。この漫画が、誰かの心の支えになったり、何かを考えるきっかけになれたらと願っています。
取材協力:CHOCOさん、小川かりんさん
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