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なまけるのは“三度の飯より好き”だから!?立ち止まりを生む「勘違い」描いた漫画に「心当たりありすぎ」と納得

  • 2022年11月15日
  • Walkerplus

最初は脇目も振らずに打ち込んでいたのに、いつの間にか立ち止まってしまう……。誰しもが心当たりがありそうな「なまけ」。何よりも好きで夢を持って取り組んでいたものでも、そうした事態に陥ることはあるもの。そんな立ち止まりの原因を、創作活動の過程を例に描いた漫画に「答え貰いました」と、Twitter上で納得と共感の声が集まっている。

■最初はできていたのに描けなくなった漫画家志望。原因は「楽しい」の種類の違い?
話題を呼んだのは、漫画家の大塚志郎(@shiro_otsuka)さんが10月末、自身のTwitterに投稿した「漫画が『好き』は混ぜると危険というお話」という作品。漫画家を目指し滑り出しは良好だった人が、いつの間にかなまけてしまう背景を描いた内容だ。

漫画家を目指す後輩にアドバイスしている先輩漫画家の「ジロー先生」。もともと二カ月で1作作れる漫画家志望が、4作目になると半年で数ページしか描けないという例を挙げ、ある勘違いをしていると、このようになまけてしまうと説く。

その言葉を、「大して漫画が好きじゃなかった人達の話」と一笑に付す、後輩の「南茂さん」。そんな南茂さんに、「具体的にどれくらい漫画描くのが好き?」とジロー先生は訊ねる。

漫画を読むのをはじめアニメ、映画、はたまたパチンコや飲酒といったさまざまな娯楽より漫画を描くのが好きだと胸を張って答える南茂さん。だがそれを聞いたジロー先生は、その考えこそが漫画制作における『なまける』の原因になっていると言うのだ。

その理由を、ジロー先生はすぐさま快楽を感じられる「短期快楽行動」と、快楽を感じるのに長い時間の積み重ねが必要な「長期快楽行動」という2つの分類で説明する。

短期快楽行動が漫画を読んだりゲームで遊んだり、またおいしいものを食べたりぐっすりと寝るといった行為、結果を目指す部活動や志望校の合格を目標にした受験勉強などは長期快楽行動にあてはまるというジロー先生。大きく括ると、プロを目指しての漫画制作はこの長期快楽行動にあてはまるのだという。

ただ漫画を楽しく描いていた頃は「遊び」、つまり短期快楽行動に近い状態。だが、「プロとして認められる作品を作る」という目標があるプロ志望では、その目標を達成しなければ快楽は得られない。その差に気付かないままでいると、「漫画を描いていても楽しくない」と違和感とストレスを感じてしまい、別の短期快楽を求め「なまけ」るようになってしまうのだと語る。

■漫画家生活20年で今も直面する「なまけ」に、根性論ではない対処法を
遊ぶこととプロを目指して漫画を描くことでは快楽の源泉がまったく別物なので、短期快楽よりも長期快楽である漫画制作が好きである必要はないと説いた同エピソード。Twitter上では2600件を超えるいいねとともに、「漠然としたもやもやに答え貰いました」「心当たりがありすぎます」という納得のコメントや、「優秀だった学生あるある」「絵を描くのもドール服縫うのも割と長期快楽になるのかも」と、漫画制作に限らずあてはまるのではないかという声が寄せられていた。

大塚さんは、『びわっこ自転車旅行記』『漫画家アシスタントの日常』(竹書房)、『射~Sya~』(スクウェア・エニックス)など多くの作品を発表しているプロの漫画家。今回紹介した作品は、大塚さんが個人誌として制作する『漫画の赤本「なまけ病」』内の一エピソードだ。

20年に及ぶ漫画家としての経験から、誰もが苛まれる創作での「なまけ」とその対処法をテーマにシリーズ作品を描き始めたという大塚さん。ウォーカープラスでは大塚さんに制作にかける思いをインタビューした。

――本作を描こうと思ったきっかけを教えてください。

「『なまける』は自分が新人の頃から悩み、工夫を続けていることですが、他の創作漫画では『なまける』に対しての解決案が根性論や才能ばかりが先行していて、具体的な解決案が全く示されていないことが多いと感じ、じゃあ自分が描いてみようと思い立ちました。自分はさまざま苦労や苦難が起きても20年間、漫画を描くということだけは手放さなかった人間なので、なまけてしまう新人さんの何か手助けになるんじゃないか、って思いで描きました」

――作中では漫画家志望の「なまけ」を描いていますが、プロとして活動されている大塚さんも「なまけ」に直面することはあるのでしょうか?

「直面しまくりです……。が、プロとして活動する以上『できないです』ではすまないので、自分が行っている工夫をたくさん描けたらなあ、と思ってます。自分は根っこがなまけものな人間なので、日々いろんな工夫を凝らしてます」

――なまけてしまうことを否定せず支えたいという思いがあるのですね。

「ともかく、『なまけ』は悪、甘えみたいに扱われてしまう感じを何とか払拭できればと思って、『人間はみんな前提でなまけるものですが、工夫であらがえるんだ』と言うようなことを浸透させたいかなあと考えております」

――作中で描かれるなまけに対する対処法は、いずれも大塚さんのこれまでの体験で「使える」と思ったものなのでしょうか?

「実際自分で使っていて、他の人にも絶対使えると思うものを描いています。ただ、自分の体験や実感だけの記載では『自分と同じようなタイプのなまける人』にしか伝わらないので、今後予定している続刊ではゆくゆく、系統だてを行い、自分とは違う思考タイプのなまける人にも使えるような、いろいろな人に広く伝えられるシリーズにしたいと思っております」

――2022年11月27日(日)に開催される「コミティア142」にて、本作をはじめ「なまけ」について描いた作品を個人誌として頒布されるとうかがいました。

「11月27日にコミティアで発表する『漫画の赤本「なまけ病」』は、なまけるという部分の理由や状態などの分析がメインで、ともかくみんなが身に覚えのある『なまける』を描いております。『なまける』に立ち向かうがテーマのシリーズの第1巻で、本格的な対策は今後の続刊で描き、随時コミティアで発表できればと考えています。今後の展開も是非期待してください!世の中の『なまける』で悩むたくさんの方に届けばと思います!」


取材協力:大塚志郎(@shiro_otsuka)

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