
幸せに暮らしていた一家の母親が突然がんに。これからどうする?その時家族は?「がんサバイバー」という言葉もあるように、がんと闘病・共存しながら日常を送る生き方が注目されている。そんな中、自らのがんとの闘病や家族との触れ合いを漫画「鼻腔ガンになった話」に描き、Instagramでアップして反響を呼んだのが、やよいかめさん(@yayoi_kame)。そのリメイク版を描いていく。
やよいかめさんはご主人とお子さん2人の4人家族。毎冬恒例の風邪をひいたが、その後なぜか治らない鼻詰まりの症状が気になっていた。引っ越しなど多忙なこともあり市販薬でやり過ごしていたが、やがて眠れなくなるほど悪化し病院へ。検査の結果、鼻腔がんと告げられる。
今回は、大きな病院に転院。がんの治療がいよいよ始まる。
まず精密検査を行い、その結果を受けて治療のスケジュールを決めていくことに。
医療関係に明るいお義父さんらが説明に同行してくれることに。心強い。
さらに検体を採取して終了。その夜、家族と食事に行ったイタリアンレストランで事件が…。
■恐怖と不安の中、医療関係に詳しい親類の存在が支えに
お医者さんから最初の説明を受けた時、やよいかめさんにはもちろん知識がない。何を聞いたらいいか分からず呆然としていた。「具体的な治療の流れなどを聞けたらよかったのですが…。それでも、とにかく早く治療をしてもらえる病院を探すのが第一だということはわかりました。ただ、引っ越ししたてだったので、病院がどこにあり、評判はどうなのか、などが分からず困りましたね」
何もかも不安な状況だったが、専門知識がある義理のご両親が支えになってくれた。「夫のほうの親類縁者は医療関係の仕事についている人が多いのですが、お義父さんは特に心配して毎回のように付き添ってくれました。これから受ける治療がどういうものなのか、一般的な治療なのか最先端の治療なのか、などを説明してくれて、本当に心強かったです。お義父さんも義理のお兄さん、お姉さんもお仕事の関係を駆使して情報収集してくださり、今でも拝みたいレベルで感謝しています」
渡された資料を読んで恐怖感が増した。「A4の紙で4、5ページ。専門医向けなのかな?と感じたほど内容も難しかったんですけど、私も不安しかなかったので、病院のお会計が済むまでに必死で2回読み込みました」。一番怖かったところはなんと言っても転移の説明箇所という。「『鼻にできたがんは進行すると目や脳、リンパに転移する、手術の際は眼球を取り出してがん腫瘍を切除。眼球自体ががんに侵されたら義眼に変える必要がある』という内容で、『脳にも眼球にも転移するのー⁉︎』とビックリしました」
ちなみに、「漫画には描き切れなかったんですが、その資料を読んだお義父さんが主治医のK先生に『眼球を取ってまで手術することなんて、稀ですよね?』と聞いたんです。でも、K先生の答えは『結構よくありますよ』だったので、私は恐怖で震えてました」
怖い話ばかりの中、レストランでの失態もユニークに描かれている。「くしゃみを我慢するたびに、鼻の中で包帯がグイグイ下に降りてくる感覚があって、かなり焦りました」。包帯が飛び出た時は、痛みよりむしろ「やってしまった!」という気持ちが上回った。「その後もボタボタボタボタ〜と血が止まらなくて焦り、もう自分の体よりも『お店のトイレを汚してしまった。キレイにしないと!』とやたらトイレを拭くことばかり気にしてました。『焦って空回りし過ぎやろ!』と、あの時の自分に突っ込んでやりたいです(笑)」
この後、さらに綿密な治療計画が組まれ、本格的な闘病生活に入っていく。
取材・文=折笠隆