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伝統的食材から手軽に食べられるたんぱく源へ!躍進する「豆腐バー」

  • 2024年4月17日
  • Walkerplus

「豆腐バー」をご存知だろうか。スーパーやコンビニで販売されているスティックタイプの“豆腐”で、2020年11月の発売から現在まで、約3年で累計6000万本を売り上げるヒット商品。2024年3月末に行われた発表会ではヒットした要因と今後の展望が語られた。

■豆腐の定義を変えた「植物性のたんぱく源」
日本人にはなじみの深い食材のひとつ、豆腐。伝統的な食材で、味噌汁や冷奴など日本の食卓には定番ともいえる食材だ。しかし、実際、現代の食生活で豆腐が食卓にのぼる機会はどれほどあるだろうか。1日三食食べるとしても、そのうち和食を食べる回数、和食を食べるとして豆腐を使う回数と絞っていくと、昭和の食卓に比べて豆腐を食べる機会は格段に減っている印象だ。そんな時代の流れを感じていた豆腐製造メーカーのアサヒコが、豆腐を次の時代にと開発したのが「豆腐バー」だ。

「豆腐バー」開発のきっかけは、アサヒコ代表の池田未央さんがアメリカのスーパーに並ぶ豆腐を見たことだという。「豆腐は牛肉や豚肉、鶏肉と並ぶたんぱく源として陳列されていて、豆腐の硬さで使い分けされていました。またレストランやカフェの惣菜としても定番で、フライやグリルなど調理の仕方もさまざま。メイプル味など珍しいも味付けもありました」と、日本とアメリカでの豆腐に対するとらえ方の違いを目の当たりにした。共通しているのは「健康的な食べ物」という位置づけだけで、新しい食材として先入観を持たないアメリカでは、豆腐を自由にアレンジして食べることが当たり前になっていたそう。

そこでアサヒコは「伝統的な食材」だった豆腐の定義を「植物性たんぱく源」に変えた。ちょうど筋肉づくりやダイエット、健康面でもたんぱく質に注目が集まっていた時期。効率的にたんぱく質を摂りたいという世の中のニーズも高まっていた。簡単にたんぱく質が摂れる食材としてサラダチキンが定着していたこともあり、いつでもどこでも簡単に食べられて、効率的にたんぱく質が摂取でき、サラダチキンのような食感に仕上げた「豆腐バー」が誕生した。

■「豆腐バー」が売れ続ける理由とは?
シンプルな「旨み昆布」や「バジルソルト」味は体力や体型を維持するためにたんぱく質を積極的に摂取したいという層に受け入れられた。近年たんぱく質の大切さが重要視され、たんぱく質への関心も高まり、手軽にたんぱく質が摂りたい人は増加傾向にある。アサヒコではこれを受けて“おかず豆腐バー”を発売。具材を入れ、味を付けた“惣菜豆腐バー”は栄養を気遣った食事を意識した層に支持され、ほかの味を期待する声も聞かれた。そこで今回、このニーズに応えるべく、「きんぴら大根」と焼き豆腐バー「焦がし醤油」が新たに発売となる。こうしたニーズに沿った製品拡張も売れ続ける理由だと池田さんは話す。

さらに、豆腐バーが食べられるシーン。健康を意識したり、栄養バランスを考えたりする人は増えているが、一方で、家庭で手の込んだ料理は敬遠されるようになっている。その解決策としてサラダや野菜、乾物を使った惣菜を購入しメインの料理や弁当などに追加するようになった。こうした食生活の変化の中で、調理が不要で開封したらすぐに食べられ、カロリーも1本あたり104~153キロカロリーの豆腐バーは新しい食スタイルとして受け入れられた。特にオフィスで食べるランチや、おやつやおつまみでしっかりたんぱく質が摂れるヘルシーな豆腐バーが受け入れられている。

実際、プレーンタイプの豆腐バーは、出荷数が2020年から2023年で123%の伸び率なのに対し、具入りは初登場の2021年から2023年で420%となっていて、おかずとしての豆腐バーが望まれていることがわかる。今回新商品が登場し、具材入りの「おかず豆腐バー」の種類を増やすことでさらなる躍進を見込んでいる。

さらに用途を拡大すべく、新たなジャンルの商品も登場する。ひと口サイズにカットした豆腐バーを特製オイル調味料に漬けた「サラダ豆腐」だ。「豆腐バーがひとりの食事のときに“追加”する食材だったのに対し、サラダ豆腐はそのままはもちろん調理アレンジができます。サラダにトッピングするだけでパワーサラダが簡単に作れ、食卓にあと一品欲しいというときにも活用できる、新たなたんぱく質源です」と池田さん。

