サイト内
ウェブ

町田啓太「自分を過信せずにあらゆる表現を」撮影で影響を受けた「ミステリと言う勿れ」整の名言

  • 2023年9月15日
  • Walkerplus

2022年に放送されて話題になったドラマ「ミステリと言う勿れ」。その原作(累計発行部数1800万部を突破している田村由美の漫画)の中でも人気の高い通称“広島編”を、ドラマ版に続いて菅田将暉を主演に迎えて映画化。主人公の久能整(くのう・ととのう)が、遺産相続事件に巻き込まれる姿を描く。本作で、遺産を巡る争いで死者さえ出るといういわく付きの名家・狩集家の遺産相続候補者の一人を演じた町田啓太に、撮影秘話や演じた役柄について語ってもらった。

■共演者のみなさんと「密にコミュニケーションを取らせていただけたのはありがたかった」
――本作の出演が決まる前から原作を読まれていたそうですね。

【町田啓太】ドラマ化される前から原作が好きで読んでいたので、今回お声がけいただいたときはすごくうれしかったです。まずタイトルが秀逸ですよね。“おや?ミステリー作品ではないのかな?”と思わせておきながらも、しっかりと謎解き要素はありますし、さらには主人公の整くんの言葉が人の心を解きほぐすような描写もあってとてもいいなと。

原作を読んでいるときもドラマを観ている最中も彼の言葉にハッとさせられたり、心が温かくなったりしたので、そんな魅力的な作品に参加できて光栄でした。

――町田さんが演じる狩集理紀之助(かりあつまり・りきのすけ)は狩集家の遺産相続候補者の一人で、インテリの臨床検査技師というキャラクターです。ご自身では理紀之助をどんな風に捉えて演じてらっしゃいましたか?

【町田啓太】ネタバレに繋がってしまう可能性があるので、具体的にお話しするのが難しいのですが、僕が魅力的だなと感じたのは理紀之助の内向的なところです。彼が内向的なのは、“優しすぎる”、“人に気を遣いすぎてしまう”など、あらゆる要因があるのですが、自身の思いをなかなか吐き出さないからこそ少しミステリアスというか、お客さんに“この人はなにを考えているんだろう?”と感じてもらえるんじゃないかなと思います。そんなことを意識しながら演じていました。

――お客さんが“この人怪しいな”と疑いすぎてもいけないですし、かなり緻密に計算したのではありませんか?

【町田啓太】そこの加減を調整するのは難しかったのですが、松山博昭監督とシーンごとに細かく確認作業をするようにしていました。

――先日、波々壁新音(ははかべ・ねお)役の萩原利久さんにお話をうかがった際に、「意図しない伏線の張り方をしないように、みんなでたくさん話し合って撮影に挑んだ」と仰っていました。

【町田啓太】共演者のみなさんと密にコミュニケーションを取らせていただけたのはありがたかったです。もちろん、どの現場でもそのようにしたいのですが、“密に”となると作品の内容や役の関係性などで難しいこともあって。でも今回は、自然と気兼ねなくみんなでディスカッションできたので、貴重な経験になりましたし、“みんなで一緒に作っている空気感”が強い現場でした。

■お芝居や作品と真摯に向き合う菅田くんの姿を見て「すごく刺激をもらいました」
――撮影で印象に残ったエピソードをお聞かせいただけますか。

【町田啓太】原作の広島編はすごく長いのですが、映画化するにあたって“何気ない場面に見えて実は重要な箇所”を泣く泣くカットしなければいけないこともあるんですよね。

でも、菅田(将暉)くんが「原作のこの部分、もう少し映画版で描いた方がいいんじゃないか」、「台本にはないけれど、原作のこの言葉は反映した方がいいんじゃないか」と率先して提案してくれて、そのあと監督、キャスト、スタッフみんなで原作のその部分を読み返してみると、「確かにそうだね」と納得してシーンが増えたことが何度かあったんです。それがすごく印象的でしたね。

――座長としていかに作品を良くするかを、菅田さんがものすごく考えて動かれていたことが伝わってきます。

【町田啓太】本作のメインの登場人物を演じる俳優が、自分も含めて映画版から参加の人が多かったので、それもあって菅田くんがいろいろと考えて動いてくださったんだと思います。お芝居や作品と真摯に向き合う菅田くんの姿を見てすごく刺激をもらいました。

――現場では真面目にディスカッションすることもあれば、雑談で盛り上がることもあったそうですね。

【町田啓太】菅田くんと利久くんが同じ事務所所属で、共演経験も多かったそうでかなり仲良しだったんです。それで菅田くんが利久くんの魅力をみんなにも知らせたかったのか、雑談中に利久くんにたくさんパスを投げて、場を盛り上げるために彼は動物やバスケなどいろいろな話題を提供してくれたんです。中でもインパクトが強かったのがダチョウの話でした(笑)。

