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「かかってるよ、『詰めろ』」将棋用語でデートの“感想戦”語る彼女、分からない彼氏の噛み合わなさに「めちゃくちゃ笑った」【作者に聞く】

  • 2023年4月30日
  • Walkerplus

デートの後、二人きりの車内で今日を振り返るカップルの二人。「楽しかったよ」と和やかなムードだったはずの会話は、「『居飛車の棒銀』って感じのデートだったね」「もう少しで千日手だったよ」と、なぜか将棋用語が混じり出す…。
ウォーカープラスでは、ゴールデンウィークを過ごすおともにおすすめな漫画を特集。今回は、漫画家の杉野アキユキ(@sugino_akiyuki)さんがTwitterに投稿し1.5万件の「いいね」を集めた創作漫画「初デートの感想を将棋に例えてくる彼女」を、作者の杉野さんの制作秘話とともに紹介したい。

■デートの“感想戦”に戸惑いっぱなし!将棋ファンと知識なしカップルのすれ違いにジワる
『クイズ!正義の選択』(新潮社)や、現在電子レーベル「コミックアウル」にて連載中の『ディストピア~移住先は不貞の島でした~』など、プロの漫画家として活動する杉野さん。そのかたわら、趣味の将棋を題材にしたオリジナル漫画をSNS上で公開しており、「初デートの感想を将棋に例えてくる彼女」は「歩美と桂介」シリーズの第一作にあたる。

二人にとって初めてのデートを終え、夜のドライブを楽しむカップルの「桂介」と「歩美」。桂介がデートの感想を歩美にたずねると、歩美は「序盤、中盤、終盤どれも隙がなかった!」と、独特な表現で返してきた。

桂介はピンと来ていないものの、それは有名なプロ棋士が対戦相手を評した言葉の引用。その後も「定跡通りのプランだったけど何か新手があればもっと良かったかもね」「『居飛車の棒銀』って感じのデートだったね」と、将棋に関する言葉が端々に混ざった感想を伝え続ける歩美に、「(さっきから何言ってんの)」と内心困惑する桂介。桂介はまだ知らなかったが、実は歩美、四六時中将棋のことを考えている筋金入りの将棋ファンだったのだ。

桂介にとっては単にデートの感触を聞いた質問でも、歩美にとってそれは“対局後の感想戦”のようなもの。怪訝な顔の桂介をよそに、「私が魚介類が苦手なのを事前にお店に伝えてたのは好手だったね」「逆に水こぼしたのは悪手もしくは奇手だね」と、デート中の桂介を“検討”する歩美。さすがに桂介も「さっきから聞き慣れない言葉があって…」と、半ば意味不明な歩美の言葉の意味を確認しようとするが、歩美はそれにも「疑問手だった?」と将棋用語で答える始末。

とは言え、デート自体はつつがなく終えた二人。別れ際に「また誘って良いかな?」とたずねた桂介に、振り向いた歩美は「かかってるよ『詰めろ』」と一言。将棋を知っていれば二人の関係は重大な局面にあると分かるその言葉だが、将棋を知らない桂介は「どういうこと!?」と戸惑うばかりなのだった。

■「デート×将棋」のワンアイデアから反響多数のシリーズ作へ
将棋を知らない桂介と、熱狂的な将棋ファンの歩美のすれ違いぶりがじわじわくるラブコメ作品。同作を第1話とする「歩美と桂介」シリーズは、その後も初詣やディナー中でも将棋で頭がいっぱいの歩美に桂介が翻弄されながらも二人の仲が進展していく姿が描かれている。

杉野さんは同シリーズをはじめ、さまざまな切り口で将棋をテーマにした漫画を制作。Twitterで公開した作品をまとめた電子書籍『将棋漫画まとめました。』(Amazonにて2巻まで配信中)も好評を博している。

歩美と桂介はその電子書籍の表紙を飾り、「読者から一番反響が大きいシリーズ」と杉野さんが語るなど、自他ともに杉野さんの将棋漫画を代表するシリーズ。作品が生まれたきっかけを、杉野さんは「ちょうどクリスマスの時期に、『デート×将棋』で何か描けないかと考えたのがきっかけです」と振り返る。

「そこで浮かんだアイディアが、『初デートの感想を将棋で例えてくる彼女』でした。これが思いがけずたくさんの反響をいただき、続編を描くようになりました。そうして生まれたのが、歩美ちゃんと桂介くんです。当初はなんとなくイメージで二人を描いていましたが、続編を描いていくうちに性格がはっきりしてきて、今では実在する人物のように親しみを持って描いています」

同シリーズをはじめ、「将棋が義務教育化した世界」や「棋力が見える眼鏡を手に入れた男」といった短編、将棋の駒を擬人化した「対局帰りの将棋の駒」シリーズ、杉野さん自身の将棋エッセイ漫画など幅広く将棋漫画を描く杉野さん。仕事のリフレッシュの方法として、子供の頃以来となる将棋を指し始めたところ、「1日に最低1局は必ず指さないと気持ち悪いと感じるくらい」に将棋熱が燃え上がったそうで、その高まりから将棋を題材にした作品を発表するようになったと語る。

将棋を知らない人も、詳しい人も気軽に楽しめるユーモアあふれる将棋漫画。ゴールデンウィークは“読む将”として将棋の世界を楽しんでみてはいかがだろうか。

取材協力:杉野アキユキ(@sugino_akiyuki)

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