「豆腐バー」は開封してそのまま食べるタイプだが、「サラダ豆腐」はサラダにのせるほか、自宅にある野菜などをプラスしてアヒージョにしたり、特製オイル調味料ごとパスタソースにしたり、フライパンで焼いて豆腐ステーキにしたりと、ちょっとした調理をすることで食べ方の幅が広がる食材。「豆腐バー」は個人で完結しやすい食材だったが、「サラダ豆腐」はほかの食材と合わせたり、ちょっとした調理を加えたりすることで、家族など複数人で食べるシーンでも活用できる。家庭で作る手間を減らしながら、豆腐バーの特長を生かしながらさまざまな料理が楽しめるようになった。

■これからも“売れ続ける”ための「ぜんぶ豆腐化作戦」
「豆腐バー」からスタートし、「豆腐デザート」や「豆腐アペタイザー」というそのまま食べる商品を展開。さらに豆腐や大豆を肉のように食べられる「ミートーフ」というシリーズを作った。そして、今回料理キットとして「豆腐キット」を販売。“豆腐のお肉”“大豆のお肉”とタレが入った商品で、家庭にある野菜などと合わせるだけで簡単にヘルシー料理が作れるというもの。これにより、「健康的で持続可能な食習慣」を包括的に提案することができる。

「豆腐バー」は弁当にプラスアルファ、おつまみ、おやつなど単品でチョイスされることが多かったが、食事のメニューとして取り入れやすい商品が増えることで、毎日の食生活、毎回の食卓にアサヒコの商品が登場する機会が増える可能性が高まった。

自宅での調理時間は短くなりつつあるが、メインにもなる「ミートーフ」や簡単に調理できる「豆腐キット」であれば、調理の手間は最小限にしつつヘルシーなメニューが作れるので、仕事や育児で忙しい人や高齢者にも受け入れられやすい。

■日本の伝統的食材が海外へ進出
「豆腐バー」の躍進ぶりは日本国内だけにとどまらない。ついに2024年、海外での販売がスタートするという。もともとアメリカのスーパーでヒントを得た商品。海外進出は想定していたと思われたが障壁があった。「豆腐は賞味期限が短い食材です。また要冷蔵での運搬になり、輸送段階での品質劣化が免れないという問題がありました」と池田さん。しかし、今回、「ゼロカラ」と「国分グループ」と組むことで海外進出が実現することになった。

「ゼロカラ」は超高速冷凍機で食材を短時間で冷凍する技術を持つ。90%以上が水分である豆腐は普通に冷凍すると“す”が入った状態になって、味も食感もまったく別物になる。しかし、「ゼロカラ」の超高速冷凍機で「豆腐バー」を凍らせるとほぼ遜色ない状態が保てる。実際に食べてみると、食感としては少し密度が高くなっているように感じたが、味はほとんど変わらず「豆腐バー」そのものだった。

この技術を使って冷凍した「豆腐バー」は賞味期限が1年になるという。味も変わらず劣化の心配もなく賞味期限が伸びることで「豆腐バー」は海外進出できるようになった。健康志向が高まり、プラントベースに対する理解も高い海外市場では日本以上に豆腐が注目されているという。「アサヒコでは『たんぱく質格差社会をなくす』ことを目的とし、タンパク質不足による健康リスクを軽減することをミッションとしています。それは日本国内も海外も同じです」と池田さん。

そんな「豆腐バー」の最初の輸出国に選んだのはシンガポール。理由は4つ。1つは「Made in Japan」のニーズ。シンガポールでは日本製や日本食の人気が高いという。特に日本に旅行で来た人たちが日本で食べたあの味を自国でも食べてみたいと思っているが入手できないというニーズがあるそうだ。

2つ目は高齢化による健康志向。シンガポールでも高齢化が進んでいて、健康的な食事への関心が高まっている。植物性食品やタンパク質、食物繊維は注目ワードで、それらを含む食品が求められている。3つ目は簡便性。これも日本と同様、共働きの増加に伴い調理時間は短縮傾向にあり、食品の簡便性が望まれている。そして4つ目が円安。リーズナブルに手に入る今は日本製品を試しやすい環境とも言える。新たなジャンルを世界に出すにはいいチャンスだという。

「豆腐バー」は2024年4月にシンガポールでの販売を開始する予定。そこで動向を分析し次へとつなげていく。具体的にはまずはプレーンタイプの販売、その後具材入りの“おかず豆腐バー”も導入し、12月にはハラル認証を取得予定だという。

さらに2025年にはシンガポール内での販売拡大と合わせ、ムスリム圏、台湾・香港での販売と拡大させていくという。さらに2026年にはアジア圏、2027年以降には欧米への進出も計画している。

日本が誇る伝統食材である豆腐。日本国内での消費は減少傾向にあるが、“植物性たんぱく源”と新しく定義することで、豆腐の概念が変わった。「豆腐バー」が今後どのように発展していくのか楽しみだ。

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