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タザキの投資本案内「ファンダメンタル投資の教科書」/本当に価値がある株を見極めるスキルが身に付く

  • 2023年3月28日
  • Walkerplus

こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ(@tazaki_youtube)と申します。

学生時代に株の魅力を知って以来、投資本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超えました。これまでに読んだ投資・マネー系の本は300冊以上。

その経験から、ここでは特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介していきます。本日は「株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版」(著:足立武志/ダイヤモンド社)をご紹介していきたいと思います。

「個別株にも挑戦したいが、何から調べればよいか分からない」
「基礎から網羅的に学びたい」
という方におすすめの一冊です。

ファンダメンタル投資とは、業績や財務の状況などを分析し、企業価値に対して株価が割安な企業や、将来的に事業の成長が見込まれる企業を見つけ出し、投資する方法です。

ファンダメンタル分析に必須の指標や、情報収集の方法。そして「ファンダメンタル投資」と銘打ってはいるものの、テクニカル分析の解説も充実しています。

四季報を使った、業績や指標の読み方が解説されていますので、決算書の知識に自信のない個人投資家の方にも、ぜひ読んでほしいと思います。

■成長株・割安株・復活株を四季報で見極める
まず、株式投資のカテゴリーとして「成長株」と「割安株」、そして「復活株」という3つに分けられており、その探し方が解説されています。それぞれ順番に見ていきます。

・成長株
成長株は、なんといっても売上や利益が年々成長していることが最重要です。今後も株価が上昇することを期待して、大きなキャピタルゲインを狙います。

四季報には、過去3〜5期分の業績と、当期、来期の業績予想、中間決算の数値が掲載されています。

なんといっても四季報独自予想には価値があります。業界に精通した記者約120人が分担して、全上場企業の予想や記事を書いています。

実際に購入する場合は、3年だけの実績では安心できません。有価証券報告書も確認すると良いでしょうね。

伸びているように見えていても、実は直近の数年だけの伸びであったり、過去よりも伸びが鈍化していたりすると、注意が必要です。

・割安株
割安株は、企業価値の大きさより、実際の株価が割安になっている株で、本来の価値に株価が修正された時に利益が出るという方法です。「PER」「PBR」「配当利回り」などの指標を使います。

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PER:株価が1株当たり(予想)当期純利益の何倍まで買われているかを表す。低いほど株価が割安とされる。
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利益何年分で、投資金額を回収できるか?と考えることができます。業種により基準値は異なりますが、15倍程度なら許容範囲ではないでしょうか。同業他社と比較して数値が低いほど割安ということになります。

成長企業の場合、将来の利益の成長を織り込んだ数値になるのが普通で、50倍、100倍を超えることも珍しくありませんが、実際に成長率が高いのならば、妥当な数値とも言えます。

また、純利益を出す際は、実績値よりも、予想値を重視した方が、今後の動向を見る上では役立ちます。

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PBR:株価が1株当たり純資産の何倍の水準かを表す。1倍を割り込むと株価は割安とされる。
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日本語では、株価純資産倍率といいます。

あまり知られていない株主の権利として、「残余財産分配請求権」があります。これは企業が解散した場合に、純資産を株主が受け取れるという権利です。

PBRは、1倍を割っていると割安だと言われます。これは、「株価よりも、今すぐに会社が解散された時に、名目上受け取れる金額の方が高い」ことを意味します。よって割安ではあるのですが、それだけ期待感が薄いと見ることもできます。

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配当利回り:配当金により年利何%の利回りになるかを表す。高いほど株価は割安とされる。
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最後に配当利回りですが、ポイントとしては、予想配当金を使うということです。