――萩原さんご自身もダチョウの話を現場でしたと仰っていました(笑)。

【町田啓太】利久くんが目をキラキラさせながらすごくうれしそうに話すので、聞いているうちに楽しくなっちゃって、気づけば僕らもダチョウのことが好きになっていました(笑)。利久くんは好きなことにちゃんと熱量を注いでいて、生き生きとされているので素敵だなと思いました。

――町田さんから話題を提供することもありましたか?

【町田啓太】僕はみんなの話を聞いて楽しませてもらうことが多かったのですが、みなさんに僕の印象を聞いたら“脳筋”や“プロテイン”といったワードが出てくるかもしれません。現場にプロテインを持っていったこともありますし、トレーニング情報やコンディショニング系の話をよくしていたので(笑)。でも、みんな興味を持って聞いてくれたのでうれしかったです。

■多面性のあるキャラクターを演じるのが好きなので「どんどんチャレンジしたい」
――主人公の久能整が、膨大な知識と鋭い観点で魔法のようなおしゃべりを繰り広げる場面もこの作品の見どころと言えます。町田さんは整の言葉から影響を受けたことはありましたか?

【町田啓太】たくさんあります。本作でいえば、とある場面の「子供って乾く前のセメントみたいなんですって。落としたものの形がそのまま跡になって残るんです」という言葉を台本で読んだときに、こんなにわかりやすく子供が受けた傷について説明してくれる人がいただろうかとハッとさせられたんです。“確かにそうだな”とスっと腑に落ちたんですよね。

ほかにも「ミステリと言う勿れ」には整くんの名言がたくさんあって、その影響は少なからず受けていると思います。たとえば、大勢の意見に流されてしまいそうなときに、“待てよ、これってどういうことだろう?”と、ふと立ち止まって考えるようになりましたし、お芝居に関しても“本当にこれがベストなのか?”と、自分を過信せずにあらゆる表現や役の心情を探るようになったので、それは整くんの前衛的なものの考え方に刺激を受けたからなんじゃないかなと思います。

――話は変わりますが、今年の4月期に放送されたドラマ「unknown」では町田さんが演じた加賀美が終盤まですごく素敵な人だったのに、クライマックスで連続殺人犯だったことが明かされて衝撃でした。

【町田啓太】「unknown」はいろんな意味で衝撃的なドラマでしたね(笑)。

――確かに、“吸血鬼”が人間社会に混じって普通に生活しているぶっ飛んだ設定で、とてもユニークなドラマでした(笑)。大切な人を傷つけたくない気持ちと、その大切な人が吸血鬼であることから傷つけずにはいられない衝動を抱えた加賀美を演じるのは大変だったのではありませんか?

【町田啓太】人間は二面性どころか三面、四面とたくさんの顔を持っていたりしますよね。僕はそういった多面性のあるキャラクターを演じるのが好きなんです。なので加賀美は難しいというよりも、俳優として挑戦しがいのあるおもしろい役だなと思いながら演じていました。

ありがたいのは、そういう役を任せてもらえるようになってきていること。これからも「町田啓太っておもしろい役をよく演じているよね」と思ってもらえるように、どんどんチャレンジしたいです。

――加賀美の連続殺人犯の印象が強すぎて、本作の理紀之助のことを“怪しいな”と思う人がいそうですよね(笑)。

【町田啓太】いると思います(笑)。撮影は本作の方が先だったので、共演者のみなさんがどんな風にミスリードしていくのか、あるいはミスリードしすぎないようにどんな塩梅で演じるのかを観察していました。お客さんには整くんと一緒に狩集家の遺産相続問題に存分に振り回されながら楽しんでもらいたいです。

――最後に本作を楽しみにしている方にメッセージをお願いできますか。

【町田啓太】整くんの言葉は、引っかかるポイントやグッとくるポイントが人それぞれ違うと思うんです。だから誰かと本作の感想を話すときに、自分が感じたのとは違う意見を聞いて“なるほどね。そう感じたのはなんでなの?”と会話を広げることができますし、その答えから相手のアイデンティティーを知ることもできると思います。

原作やドラマのファンの方はもちろん、どちらにもまだ触れたことのない方でも楽しめる内容になっていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。

取材・文=奥村百恵

◆スタイリスト:石川英治(TABLE ROCK.STUDIO)
◆ヘアメイク:KOHEY

(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.