
トイレットペーパーやシャンプーなどの消耗品は、いざという時ストックしておくと便利。デキる主婦は、自宅の消耗品をバッチリ管理して「ストックなら大丈夫!」という。そんなママの笑顔の裏に隠された開けてはいけない「秘密の押し入れ」が、衝撃の展開を巻き起こす一坊主(@konnamiraiwo)さんの『怪奇な小噺』シリーズから、「開けないで」をお届けする。本作は「こ、こわー!!そしておもしろい…!!」「ホラーでもありギャグでもあるような」と読者が“こわおも“と絶賛するコミカルホラーだ。
■ウチには何でもあるから大丈夫!
ある日、歯磨き粉がなくなってしまった。戸棚にはストックがなく奥さんに言うと「大丈夫!ストックあるから!」と奥から歯磨き粉を持ってきてくれる。しっかりものの奥さんのおかげで、常に消耗品がストックされているので安心だ。
次に切れてしまったのが、壁掛け時計の電池。電池を交換してみるが、どうやら本体が故障してしまったようだ。しかし、不思議なことに押し入れの中から壁掛け時計のストックがあると持ってきた奥さん。
「時計までストックが?」そんな疑問が駆け抜けた時、奥さんは「開けないでね」と押し入れを見るご主人に一言。普段の明るい奥さんからは想像もつかないような真面目な声に驚きと奇妙な違和感を感じていた。良妻賢母な奥さんが、何かを隠しているという、実に読者の興味を引く本作について、一坊主さんに話を伺った。
■「開けてはいけない」押し入れに隠された秘密
――押し入れに何でもある「ストック好きな主婦」と言う設定が、リアルだなと思いました。本作を思いついたきっかけは何かありますか?
僕の妻が日用品などを押し入れにストックしているのを見て、ストックが過剰な妻が何をストックしてたら一番怖いかなぁと考えたのがキッカケです。
――「ストックがある」というよくあることが逆にこんなにも人を不安にさせたり、恐怖を感じさせるのかと思いました。完璧なほど怖いと言うか…。そのあたりの表情など意識していますか?
とくに奥さんの方は過剰になりすぎないように、さも当然かのような自然な表情の方が怖くなるかなぁと思って描きました。
――まるで「世にも奇妙な物語みたい」と言う読者の声も多くありましたが、いかがですか?
意識して描いたつもりはなかったんですが子供の頃から好きだったので、影響は受けているのかもしれません。でもこんなに言われるとは思いもしませんでした。光栄です。
――あの押し入れは、家のものが全部ストックされているんですか?
ドラえもんのポケットだと思ってください。たぶん何でも出てきます!
――あの家族は、実は何回目なんだろうと思ったりしました。読者側がいろいろ想像できる余地があって、またそこが怖いのですが…そのあたりも考えていたんでしょうか?
そのあたり計算できるといいのですが。漠然とあまり説明をしない方が怖さに結びつくのかなぁと思って描いています。
――衝撃のラストにたくさんのコメントがありますが、読者の方にメッセージがあればお願いします。
いつもはもっと構成から作画まで時間がかかるのですが、この作品に関しては勢いで描き上げることができました。また、こんなネタが降ってくればいいなぁと思います。読んでいただきありがとうございます。
何でもストックされているという不思議な押し入れに「一家に一部屋は欲しい」と思う人もいれば「怖い」という意見もあり、コメントが沸いている。童話にもあるように「開けてはいけない扉」を開けてしまうと何かが起きてしまうのが定説。いつも笑顔でデキる奥さんほど、裏に何かを隠しているのかもしれない。
取材協力:一坊主(@konnamiraiwo)