もちろん過去の配当利回りの実績を見るために実績値を使って利回りを出すこともできますが、それよりも大事なのは、今後の予想配当金です。

検索すれば簡単に配当利回りは出てきますが、サイトによっては、実績値なのか、予測値なのかの定義が変わってくるので、予想の方を重視してください。

これらを代表する指標を読むことは割安株投資に必須です。四季報も非常に役立ちます。

・復活株
最後に復活株です。一時期大赤字に転落した企業が、不死鳥のように業績を復活させ、それに伴い株価もV字回復するタイミングで利益を得る方法です。

「頭と尻尾はくれてやれ」という格言があるように、完全な底値を見極めるのは困難です。それを狙って、下落トレンドの最中に買うと、痛い目を見てしまいます。

そのため、下落から上昇へのトレンド転換を見てからでも、遅くはありません。

また、財務面の確認も慎重に行います。復活する前に倒産してしまっては元も子もないので、財務面の危険性が少ない銘柄に限ります。

四季報を活用すると、前号との比較も一目で分かるので、どんどん赤字が縮小していたり、予想利益が上方修正されていたりする銘柄なら、本格的に復活する可能性が高いと見ることもできます。

そうした定量的な評価はもちろん、業界専門の記者による定性的評価も、四季報では読むことができます。

■PER、PBR、ROEの関係性を知る
株価指標は、ただ丸暗記してもいいのですが、その関連性を知ると、より本質的な理解が得られます。

例えばPBRは、以下の式に直すことができます。

PBR = PER × ROE

「PBRが低い」ということは、「PER × ROEが低い」と言い換えることもできます。
そこで、PERが低いのか?ROEが低いのか?によって、優良割安株であるかどうかの可能性が変わるのです。

【ROEが低い場合】
ROEは、自己資本を使って効率的に利益を上げているかを見る指標です。ROEが低く、その結果PBRが低いのは、割安ではなく妥当と言えます。

【PERが低い場合】
ROEが高く、PERが低いためにPBRも低くなっている銘柄は、収益力が株価に反映されていない「お宝銘柄」の可能性があります。

■高ROEでも油断できない!自己資本比率とセットで分析
ROEが高いからといって、一概に収益力が高いとも言い切れません。なぜなら、自己資本比率の低い企業は、高いROEを示しやすいからです。

ROE = 当期純利益/自己資本

であるため、ROEが大きくなる条件は、分子の当期純利益が大きくなるか、分母の自己資本が小さくなるかです。

利益が大きいのは申し分ありません。しかし、自己資本比率が小さく借金が多いことが、高いROEの要因であるならば、注意が必要です。

事業拡大に積極的と言えば聞こえはいいですが、あまりに借金が多く、現金同等物を大きく上回る場合は倒産リスクも警戒しなければなりません。

自己資本比率も業種によって基準値が変わりますが、一般的に30〜70%あれば、健全と言われます。しかし、クレジットカード業、割賦金融業のように平均値が10%程度であることもあるので、業種平均と比較することが大事です。

■個人投資家が意識すべきタイムラグ
株価は、業績よりも先に、天井をつけたり、底を打ったりすることがあります。

業績が公開されるのは、原則として3カ月に1回の決算発表のときです。しかし、プロの投資家は企業訪問やさまざまな情報収集により、独自の情報を持っています。

業績が公に出る前に情報を察知した機関投資家が早めに売買を入れるため、株価が先に動くのです。

例えば、業績が好調と思われていた銘柄の株価がどんどん下がっているときに、「割安になっているな」と勘違いしてしまうんですよね。

しかし、週末だけ少し情報収集をする程度では、それを専門としているプロとの情報格差を埋めることはできません。

そこは割り切って、「何か情報をつかんでいる機関投資家が決算前に売買をしているのかもしれない」と考え、常に業績と株価にはタイムラグがあることを認めてしまうのが大事かと思います。

■改訂されて、より入門者にやさしくなった
私は改訂前と後の版を両方買ったのですが、改訂されて初心者でもより読みやすい内容になったと思います。また、アベノミクス以降の日本株の相場を踏まえて、成長株投資に関する内容が厚くなっています。個別株投資経験者の方でも、新たな発見がある1冊だと思います。

テクニカル分析(チャート分析)の情報があることも書きましたが、かなり十分な内容だと思っています。特に、チャートから裁定取引や信用取引の動きを読み解く考え方や、記事内でも見てきたような株価指標がチャートにどのような影響を及ぼしているかなども必見です。テクニカル分析の入門も兼ねていると言っても過言ではないと思います。

この本が気に入り、テクニカル分析についてもさらに深堀りしたいと思ったら、同じシリーズの「株を買うなら最低限知っておきたいチャート分析の教科書」は次のステップとして最適ですね。

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