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常識ではかれない神々の領界に、役人バディはどこまで踏み込めるのか――。不可思議で不条理なホラー「領怪神犯」【作者に訊く】

  • 2023年11月25日
  • Walkerplus

とある地方の名もなき御神体、人を取って喰らう神の言い伝え、ダム湖に浮かび上がる黒い巨人の影……。理解不能な神々の所業を調査する役人たちが、踏み込める領域はどこまでなのか――。
漫画「領怪神犯」は、善悪を超えた神々が引き起こす超常現象である“領怪神犯”と、公的組織「領怪神犯特別調査課」として怪現象に立ち向かう片岸と宮木の活動を描いたホラー作品だ。

原作は、木古おうみさんの第7回カクヨムWeb小説コンテスト(ホラー部門)大賞受賞作の同名小説。足鷹高也さんがコミカライズを担当し、2023年11月25日にはコミックス第2巻が発売された。人知の及ばぬ危険な現象の数々が、漫画ならではの表現で描かれていく同作。ウォーカープラスでは第2巻の刊行を機に、足鷹さんにコミカライズならではのポイントや、思い入れのあるシーンについて話を訊いた。

■“神”を前に“役人”として調査する男、謎が交差するストーリーに引き込まれる
領怪神犯特別調査課に所属する主人公の片岸は、この世界のあちらこちらに現れる“領怪神犯”という存在を知り、常識で計り知れない存在を前に洞察を巡らせるというだけの、普通の人々と変わらない男。部下の女性・宮木とともに日本各地で起こる領怪神犯への対処を行う中で、奇怪な現象の裏にあるものの一端を拾い上げていく。

領怪神犯は姿形も起こる現象もさまざまで、巨大な人間の身体の一部が一年に一度とある村のどこかに現れたり、死者の内臓を欠片も残さず消失させたりと、まったく予測の及ばないものばかり。人々には土着の神や伝承として理解されながらも、実際には人間の解釈に過ぎないそれらを糸口に、職務として領怪神犯に踏み込む片岸たちの姿が描かれる。

第2巻では、1巻に引き続きいずれも謎だらけの領怪神犯の数々が描かれるだけでなく、それを追う片岸自身が抱える個人的事情も徐々に明かされていく。片岸の上司であり義兄にあたる男・六原や、片岸の妻・実咲を巡る因縁が、領怪神犯やそれに連なる人々の動向と交差するストーリーも本作の大きな見どころとなっている。

■「自分で悲鳴をあげながら描いた」コミカライズ作者に焼き付いた新章
「元々民俗学や怪異、そしてミステリーが好きだった」という、漫画を担当する足鷹高也さん。謎や恐怖に満ちた原作を、漫画として描くうえでの思いをインタビューした。

――はじめに、木古おうみさんの原作小説「領怪神犯」を読んだときの感想を教えてください。

【足鷹高也】元々民俗学や怪異、そしてミステリーが好きだったので、自分の好みに「領怪神犯」の世界観がすべて当てはまると感じました。片岸と宮木という男女バディもやり取りが楽しく、最後は一体どうなるんだろうと夢中で小説を読んでいました。読み終わったあとも、神や信仰について考えさせられましたし、「領怪神犯」に出てくるさまざまな神様の話をもっと読みたいと思っていました。

――漫画では、原作の世界観や不条理な“領怪神犯”の姿、それらに向き合う片岸たちが魅力的に描かれています。コミカライズを手掛けるうえで意識していることを教えてください。

【足鷹高也】キャラクターの表情や動きもそうですが、おぞましさや不穏さといった雰囲気を伝えるために背景描写は特にこだわっています。日本の田舎が主な舞台となる本作ですが、時代が今とは少し違うことも意識しながら描いています。

――主人公の片岸と、バディを組む宮木のキャラクターもイメージにばっちりはまると感じます。登場人物のデザインはどんな風に膨らませていったのでしょうか。

【足鷹高也】宮木は“明るい女の子”というイメージで比較的パッと出てきたのですが、片岸のキャラクターデザインは少し苦戦しました。喫煙者のキャラクターを描くのが好きだったのでデザイン案がたくさん出てきてしまい、どれも見た目が全然違った姿でした。最終的に担当編集さんと原作の木古さんの意見を聞いて、今の片岸になりました。

――2巻では片岸の過去も明かされはじめ、これまでと違う表情も垣間見せます。連載を続ける中で作画や演出など、ご自身の中で変わってきている部分や異なるアプローチを取り入れている点はありますか?

【足鷹高也】一度、表情の描き方で冷や汗の表現が多いと担当編集さんから指摘され、初めて自分のクセに気付きました。減らしたことで以前より神や化け物に対峙したときの緊張感、動揺などを強く表現できてよかったです。

――2巻に収録されるエピソードの中で、足鷹さんにとって特に思い入れのあるエピソードや場面があれば教えてください。

【足鷹高也】「水底の匣の中の神」では六原と片岸のめずらしいペア、そして片岸の妻である実咲との過去に大きく触れる回だったので、今までの章とは全然違う雰囲気で印象的でした。神とはまた違うおぞましい化け物も登場したので、自分で悲鳴をあげながら描いていました。


取材協力:足鷹高也

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