
定職なしのフリーター、生田ヒロト29歳。人柄のよさで仲良くなった近所のおばあちゃん・和田はなえから一戸建ての平屋を譲り受けることになった。そこに山形から上京してきた、いとこのなつみと二人暮らしがスタートする!人と人との関わりが織りなす、ヒューマンドラマを描く真造圭伍(@shinzokeigo)さんの「ひらやすみ」を紹介しよう。仕事に追われ、慌ただしい日常を過ごす人々に忘れかけていた何かを思い出させてくれる。
■阿佐ケ谷を舞台にした長閑なヒューマンドラマ
無職のフリーター、29歳。定職につかず、三十路手前で彼女もいない。多くの人が不安と焦りを感じる年頃であるにもかかわらず、主人公のヒロトは、将来的なことを考えられず釣り堀でバイトをしていた。そして、時折一人暮らしのおばあちゃん、和田はなえさんの家でご飯をご馳走になる。どこか芯を持って生きるヒロトはときえさん亡きあと、住んでいた平家の一軒家を譲り受けることになる。
殺伐とした世の中で人間関係に疲れたとき、本作を読んで「心が温かくなった」「忘れかけていたものを思い出させてくれた」などと読者からの声が集まる。世間に振り回されず、自分らしく生きる主人公の姿がじんわりと響いてくるのだ。本作は、「森山中教習所」や「トーキョーエイリアンブラザーズ」を描く真造圭伍さんの最新作。温かな日常と静かな情景の中から生まれるドラマについて、話を伺った。
ーー真造さんが漫画を描き初めたきっかけを教えてください。
小学生のとき、あまり自分を誉めない兄が、ある日描いた漫画をとても誉めてくれたことが自信に繋がりました。
ーー「ひらやすみ」を描こうと思ったきっかけを教えてください。
1話目のネームを描いてるときは入院中だったのですが、そんなときでも読みたくなるような漫画にしたいと思った記憶があります。
ーー29歳フリーター、恋人もいなくて、実際なら不安しかないと思うのですが、なぜか自分らしく生きるヒロトが羨ましく感じます。ヒロトを魅力的に描く秘訣は何でしょうか?
最初のネームでは、ヒロトも悩みが多少あるという描き方をしてましたが、担当編集者さんから「もっと極端にした方がいい」とアドバイスをいただき、今のヒロトになりました。極端な性格にしてキャラが動きやすくなってよかったです。
ーー物語に大きな事件があるわけでもないのに、心が温かくなります。本作でこだわっているところがあれば教えてください。
なるべく自分の体験したことや聞いたことを、作品に盛り込むようにしています。
ーー「たくさんの名言がある」というコメントも見ましたが、ここは見てほしい!という、こだわりのシーンがあれば教えてください。
夏を描くのが好きなので、2集の七夕祭りの回はネームも作画も苦戦しましたが、気に入ってます。あと、毎話猫を描くようにしています。探してみてください~!
ーー読者の皆様にメッセージがあればお願いします。
頑張って描いてるので読んでみてほしいです!最新6集が8月30日(水)頃に発売します。よかったら是非買って下さい!!
本作は、現在、週刊ビッグコミックスピリッツで連載中!山形から上京したいとこは、都会暮らしの荒波に揉まれながら、ヒロトの生き様に少しずつ「幸せ」とは何かを考え始める。第1集の帯には、松本大洋、和山やまなど6名もの漫画家たちの推薦が届いている。
取材協力:真造圭伍(@shinzokeigo)