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仙台市にある「刺身の自販機」で刺身を買って食べてみた!高度な冷凍技術でえびの甘味が10倍に!?

  • 2023年2月9日
  • Walkerplus

最近、対面せずして食品を販売する「冷凍自販機」や「無人店」などが人気となっている。しかしこれまでは「冷凍食品」が大半で、その食品の内容は自宅でレンジでチンしたり、火入れ調理して食べるものばかりだった。

そんななか、宮城県・仙台市で“刺身を購入できる冷凍自販機”が登場。ご承知の通り「刺身」は生のまま口にするわけで、言うまでもなく鮮度が命。この刺身の冷凍自販機は、果たしてどんなものなのだろうか。

今回は、冷凍自販機で購入した刺身を実食してレポート。さらに、この自動販売機を導入した株式会社魚銀の担当者に話を聞いた。

■仙台市で76年続く水産品販売業者が設置
刺身の冷凍自販機を導入した魚銀は、仙台で創業76年を迎える水産品販売の会社。自社店舗前に刺身の冷凍自販機を設置し、地元ではおおいに話題になっているという。

自動販売機で購入できる内容は、「トロほっけ刺身」「生甘えび 皮むき」「生しめにしん」「天然平目薄造り」など。このほか、「幻の日本酒と塩だけで茹でたタコ」「まぐろサラミ」「まぐろハム」といった加工を施したものもあるが、いずれもできるだけ“生の味わい”を損なわないようにしたものばかりだそうだ。商品はすべて1000〜1500円で購入することができる。

この冷凍自販機のうち、筆者は「トロほっけ刺身」「生甘えび 皮むき」「生しめにしん」「幻の日本酒と塩だけで茹でたタコ」の4種を購入。これらはいずれも1000円だが、果たしてどんな味わいなのだろうか。

購入後、筆者は刺身を袋ごと静かに流水にさらし、解凍することに。約10分ほどで解凍され、すぐに口にできる状態になった。

■火入れが通例の「ほっけ」「にしん」も刺身で!
解凍後、さっそく刺身を食べてみることにした。まずは、「トロほっけ刺身」から。

東京などでは“ほっけを刺身で食べる”という習慣がなく、正直「おいしいのか…?」と思うところもあったが、臭みなどは一切なく、噛み締めると程よい弾力があり、口のなかにほっけ特有のサッパリとした旨味が広がった。これは美味!

続いて「生甘えび 皮むき」。甘えびの皮があらかじめ剥かれているので、食べる際に便利。一方で皮むきをすることで時差が生じ、傷むのではないかと思ったが、これもまた抜群のおいしさ。

むしろ生で食べるよりも、甘えび本来の甘味が増したかのように感じる。まるで手品を見せられているかのような味わいだった。

そして、「生しめにしん」。ほっけ同様、火入れして食べるのが通例だが、水揚げ後にすぐにしめることで刺身でも口にできるようだ。これもまた程よく脂がのっており、日本酒などとの相性も良さそうだ。

最後は「幻の日本酒と塩だけで茹でたタコ」。加工されているが、生タコの弾力を損なわず、プリプリの食感。日本酒と塩の風味が身に染み込んでおり、刺身で食べるよりも随分洒落た味わいに変身していた。こちらは白ワインとのペアリングがよさそうだ。

■冷凍刺身の利点は「おいしさアップ」「安全」「長い賞味期限」
筆者はほぼ毎日のように刺身を食べているほど刺身好き。「刺身の冷凍自販機」と聞いた際、「一度凍らした刺身はおいしくないのではないだろうか」と思っていたふしがある。しかし、これらを食べてみて、その先入観を大きく覆されることになった。前述の通り、なぜか生で食べるよりもおいしく感じる。どうしてこの味が実現できるのか、不思議に思うほどだ。

その冷凍技術が気になり、この自動販売機を展開する魚銀の担当者に話を聞いてみた。

「たとえば、今回食べていただいた『生ほっけ』や『生甘えび』は、魚の皮、えびの殻に覆われた部分にかなり雑菌が多いんです。この雑菌を凍らせる前に十分殺菌することで、それまでに隠れていた素材本来のおいしさ、食感を提供することができます。『生甘えび』であれば、えびの甘味を10倍くらいに感じられるようになりますし、『生ほっけ』は高級魚『あいなめ』の味に近いものになります。さらに、生魚の冷凍による利点は味わいだけでなく、ほかにもあります。まず、-30度の液体アルコールで急速冷凍することで、最低1カ月の保存が可能になり、食中毒を起こす寄生虫・アニサキスなどを死滅させることができます。これまで『生ほっけ』や『にしん』はアニサキスが多く寄生することから加熱用が主流でしたが、当社の冷凍技術で安全に食べられるようになりました」

このような、魚銀の急速冷凍技術による刺身のおいしさをさらに広めるべく導入されたのが、「冷凍自販機」だったという。魚銀と同じ仙台の業者「自動販売機JP」のものを導入して販売を始めたところ、地元で話題となり、多くのメディアが取り上げるほどの注目に。今では売り切れも続出しているんだとか。

ところで、この冷凍自販機には「まぐろサラミ」「まぐろハム」といった、まぐろの加工商品も販売されている。まぐろの刺身やサクは、本来-45度以下の保存が必須であり、-20度で管理される冷凍自販機での販売は難しいことから、加工したものをラインナップしているという。

しかし、刺身を試食した印象や繊細な冷凍技術から鑑みるに、これらもまた冷凍だからこそ味わえるおいしさが詰まっていることだろう。

担当者は「近年の温暖化の影響で、これまで獲れていた魚が昔ほど獲れなくなった。これまであまり食べられてこなかった魚種も販売してきたい」と話す。今後、この冷凍技術がさらに重宝されるようになるだろう。

最後に、担当者に今後の展望を聞いた。

「鮮度のいい魚を知っている釣り好きの方たちからも、『醤油をつけなくてもおいしい』と評判です。獲れたての生のときよりもおいしく安全に食べられる刺身なので、ぜひ多くの方にご賞味いただきたいです。また、今後は地元・仙台だけでなく、県外にも自動販売機での展開を考えています。さらに当社の冷凍技術で海外にも生魚を運べるので、海外に住む和食好きの皆さんにもお届けできるようになるといいですね」

取材・文=松田義人(deco)

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