
SNSで自身の体験を中心に漫画を描いているけろちゃんさん。なかでも新卒で入った会社でパニック障害と適応障害を発症し、ニートになるまでの体験を描いた作品には大きな反響があり、「休職中の生活」や「職業訓練校で学んだこと」などの描きおろしを加えて電子書籍化された。
本記事ではその電子書籍「とりあえず生きてる! ~新卒1年目で心を病んだニートが社会復帰した話~」から一部抜粋・編集してご紹介。今回は、人生初めての心療内科について。ある日いつものように通勤していると、突然今までとは比べ物にならないレベルの貧血と吐き気に襲われる。さすがにこれはおかしいと感じ、心療内科へ足を運ぶ。
■抵抗があった心療内科。診断結果には自分でも納得
貧血と吐き気の症状を自覚したけろちゃんさんが、一般内科ではなく心療内科に行った理由を聞いてみた。
「仕事中と家にいるときでは体調が全然違ったので、内科ではなく心の病院だと迷うことなく思いました。家にいると気持ち悪さや貧血は、だいぶマシになっていたので」
初めての心療内科はとても緊張し、なんだか世紀末のような気分になったそう。
「実は母がうつ病とパニック障害だったので、子どものころに何度か付き添いで訪れたことがあります。でも薄暗い記憶があって、いざ自分が行くとなると抵抗感がありました。母のこともあり、子どものころは『心の病院に行く人は心が弱い』と思っていました。だから自分がいざ行くとなると、人生が終わったような気持ちに襲われてしまって…。今思うと心が弱いのではなく、人より敏感でさまざまなことをキャッチしやすいだけなんだと気づきました」
心療内科で「抑うつ状態」「適応障害」「パニック障害」と言われたときの、率直な気持ちを教えてくれた。
「自分でもすごく納得できました。ただ『抑うつ状態』と『パニック障害』には、『このままだと母と同じ道を辿ってしまう』という嫌悪感とやるせなさがありました」
さらには医師から「休職しましょう!今は休むことが先決です!」と言われるが、そんなつもりは全くなかったため、心の準備ができていなかったと振り返る。
「申し訳なさと情けなさでいっぱいでした。ただでさえ残業しても追いつかない業務量に皆追われているので、迷惑をかけてしまうと…。ですが、仕事の代わりはいくらでもいるけど、私のことをお世話できるのは私しかいないし、私の人生の代わりは私以外にはいません。休む以外の選択肢もありませんでしたが、休むことに自分自身しっくりきたので、休んでよかったと思っています」
翌日会社に休職をしたいと伝えるべく、診断書を提出したけろちゃんさん。スムーズに休職できると思いきや、人事部はただならぬ雰囲気に包まれていた…。波乱万丈の実体験を描いた漫画にぜひ注目を。
取材・文=石川知京