
アジアのとある国で織物工房に立ち寄ったときのこと。工房の娘もブレスレットを手作りしていると知り、購入を決める。けれど、代金を受け取った少女は、なぜかもう片方の手を伸ばしてきて……?
甚平と忍びハチマキ姿で世界各地を旅し、その体験を漫画に描く五箇野人(@gokayajin)さんがX(旧Twitter)に投稿した短編漫画「海外少女の手作りブレスレットと追加要求。」に、1万7000件を超える「いいね」が寄せられるなど反響を呼んでいる。作者の五箇野人さんに、この体験談の舞台裏を取材した。
■手作りブレスレットはおまじない付き!織物工房の少女との素敵な買い物
五箇野人さんは、ゲッサン(小学館)で連載中の「海外 縁にまかせて歩くだけ。」(単行本第1巻は2023年10月12日発売)など、海外での光景や出来事を漫画にし、人気を博す漫画家。SNSやブログで公開されている「海外旅日記」シリーズは「つかれたときに読む海外旅日記」として書籍化(第4巻は2023年10月12日発売)もされたシリーズで、今回紹介するのは同シリーズの新作エピソードだ。
アジアのとある集落で、織物工房を発見した五箇野人さん。その様子を眺めていると、工房の女性から「あの子もアーティスト」と、一人の少女を紹介される。幼さを残す少女も紐を組んだ手作りのブレスレットを制作しており、気に入った五箇野人さんはおすすめの一品を購入することに。
そうして代金を受け渡したものの、少女は何かを求めるように広げた左手を差し出してくる。当然チップの要求か……と思った五箇野人さんの腕をその手が掴み、少女は「For Your Health For Your Good luck」とつぶやく。
彼女は健康と幸運のおまじないとともに、五箇野人さんの腕に自らブレスレットをはめようとしていたのだ。そのお礼を伝えたらダンスで喜んでくれたりと予想外のうれしいおまけに、「天使すぎた」と五箇野人さんは感激するのだった。
■「少女の行動は本当に沁みました」先入観を覆す女の子のおまけ
読者からは「素敵過ぎる」「めっちゃ効果ありそうですね」「それだけでもう幸せもらえます」と多くの共感を集めた同エピソード。五箇野人さんのブログでは当時の写真も公開されており、青と白の紐で編んだ鮮やかなブレスレットも収められている。今回は五箇野人さんに、そんな体験を漫画に描いた思いを訊いた。
――今回のエピソードを作品に描いたきっかけを教えてください。
「少女のかわいさと優しさがとても印象に残っていたのでこの体験、気持ちを共有したいと思って漫画にしました」
――おまじないやダンスなど、うれしいおもてなしがたくさんで幸せな気持ちになれるやり取りです。改めてこのときの心境をお聞かせください。
「少女にとっても『仕事』なので、やはりチップやお金を稼ぐことが最優先かなと勝手に考えてしまっていたので、それを覆される少女の行動は本当に沁みました。またダンスなど、少女が自身の気持ちを言葉以外でも素直に表現する姿もとても素敵だなと感じました」
――ブログにあげられていた写真でもブルーと白のデザインが素敵なブレスレットです。ちなみに、少女から作品について説明はありましたか?
「もしかしたらブレスレットごとに意味の違いもあったかもしれませんがそこまで聞き込んでいませんでした。ただ、この工房の染色は全て草木を使った自然染料となっていてそのことはとても誇らしく説明してもらいました」
取材協力:五箇野人(@gokayajin)