
TwitterやInstagramなどで、日雇い漫画など日常の風景を発信している柿ノ種まきこさん(@kakinotane_m)。2023年3月には初の著書となる「アラフォーまきこのごゆるり家事」を上梓して話題を呼んでいる。
どこか丁寧な雰囲気も感じる柿ノ種さんの作品の一部を、本人のコメントと共にお届けする。今回は出産のお話。柿ノ種さんの出産は一言で表すと「疲」とのことで…。
■感動よりも安堵の方が大きかった出産のお話
出産を終えたときは、終わってホッとしたのが本音でした。感動よりも『終わった…!よかった…』という安堵の方が大きかったです。私の場合、後産や縫合の痛みが全くなかったので、処置をしてくれているお医者さんに『いやぁ〜長かったですねぇ、でも無事生まれて良かったですよ。あの時は痛くてどうなるかと…』とマシンガントークをしたくてうずうずしていたのですが(産後ハイ)、黙々と処置してくれているお医者さんに話しかけるわけにもいかず…他に近くに誰もおらず、微妙な時間を過ごしていました。(夫の)サトルさんは立ち会いでしたが、分娩室に入れるのは(娘の)なごみを取り上げる瞬間だけでした。
もともと色々気にしてしまうタイプなので、食事について指摘された時はすごく落ち込みました。なぜなら暴飲暴食もしていないし、どちらかというと食事にも気を使っていたからです。まぁ今となっては『そんなに気にすることじゃないよ〜』とあの頃の自分に言ってあげたいくらいなのですが、当時ははじめての出産で色々不安になっていました。
指摘されてからは、炭水化物は雑穀米を少量にしてタンパク質と野菜を中心にした食事にしました。質素な食事ばかりで息抜きのお菓子も食べなくなり、なんだか気分も鬱々としていました。今思うとマタニティーブルーもあったのかもしれません。体よりも気持ちの面で辛い時期でした。
初めて目をパッチリと開けて不思議そうにあたりを見回す我が子を見たときは『ようこそこちらへ〜』と心でつぶやきました。『かわいい!抱きしめたい!』という愛情よりも、『あ、どうも。はじめまして。これから母やらせてもらうマキコです。よろしくお願いします』みたいになぜか他人行儀な気持ちでした。
生まれた直後から助産師さんからも『柿ノ種さん』から『お母さん』と声がけされたりして、気持ちを一気に切り替えるのは難しく、しばらくこの違和感は続きました。本格的に育児が始まると、すぐにこの違和感は消えて愛情も芽生えていきました。この愛情はどんどん増して、今では日々最高値を超えております。