アスペルガーとは知らぬまま…「変な奴」から「おもしろい人」へと鬼畜コーチの評価が急上昇【漫画の作者に聞く】

  • 2023年9月30日
  • Walkerplus

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)と診断されたご主人とのちょっとユニークな日常生活をInstagramで発信している、ちくわさん(@chikuwa_bloger)。ご主人からの衝撃的なカミングアウトからそれを受け入れて結婚に至るまでを描いた著書 「好きになった人はアスペルガーでした」から一部抜粋・編集し、近年関心が高まる「大人の発達障害」のリアルや向き合い方、対策などを紹介していく。

今回のテーマは「この人…おもしろいかも!?」。昇進を機に、体力づくりのためテニススクールに通い始めたちくわさん。だが、担当テニスコーチ(のちのご主人)は容赦ないスパルタ指導で失礼な言動も多く、第一印象は最悪。それはアスペルガー症候群の特性によるものなのだが、ちくわさんは知るよしもない。そんな中、ふとしたきっかけでちくわさんはコーチに好印象を持つようになる。

■「この人…おもしろいかも!?」
生来の負けず嫌いで、コーチのしごきも見事克服したちくわさん。そんなある日、コーチから「人手が足りない」と別のレッスンに誘われる。待ち合わせ場所に行ったちくわさんはコーチに驚愕。エンジン音を吹き鳴らしながら、ボロボロでド派手な改造バイクで現れたからだ。ちくわさんは「やっぱり変な人」と思いつつも、食事に誘われることに。

朝マックをごちそうになったちくわさん。だが、コーチは何も語らず、ただ無言でハンバーガーをむさぼるだけ。その豪快過ぎる食べっぷりを見て「この人は、人前で着飾るのが嫌いな人なのかも」と興味を抱く。

ある日、スクール生との雑談の中で、コーチが持つ何色ものサングラスの話題が出た。ちくわさんが「(その中でも)黄色が好き」と言ったことを小耳にはさんだコーチがとった行動とは…。

■思い返せば、アスペルガーの特性が行動のあちこちに
アスペルガー症候群の人は、いわゆる「行間を読む」ことが苦手。例えば「TPO」「一般的」「もう少し」など抽象的な表現をされると、そのあいまいさが理解できないのです。また、他人からどう見られているかについての意識が薄いという傾向もあります。夫は基本「自分さえ使い勝手に困らなければ問題ない」というスタンスなので、平気でボロボロな改造バイクに乗っていたのではないかと推察しています。

続いて、まだ親しい関係ではない私の前で無言でハンバーガーをむさぼる場面があります。私はコーチ(夫)にお願いされてレッスンに来た立場です。そのお礼であれば「今日は来てくれてありがとう」など、少しは世間話のような会話があってもいいはずですよね。夫はアスペルガー特有のコミュニケーション難が出ていたのでは?と思います。そして、他人からどう見られようと関係ないスタンスですから、ガサツという意識もなく、本人の中ではいつも通りハンバーガーに食らいついていたんだと思います。

黄色いサングラスだけをずっとかけ続けていた件は、私としては他の生徒さんとの会話にて軽い気持ちで「黄色が似合う」と言っただけでした。でも夫はその言葉を「本当に言葉通り」真に受けたので、黄色しか付けないという極端な結果となったんでしょう。

それも「今思えば」の話です。当時、コーチ(夫)がアスペルガー症候群と知らない私は、着飾らずありのままに生きている夫の姿におもしろさを感じ始めていました。

その意識の変化は、サングラスのエピソードで決定的になりました。他のレッスンでは違う色を付けているのかな?とのぞいてみたら、やっぱり黄色!それまでは「変わったコーチ=嫌悪感」でしたが、「変わったコーチ=おもしろい」に完全に変わった瞬間でしたね。

※なお、ちくわさんのご主人の場合は、人の気持ちを想像できない特性に加え、多動性や衝動性に代表されるADHD(注意欠如・多動症)の特徴もあるタイプ。漫画内や記事に出てくる特徴の描写はあくまでちくわさんとご主人のケースに対する説明で、すべてのアスペルガー症候群の方に当てはまるわけではないことを念のため補足しておく

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