
今年もまもなく花火や夏祭りの季節が到来。コロナ禍の影響で近年は中止となっていた花火大会も、今年は久々の開催に向け準備を進めているところも多い。本格的なシーズンを前に、ウォーカープラスでは花火にまつわるおすすめの漫画を紹介。この時期ならではの作品でお祭り気分を盛り上げよう。
■ノスタルジックな気持ちになれる、祖母との手持ち花火の忘れられない思い出
イラストレーター、デザイナーとして活躍するかたわら、Instagramでは「フォロワーさんが体験した〇〇な話」を募集し、フォロワーから寄せられた体験談を優しいタッチでイラスト漫画として描き人気を集めるしばたま(@shibatamaa)さん。今回紹介するのは、フォロワーのりえさんから寄せられた、お盆に祖父母の家を訪れた時の忘れられない思い出を描いたエピソードだ。
ある夜、いとこたちが庭先で手持ち花火を楽しむ中、りえさんは遠巻きにみんなの花火を眺めるばかりだった。というのも、小さい頃のりえさんは怖がりで、花火をしたくても怖くて持つことができなかったのだ。
いとこたちに誘われても「私はいい…」と輪に加われずにいた時、縁側に佇んでいたおばあちゃんが「りえちゃん、こっちにおいで」と、りえさんを呼び寄せた。
孫の中でも一番のおばあちゃん子ということもあり、抱っこしてくれるおばあちゃんにほっとしたような表情を浮かべるりえさん。そんなりえさんに、「おばあちゃんと小さい花火しようか」と持ち出したのは、こじんまりとした光がかわいらしい線香花火。
「ほら怖くないよ、キレイだね」と、おばあちゃんが火をつけてくれた線香花火は持つことができたりえさん。祖母とふたり、しばしその小さくも綺麗な花火を楽しみながら、りえさんはその時の祖母の笑顔と優しさも印象深く残ったのだった。
「家族の心がジーンと温まるようなお話」としてしばたまさんが選んだ本作。エピソードを寄せてくれたりえさんとおばあちゃんとの関係をイラストで伝えられるよう意識したという言葉通り、孫娘を包み込むような祖母の愛情と、そこに安心感を覚える幼少期のりえさんの心が伝わってくる作品になっている。
また、しばたまさん自身も線香花火には思い入れがあるそうで、「真っ昼間の夏よりも、ちょっと涼し気な夏の夜が好きなので、夜にしっとり縁側とかで線香花火するのが最高なんです」と、その理由を語ってくれた。
お盆の時期、祖父母の家に帰省していた思い出のある人は少なくないはず。他人から見たらほんの小さな出来事に見えるようでも、鮮明に思えている幼い頃の祖母とのエピソード。ノスタルジーと共感を覚える、しみじみと味わい深い作品だ。
取材協力:しばたま(@shibatamaa)